プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 池澤夏樹「砂浜に坐り込んだ船」

2022年04月21日 | ◇読んだ本の感想。
短編集。
レイモンド・カーヴァーの短編「大聖堂」を読んだすぐ後に、
池澤夏樹の「大聖堂」という短編を読む。共時性。

池澤は好きな作家だが、ちょっとキライ。
理由その1。インテリ臭が過ぎる。
理由その2。作品に問題意識を盛りすぎる。

なので小説自体はそんなに面白く読めるものは少ないのだが……。
今回のこれは久々に好きなものもあったかな。
いや、好きですよ。好きじゃなかったら池澤夏樹個人編集の世界文学全集なんか
苦労して読まん。

実体験か?と思うものも、震災の話も、池澤が好きなチャトウィンの話も、
わりとバラエティに富んでいて、全体的にはふんわりした話だったかな。
わたしは震災をモチーフにした話は読みたくないのであれだが、
いくつかはなかなか好きだった。

短編集というより、散文詩みたいなつもりで読むといいと思う。
スケッチ。宮沢賢治が心象スケッチと読んだものに近い。
ただ人によっては歯ごたえがないんだろうな。
最後の話なんて、「自分(池澤)のための話だなー」と思ったもの。
悪い意味ではないけれども。

この人は常に読者へ向けてのサービス精神を忘れない人だった。
池澤も年をとった。まあこれを書いたのもけっこう前だが。
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