プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< レイトン教授と永遠の歌姫 >

2009年12月31日 | ☆映画館で見た映画。

予想外に楽しめた。
あまりに楽しめてしまったので、「もうオトナなのに、こんなんでこんなに楽しんでしまって
いいのだろうか……」と思わず反省してしまったほど。

わたしにとっては基本からしてツボなのだ。
英国の話じゃないですか!もちろん実際は“なんちゃって英国”で、これをブリティッシュと
言われたら英国人が困るだろうけど、でもまあね。
序盤に出てくるロンドンの鳥瞰図はだいぶテキトーっぽいが、タワーブリッジと国会議事堂、
リージェント・ストリートはちゃんとロケハンをしたんだろう。
ふふふ。ロンドン。ま、冒頭だけなんだけどね。

でもここでにんまりしてしまったので、その後コートームケーな話が続いても責める気にならん。
劇場が船にならんやろ、とか
オペラと言いつつ声楽の歌い方とちゃうやろ、とか、
鍵盤で弾いているのに音と合っていないぞ、とか、
いくら不意をついたからって、7歳の女の子があんなに体格のいい警部を突き落とせるか、とか、
ツッコミどころは満載だがみなユルす。



だって何といっても雰囲気がいいじゃないですか。
ああいう……レトロ不思議な感じは好きなんだ。完全にヴィクトリア朝にしてないところが
吉と出てるな。考証とか厳密にやり始めたら全然魅力がなくなるだろう。
登場人物の衣裳の適当さ加減といったらもう。だいたいレイトン教授が着てる服も、
一体なんなのだ、あれは。シルクハットの印象があまりに強いので、
てっきりタキシードか何かだと思っていたのだが、コートでもジャケットでもない、
ナニコレ?なデザインのスーツ。しかもその中に来ているものと言ったら、
中世の修道服じゃなければ、寝巻きですか?だよ。



※※※※※※※※※※※※



実は、先行作品のいいとこどりをした部分は多々あると思われる。
冒頭シーンだって、どうしたってカリオストロの時計台を思い出すでしょ。
(しかしあの歯車の動きはものすごく好きだった。心を鷲づかまれ。)
最終盤の落とし所だってカリオストロと言われたってしょうがないでしょ。
動きも、カリオストロだの、ラピュタだの、千と千尋だのを思いだすぞー。
無意識なのかもしれないけど、相当に影響を受けている。

レミだって、峰不二子か?と言えば言えないこともない。
デスコールの造型は「オペラ座の怪人」ですな。彼のテーマソングの第一音は、
間違いなく怪人のテーマソングの第一音そのものだもの。(これはオマージュといっていい。)

本来であれば、わたしは「いいのか、そんなんで!」と文句をつける方。
もうちょっとオリジナリティを、とか、こんなつぎはぎの作品に意味はあるのか!とか糾弾する方。
……でも今回はしょうがないっす。だって楽しかったんだもんー。


事前に心配していたのは「映画でパズル問題が上手く扱えるか?」という点。
無理だろうと思っていた。とってつけた形にしかならないだろうと。
しかし、この映画ではけっこう上手くやったと思う。
話の筋にフィットする謎。4つというのはゲーム側の視点からすると少ないが、
映画としては良い数だったかもしれない。(ちなみに第2問の答えは気に入らない。)


脇役の数の多さと、中途半端な存在感はどうかねえ。
キャラクターの造形は好み。(ステレオタイプでありつつ、ほんのちょっとひねってある)
だが、みんなあの程度しか出番がないんじゃ、せっかくのキャラクターを全く活かせていない。
その中で、アムリーが実に微妙。その他大勢であるべきなのに、根拠なく格上げされている。
この辺が、バランス悪っ!とか無駄づかいっ!とか思う点。
……しかしそのテキトー具合がむしろ心地よかったのかもしれない。
気張らず作ってるよなあ、制作陣。奇をてらわず、なんか気持ちいい世界を作っている。

うーん。弱点は多々あるのに。甘甘な評価になってしまうなあ。どうしてだろう。




おそらくアニメ史上、主人公の目の小ささでは最強(?)と思われるレイトン教授。
なんで彼はあんなにモテるのか?やはり大人の男の包容力だろうか。
(しかし包容力を感じさせるシーンもあんまりないけどねー)
声が、やっぱりいいよなあ。この声なら誰でも騙せる気がする。
あの大泉洋が(あの顔で)、この柔らかな声を出しているなんて信じられない。
デスコールの渡部篤郎も良かった。が、2人の喋り方の傾向が被ってしまったのが惜しかったかな。
レイトンに対しては、もっと差別化出来る声の方が良かったかもね。



実は、ゲームの1作目2作目はあまりハマれなかったながらもクリアはしたのだが、
3作目は買ってありつつもやっていない。4作目が出たことは知らなかった。
ので、レミの存在も知らなかったし、デスコールも知らなかった。
グロスキー警部は4作目に出てくる人なんですかね?彼の(無駄な)キャラクターの立ち具合は
好きだったので、今後も活躍を期待する。




映画を見て何時間も経って、心の中の動きにふと気づく。
“冒険がしたい”。
これがレイトン教授の映画から来ていることは自明だったけど、
その心の動きが、つまり作品世界に入りたいという意味の翻訳だと気づくには、まる一日かかった。
ほう。そこまでハマったか。久々だなあ。
「耳をすませば」「紅の豚」「風の谷のナウシカ」あたりの作品は、見終わった後に
強烈に思った。作品世界に入りたい、と。
(これが昂じると二次作品を書きだすようになるんだろう)
「レイトン教授」は、何しろ気づくまで一日かかっているんだから、強烈な訴求力という
わけではなかったんだろうが、宣伝媒体としては成功しているよね。
“冒険がしたい”と思ったわたしが出来ることと言ったら、これ↓を買うことくらいだからね。



レイトン教授と魔神の笛(特典無し)
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まず3作目、可及的速やかにとりかかろう。





映画が終わって、3人で見に来ていた中学生くらいの男の子の会話が耳に入った。
「レイトン教授、かっこよくねえ?」
ふふふ。君も立派な英国紳士になってくれたまえ。





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