＜ アンという名の少女 ＞

わたしは好きじゃなかった。これは赤毛のアンじゃないでしょう。

「赤毛のアン」が映像化されると、だいたい別物になってしまう。
こんなに改悪するなら、なんでわざわざアンを引っ張り出すかなあ。
いさぎよく一から世界を作れよ、と思う。有名人（アン）を引っ張り出して、
そのネームバリューを借りて自分勝手なストーリーを作るなんて、
二次創作も良いところ。

映像作品はいくつか見てるんですけど、ミーガン・フォローズ主演の1作目、2作目
以外は「なんだよ、これ」と思うものばっかりだった気がする。
何を見て何を見てないのか正直覚えてないが。
3本か4本見た気がするが、どうだろう。ちなみに高畑勲のアニメは見てません。

アン物を作るのは大抵カナダの人だと思うけど、カナダの人はモンゴメリが
自分の国の作家だからって、どう扱ってもいいと思ってるのかね？
わたしたちにとって大事なアンが恣意的に扱われるのは腹立たしい。


今回のこのドラマは1回目2回目は原作通りに作っていて、おおむね不満は持たなかったが、
だんだん話が乖離していった。原作にはないエピソードが次々と付け足された結果、
全然アンではなくなっていった。

違和感を持ったのは、

PTSDのしつこい描写
ルビーの家の火事
紫水晶のブローチ以降の展開
アンの、農場の雇人に対する酷い態度
ギルバートの境遇の変化・その優等生ぶり
周囲の人々があまりにも邪悪
マシューの死後の売り立て
強盗の登場

その他いろいろ。
幸せなところがほとんど描かれない。これでもか、というほど登場人物を
辛い目に合わせて、それが現代性だとでもいうんですかね。



良かったところは、ダイアナが他の映像作品と比べて魅力的だったこと。
ダイアナって、実に平々凡々たる子としてしか描かれないことが多くて、
魅力がないんだよね。でもこの作品のダイアナはちゃんと魅力的な子だった。
アンへの友情も厚く。行動力とそれなりの頭脳もある。これはいい。

原作でも、マシューが雇った少年に台詞さえないのは違和感を持っていた。
同年代ならそれなりにアンと仲良くなってもいいと思うのに。
本作ではちゃんと生きて動いた少年になっていて、
なんだったらギルバートよりも生きていたと言っていいくらい。

この2点が良かった。ただこの少年に対するアンの態度はひどいもんだし、
この少年にフォーカスすることで話を捻じ曲げていく構造になっていくから
痛しかゆしだが。


今回、シーズン１は8回で終わり、8回目はグリーンゲイブルズに下宿人が
来るところで終わりました。
……なに？なんのこと？グリーンゲイブルスに下宿人って。
しかもその下宿人は前に雇人から金を奪った悪人だそうだ。

それって「赤毛のアン」じゃないだろう。そんなものは見たくない。
シリーズ２は見ません。
「赤毛のアン」を作るのなら、改悪してぐちゃぐちゃにするのは勘弁してほしい。
幸せな世界を見たいんだ。