プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 宇野千代「生きて行く私」

2014年08月24日 | ◇読んだ本の感想。
宇野千代といえば、長生きして、波乱万丈の人生を送って、和物のデザインもしている人。
ということしか知らなかった。知り合いの推薦図書なので読んでみた。

どっぷりと“女”であろうと決めてかかっていたけれど、意外にも文章自体はサッパリ系。
おかげで読みやすかった。
女が自分のことを書くとジットリしたものになりがちな気がするが(偏見かね)、
うざったさはほとんどなかったな。


そして想像以上に波乱万丈な人生であった。
まあ……普通じゃない人だったんですね。作家なんてもなぁ普通じゃなくてナンボなところはありますが、
実生活でもこれだけ普通じゃなかった人……。
でも昭和初期くらいまでの文筆家は、破天荒な人は多いですか。
無頼な男性作家は山ほどいたんでしょうから、その女性版と思えば。まあそんなもんか。

だが……周りにいた人は大変だったでしょうねえ……。
サッパリ書いているので読んでいてはあまりわからないが、周りの一般人の苦労は
どれほどのものだったのかと思う。
まあ、周りにいた人も一般人よりも、作家とか画家とか、特別人である人々の比率が高かったようだから、
それはそれで(お互いさまで比較的)良かったのかもしれない。

滅茶苦茶なことをしでかしても、それが許せる天真爛漫さ。
……と、ついうっかり信じてしまいそうになるけど、作家は嘘を書くのが商売なので、
この本に書いてあることが全てとは思えないけどね。
読んでいる分にはそれほどの修羅場はないように見える。だがあっただろう。いくらでも。
うん。……やっぱりそばで見てたら大変そうだ。

登場人物に有名人が多いので、ゴシップ的に読むのも面白かった。
だが、へーっ!とびっくりするほど当該人物に関して良く知らないのだがね。
東郷青児の奥さんだったというのはちょっとびっくりした。
彼の絵柄はむしろ落ち着いた生活を想像させる。


こんな人がいた、という意味では読んで損はなかった。
だがわたしとは対極にある人生遍歴で、遠くから眺めているだけで十分。




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宇野 千代
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