ハリウッドが勘違いして、オイオイという終戦映画を創っちまったのかと予告編を観て思ったが、そうではなかった。
壁のポスター、ガヤのセリフは、トンチンカンな中国語や片言の日本語もどきではなかった。
ガレキの荒野となった厚木飛行場、GHQの本部がおかれた第一生命ビル、皇居、田舎の日本家屋、小道具に至るまで、日本側の目がゆきとどいた監修がなされていると感じた。
終戦の時に、昭和天皇の側近として仕えていた「関屋貞三郎」を祖父にもつ「奈良橋陽子」プロデューサーだからこそ、天皇への所作も妥協しなかったのだろう。
ハリウッド映画「パールハーバー」でのトンデモな日本軍の描き方から、よくまあここまで立ち直ったかと評価したい。
同じ終戦、天皇を描いた映画で思い出すのが、「アレクサンドル・ソクーロフ」監督のロシア・イタリア・フランス・スイス合作映画「太陽」がある。
これは「イッセー尾形」がコントのような昭和天皇を演じ、2005年にロシアで公開されたのち、日本公開は危ぶまれたものの、2006年に東京は今はなき銀座シネパトスと名古屋・シネマスコーレの2館で封切られた。
菊タブーに大手がビビるなかの封切りとあって、行列に並んでシネパトスに入ったが、映画自体は何てこともなく、外国人史観を抜け出ていない見かけ倒しのものだった。
しかし、2006年の時点での菊タブーを考えると「イッセー尾形」の役者魂には拍手を送りたい。
で、「終戦のエンペラー」だが、天皇=エンペラーではない。
天皇に相当する言葉が英語にはないから仕方がないが、「終戦の天皇」あるいは「TENNO」なんてタイトルがつけられるほど菊タブーはまだ消えちゃいない。
ドキュメンタリーならいざ知らず、日本映画でもまだまだおよび腰のテーマをよく噛み砕いて描いたと、戦争を知らない子供たち世代は思うのだ。
そんなミーハーだから、レイバンにコーンパイプの「トミー・リー・ジョーンズ」のマッカーサー見たさに封切り日に観た。
ハリウッドのエンターテイメントなので、ロマンスを織り込むのはご愛嬌だけど、いい味のある役者が年々他界してしまう中で、日本側の役者はみな良かった。
まさか「火野正平」が「東条英機」だったり、「伊武雅刀」が「木戸幸一」を演じるなんて、ちょっと前だったら考えられないことだろう。
ただ「桃井かおり」だけは、どうしようもなく「桃井かおり」だった。
まあ「太陽」で「香淳皇后 」を演じても、どうしようもなく「桃井かおり」だったから仕方ないが・・・^_^;
ヨーシ、今回はネタバレするようなことは書いてないぞぅ。
お子ちゃま映画ばかりの夏だけど、オヤジよりずっと若い戦争を知らない子供たちは、いっぺん観てもいいんじゃない👍
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