北側の人々がだいぶ南下し拡大していた頃、南側にも人が住みつき始めていました。
南側には、既に大なり小なり文明を持った人々が辿り付きました。
南はフィリピンの方角から、西は朝鮮半島からです。
南の民(海の民)は背が低く入れ墨をいれていました。そして大きな船を作る技術に長けていました。気候の温暖化によるスコールや大洪水のため逃げて来た時に、主食であった赤米の稲の種を船に積んできたので、九州あたりですぐに稲作を始めました。そして漁業もしていました。
しばらくすると、海の民が船で朝鮮半島にも行き、交流がはじまりました。そうしているうちに、朝鮮半島から引っ越してくる者も出てきました。彼らは鉄器と絹の衣をもたらしました。そして別の種類の米を持ってきました。
とにもかくにも、彼らの主食は既に米と決まっていました。
大量生産した簡易な土器に、採れた米を貯蔵・料理しました。海の民と半島の民は、米と魚を交換したり、葦(よし)製の漁船と鉄器を交換したりして交流しました。海の民の着物は主に麻でできていたので、着心地の良い絹の衣を手に入れるために、大型船で半島の民族の引っ越しを手伝いました。また、鉄器も半島から伝わっており、農耕や漁業にとても重要な道具だったのでそれを手に入れるためにも必要な交流でした。
ある日、朝鮮半島からシャーマン姫がやって来ました。半島から来た人々は彼女を崇め、いつも集会を開いていました。彼女の占いで水田の地を決めたり、リーダーを決めたり、雨ごいをしたりしていました。半島の民はなぜだか幽霊や祟りたるものを信じているようで、見えない何かにおびえたり、占いで物事を決めたりするのが好きなようでした。
どちらかというと陽気な海の民には、よく分からない習慣でした。
ある日、海の民はこの国の概要を把握しようとして船を出しました。ずっと陸に沿って北上してゆくと、幾重にも重なった垣根をみつけました。人が住んでいるかもしれないので上陸することにしました。
上陸してみると、人の心が自然と静まるような不思議な感覚になりました。しばらく歩くと、幾重にも重なった垣根の中に、派手ではないけれど荘厳な神殿が見えました。よく耳を澄ますと、奥から琴の音が聞こえてきます。
彼らは、大きな声で「誰かいますかー?」と問いかけてみました。すると、一人の背の高い男が出てきました。その男は、見たこともない民族に最初こそ警戒したものの、「こんにちはー!」と手を振る男たちに対して手を振り返しました。そして「どうぞ」というジェスチャーをしました。
それからというもの、交流がはじまりました。言葉は通じませんでしたが、身振り手振りで意思疎通をしているうちに、親密になりました。そして、海の民が入ってきた根の国に海の民の神殿を作りました。それは、彼らが来た記念であり”いつでも遊びに来てください。”という意味が込められていたのでした。
ある日、南側の大王(オオキミ)は、北側にどのような国々があるのか調査することにしました。調査員を選びだし彼らを陸路から北へ向かわせました。彼らは素直に北へ行ったため、根の国の少し南にたどり着きました。戻ってくると、すぐにオオキミに報告しました。
調査員が根の国の少し南にある国の荘厳さと素晴らしさを目を輝かせて報告したところ、オオキミは「その国を我がモノにする!」と言い出しました。
再び調査へ行き、現地人と話をしました。
「ここはなんていう国ですか?」と聞きましたら、「イヅモ!(最高の地!)」と返答されたので『イヅモの国』だということがわかりました。
早速、イヅモに荒くれもののスサを送り込みました。しかしスサは占領するというより仲良くなってしまい、おまけにイヅモの国の姫と結婚してしまいました。荒くれものだったスサにとって、荘厳で落ち着いた神殿と美しい琴の音は、生まれて初めてのやすらぎの地になったのです。
その後に送った使いも、また次に送った使いも、イヅモの国の姫と結婚してしまいました。
スサにとってイヅモの国はなぜか懐かしく感じ、荒んでいた心を洗ってくれたのです。
スサは、イヅモの国を時々荒らしに来る8人組と戦いました。その時彼らの一人が持っていた刀を取り上げました。
破天荒なスサは本当のことをいうと、あまり自由にやれない南側の国に嫌気がさしていました。少しでも自由にやろうとするとガミガミ怒られ、良かれと思ってやったことも余計なことをするなと怒られていたので、優しくて自由なイヅモの国を大好きになってしまいました。スサは、上の兄姉への鬱憤が溜まっていたので、イヅモを末っ子男子が王になる国にしました。
スサは決断力や力もあるし8人組を倒したこともあり、イヅモでは英雄のような扱いを受けました。そして琴を弾いていた姫と結婚して娘が生まれました。スサの娘は、東北のある民族の男と結婚しました。最初はその男がイヅモの国の長になりました。そして次からは、姫との末男子が”大国主(おおくにぬし)”となりました。(イヅモでは女系つまり母親側の血筋が正式な血筋でした。)
【※とにもかくにも、北側の8民族は、一つの国家を形成したわけではなく、バラバラの小国家がいくつもあったのです。はるか遠くの大陸で追いやられ傷ついて、この最東にたどり付いた民族が多かったせいでしょうか?そして、何よりも原住民の日本人が十何で好奇心が強かったせいでしょうか?彼らは殆ど争いをせずお互いを尊重し合い、それぞれの文化を成長させてゆきました。よって、太陽神もひとつの大国の神だったのです。】
イヅモに王を残すと、すぐに根の国へ旅立ちました。(スサはいつも忙しく飛び回っていたのです。)根の国では、とても固くて透き通った翡翠が採掘されることが分かっていたので、その固い翡翠を加工するのに苦労していた職人を見て、翡翠を削る道具を鉄で作るようにしました。そこで、たたらの技術が発展していたスワに作らせました。翡翠を加工する工場は根の国に作りました。
そのころの南側の大王『オオキミ』は、太陽神2世であり、イセ住んで南側の民に米を貢がせていました。その太陽神が実はスサの上の姉であり南側を統治している大王『オオキミ』となっていました。
太陽神2世は、新しい哲学を生み出していました。それは、勾玉(まがたま)です。
まず〇を書いて真ん中に波型で切ります。すると互い違いのペーズリー型ができます。片方は見えるもの、片方は見えないものとし、世の中には見えるものの片割れまたは反対側に必ず見えないモノがある、という哲学を生み出したのです。そしてペーズリー型の丸みを帯びた方に穴をあけ、ペンダントにしていつも身に着けていました。そうやって彼女は、見えるものだけを見るのではなく、見えないものも見るようにする政治を心掛けたのでした。
月日が経ったある日、南側の民族の調査員は、南側の大王(オオキミ)に、北の方は何があるのかを見てくるよう命令を受けました。海の民は以前に日本の外側の調査をしていましたので、案内役兼操縦役として船を出して協力ました。(ただし陸路は行きませんでした。)
調査をしてみると、北関東あたりには米に似ているが違う穀物を栽培している民がいました。もっと北へ行くと、沢山の人々が知らない言語で話をしてとても芸術的な土器を担いで畑仕事をしていました。
特に、富士の麓では不思議な民族を発見しました。黒い着物を着たグループがいて、山の木から木へ素早くまるでカラスのように飛び移って移動する術を持っていました。彼らの中心には鼻が高くて真っ赤な顔をした背の高い男がおりました。彼は、小さすぎる黒い帽子をかぶって大きな楓を片手に持って団扇のごとく仰いでいました。
それらの一部始終を木の陰からこっそり観察していると、一人の調査員が物音をたててしまいました。すると、どこからともなく鉄の黒い星が降ってきました。それにあたった調査員の一人が怪我をしました。調査員は一斉に逃げました。
つづく
想像です。
南側には、既に大なり小なり文明を持った人々が辿り付きました。
南はフィリピンの方角から、西は朝鮮半島からです。
南の民(海の民)は背が低く入れ墨をいれていました。そして大きな船を作る技術に長けていました。気候の温暖化によるスコールや大洪水のため逃げて来た時に、主食であった赤米の稲の種を船に積んできたので、九州あたりですぐに稲作を始めました。そして漁業もしていました。
しばらくすると、海の民が船で朝鮮半島にも行き、交流がはじまりました。そうしているうちに、朝鮮半島から引っ越してくる者も出てきました。彼らは鉄器と絹の衣をもたらしました。そして別の種類の米を持ってきました。
とにもかくにも、彼らの主食は既に米と決まっていました。
大量生産した簡易な土器に、採れた米を貯蔵・料理しました。海の民と半島の民は、米と魚を交換したり、葦(よし)製の漁船と鉄器を交換したりして交流しました。海の民の着物は主に麻でできていたので、着心地の良い絹の衣を手に入れるために、大型船で半島の民族の引っ越しを手伝いました。また、鉄器も半島から伝わっており、農耕や漁業にとても重要な道具だったのでそれを手に入れるためにも必要な交流でした。
ある日、朝鮮半島からシャーマン姫がやって来ました。半島から来た人々は彼女を崇め、いつも集会を開いていました。彼女の占いで水田の地を決めたり、リーダーを決めたり、雨ごいをしたりしていました。半島の民はなぜだか幽霊や祟りたるものを信じているようで、見えない何かにおびえたり、占いで物事を決めたりするのが好きなようでした。
どちらかというと陽気な海の民には、よく分からない習慣でした。
ある日、海の民はこの国の概要を把握しようとして船を出しました。ずっと陸に沿って北上してゆくと、幾重にも重なった垣根をみつけました。人が住んでいるかもしれないので上陸することにしました。
上陸してみると、人の心が自然と静まるような不思議な感覚になりました。しばらく歩くと、幾重にも重なった垣根の中に、派手ではないけれど荘厳な神殿が見えました。よく耳を澄ますと、奥から琴の音が聞こえてきます。
彼らは、大きな声で「誰かいますかー?」と問いかけてみました。すると、一人の背の高い男が出てきました。その男は、見たこともない民族に最初こそ警戒したものの、「こんにちはー!」と手を振る男たちに対して手を振り返しました。そして「どうぞ」というジェスチャーをしました。
それからというもの、交流がはじまりました。言葉は通じませんでしたが、身振り手振りで意思疎通をしているうちに、親密になりました。そして、海の民が入ってきた根の国に海の民の神殿を作りました。それは、彼らが来た記念であり”いつでも遊びに来てください。”という意味が込められていたのでした。
ある日、南側の大王(オオキミ)は、北側にどのような国々があるのか調査することにしました。調査員を選びだし彼らを陸路から北へ向かわせました。彼らは素直に北へ行ったため、根の国の少し南にたどり着きました。戻ってくると、すぐにオオキミに報告しました。
調査員が根の国の少し南にある国の荘厳さと素晴らしさを目を輝かせて報告したところ、オオキミは「その国を我がモノにする!」と言い出しました。
再び調査へ行き、現地人と話をしました。
「ここはなんていう国ですか?」と聞きましたら、「イヅモ!(最高の地!)」と返答されたので『イヅモの国』だということがわかりました。
早速、イヅモに荒くれもののスサを送り込みました。しかしスサは占領するというより仲良くなってしまい、おまけにイヅモの国の姫と結婚してしまいました。荒くれものだったスサにとって、荘厳で落ち着いた神殿と美しい琴の音は、生まれて初めてのやすらぎの地になったのです。
その後に送った使いも、また次に送った使いも、イヅモの国の姫と結婚してしまいました。
スサにとってイヅモの国はなぜか懐かしく感じ、荒んでいた心を洗ってくれたのです。
スサは、イヅモの国を時々荒らしに来る8人組と戦いました。その時彼らの一人が持っていた刀を取り上げました。
破天荒なスサは本当のことをいうと、あまり自由にやれない南側の国に嫌気がさしていました。少しでも自由にやろうとするとガミガミ怒られ、良かれと思ってやったことも余計なことをするなと怒られていたので、優しくて自由なイヅモの国を大好きになってしまいました。スサは、上の兄姉への鬱憤が溜まっていたので、イヅモを末っ子男子が王になる国にしました。
スサは決断力や力もあるし8人組を倒したこともあり、イヅモでは英雄のような扱いを受けました。そして琴を弾いていた姫と結婚して娘が生まれました。スサの娘は、東北のある民族の男と結婚しました。最初はその男がイヅモの国の長になりました。そして次からは、姫との末男子が”大国主(おおくにぬし)”となりました。(イヅモでは女系つまり母親側の血筋が正式な血筋でした。)
【※とにもかくにも、北側の8民族は、一つの国家を形成したわけではなく、バラバラの小国家がいくつもあったのです。はるか遠くの大陸で追いやられ傷ついて、この最東にたどり付いた民族が多かったせいでしょうか?そして、何よりも原住民の日本人が十何で好奇心が強かったせいでしょうか?彼らは殆ど争いをせずお互いを尊重し合い、それぞれの文化を成長させてゆきました。よって、太陽神もひとつの大国の神だったのです。】
イヅモに王を残すと、すぐに根の国へ旅立ちました。(スサはいつも忙しく飛び回っていたのです。)根の国では、とても固くて透き通った翡翠が採掘されることが分かっていたので、その固い翡翠を加工するのに苦労していた職人を見て、翡翠を削る道具を鉄で作るようにしました。そこで、たたらの技術が発展していたスワに作らせました。翡翠を加工する工場は根の国に作りました。
そのころの南側の大王『オオキミ』は、太陽神2世であり、イセ住んで南側の民に米を貢がせていました。その太陽神が実はスサの上の姉であり南側を統治している大王『オオキミ』となっていました。
太陽神2世は、新しい哲学を生み出していました。それは、勾玉(まがたま)です。
まず〇を書いて真ん中に波型で切ります。すると互い違いのペーズリー型ができます。片方は見えるもの、片方は見えないものとし、世の中には見えるものの片割れまたは反対側に必ず見えないモノがある、という哲学を生み出したのです。そしてペーズリー型の丸みを帯びた方に穴をあけ、ペンダントにしていつも身に着けていました。そうやって彼女は、見えるものだけを見るのではなく、見えないものも見るようにする政治を心掛けたのでした。
♢
月日が経ったある日、南側の民族の調査員は、南側の大王(オオキミ)に、北の方は何があるのかを見てくるよう命令を受けました。海の民は以前に日本の外側の調査をしていましたので、案内役兼操縦役として船を出して協力ました。(ただし陸路は行きませんでした。)
調査をしてみると、北関東あたりには米に似ているが違う穀物を栽培している民がいました。もっと北へ行くと、沢山の人々が知らない言語で話をしてとても芸術的な土器を担いで畑仕事をしていました。
特に、富士の麓では不思議な民族を発見しました。黒い着物を着たグループがいて、山の木から木へ素早くまるでカラスのように飛び移って移動する術を持っていました。彼らの中心には鼻が高くて真っ赤な顔をした背の高い男がおりました。彼は、小さすぎる黒い帽子をかぶって大きな楓を片手に持って団扇のごとく仰いでいました。
それらの一部始終を木の陰からこっそり観察していると、一人の調査員が物音をたててしまいました。すると、どこからともなく鉄の黒い星が降ってきました。それにあたった調査員の一人が怪我をしました。調査員は一斉に逃げました。
つづく
想像です。