プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 太田光「マボロシの鳥」

2020年11月21日 | ◇読んだ本の感想。
おや?おやおやおや。
イメージとずいぶん違ったものを書いてますね。

爆笑問題の太田だから、かなりひねくれたものを想像していた。
毒のある、あるいは攻撃的な、多少の無理を感じる文学志向のものだろうと。
そしたら意外にも、わりと素直な作風でね。
基本はファンタジーな感じなのかな。短編集。特に最初の「荊の姫」は
結末は多少皮肉が利いているけれども、全体的にロマンティックな感じで本当に意外。
太田がこんな風に書くのか。

けっこう毛色の違った話が多かった。寓話風だったり、SFめいていたり、
ドタバタシュールだったり。いい意味で器用な。
わたしは太田に絶対的な不器用を見ていたから、その軽やかさに驚いた。

時々素の独り言が出たりしてるのもね。いいとは思わないけど、
特に欠点だとも思わない。
この力の抜け加減はその陰に力量を隠してるのではないかと感じさせる。

でもこれのあと書いたフィクションは1冊だけなんだね。
もっと書いているかと思った。「太田が書いている」ということを除いても
ちょっと面白かったので、もう1作もいずれ読んでみる。
まあエッセイはね。書けて当然だしね。それこそ「爆笑問題の太田」だろうと
思うので、面白いだろうとは思うがそんなに食指が動かないけれども。

……しかしそれこそ「あの太田がこんな繊細なエッセイを!?」とかいうエッセイ
だったらどうしよう。読まずに決めつけて読まない人に天罰を。





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