富士の麓を後にして都に戻ってきた調査員は、1つだけ手に入れた鉄製の黒い星に見とれていました。
調査員A「おい、これって鉄だよな?」
調査員B「どう見てもそうだな。」
調査員C「しかしこんな物を、どうやって手にいれたんだ?あの民族は。」
調査員A「我々は長らく半島とやりとりをしているが、鉄製のものと言ったら、農機具か剣だ。こんなものを見たことがないぞ。」
調査員B「半島にあるのだろうか?」
調査員C「いやいや。もしかしたらあの富士の麓の民族は自分で作っているんじゃないか?」
「まさか・・・!」と調査員3人は同時に思いました。
調査員A「ちょっと投げてみようか。」
調査員B「やめろよ。」
調査員C「いいよ、投げてみろ!」
調査員Aが横にして投げたら、返ってきたので3人は慌てて逃げました。次に縦にして木に向かって投げると、下の土に刺さりました。3人は、なかなかコントロールが利かない道具だと感じました。
早速オオキミに鉄製の黒い星を見せ、調査報告しました。
すると、オオキミは自ら早速、富士の麓へ行くことになりました。
富士麓まで来てあたりを見回しても道はあるものの建物は見当たりません。オオキミ御一行はそこでひとまず休んでいると、向こうの方から山の細道を降りてくる人々がいました。彼らは頭に黒くて小さすぎる帽子をかぶり、人が入るくらいの大きな籠から棒が2本出ているものを担いで「エッサ、エッサ」と意味不明な掛け声を発していました。
オオキミの左大臣が彼らに声をかけてみました。
左大臣「すみません」
山伏「はい、なんでしょうか?」
左大臣「この先には何があるのですか?建物はあるのですか?」
二人の山伏は顔を見合わせると、「建物はないですよ。何をお探しで?」と言いました。
左大臣「これがなんだか知ってますか?」と言って手のひらに乗せた鉄製の黒い星を見せました。
二人の山伏は、顔色を変えました。そして、籠の中の人と何やらひそひそ話ました。
すると、中から大きな男が出てきました。背は八咫ほどで顔は赤く、鼻が高く、まゆは太く、目が大きくてくっきり二重でした。(以下、この大男を”天狗”と呼びます。)
右大臣が、オオキミを守ろうと剣に手をかけました。「こちらにあられる方は、ワのヤマトの国のオオキミなるぞ!」
天狗「存じております。」と言って礼をしました。
当時の普通の民は、オオキミの顔を知らない人が多かったので、オオキミの顔を知っているこの天狗がただ者ではないことがわかりました。
天狗「ワはあなた方の味方です。そしてワは誰とも戦いません。」と言いました。
右大臣「よく言うな。この前調査員に怪我を負わせただろう?」
天狗「それは、まだ未熟な修行者が投げたのでしょう。申し訳ありませんでした。」深々とお辞儀をしました。
左大臣「味方というなら質問しよう。これをどこで手に入れた?」
天狗「それをお教えするには、話が長くなります。どうぞワについてきてください。」
と言うと、天狗は籠の中にどうぞと言って手を平にして籠の中を見せました。そしてオオキミを乗せると、自分は歩いて山を登りました。
山の奥の彼らの隠れ家に着くと、話がはじまりました。
鉄の”もののへ(武器)”はスワで作ってもらったこと、それと、味方である証拠に今後オオキミをバックで助けてゆくという約束をしたのでした。ただし普段から付き添って守るのは右大臣の仕事なので、本当に困ったときや有事、また情報を伝達するときや道案内をするときにだけお助けするという内容でした。
その後、約束が達成されるたびに朝貢された米の分け前が増えてゆき、彼らの生活も豊になってゆきました。彼らはオオキミのいる都に移り住みました。
月日が経ち、イセの都ではスサがもたらした『剣』、太陽神1世が創られた『カガミ』、太陽神2世が見出した『勾玉』を”3種の神器”とし、それを持っている者を『大王(オオキミ)』と呼ばれる神のような存在としました。
剣を国防や警察、カガミを民の秩序や農業を支えるもの、そして勾玉がヤマトの魂であるオオキミという風に例える歌もでき、どれを欠いても国は滅びるという詩が歌われました。
やがて、太陽神がいなくなっても、太陽神の考え付いた哲学は引き継がれ、民衆の中にも”偉い人”として浸透していました。都は大きな湖畔に移しましたが、イセは永遠に太陽神のいる場所として残しました。
そのころ、自分を「太陽神の巫女である」と称する女性が現れました。彼女はシャーマンのような役割をして、太陽神のお言葉を代弁する役目をしました。ヤマトたちの不安を占い、これからの進路を決める役目をしました。その頃、ヤマトの国は海の民の船を使って中国と盛んに交流し、毎年中国にお歳暮を贈りました。そして、小さな国ヤマト国を可哀相に思った中国の王は、とてもいいモノを沢山お返しにくれました。
中国では、この巫女がヤマト国の女王ということになっていました。
中国からはとてもいいモノをお返ししているのに、いつも品祖なモノしか送ってこないことで、日の巫女女王に対して、”卑しい”という文字を当てました。周辺国を少しでも見下したい中国では、よくない漢字をわざと当てはめるという、お得意のマウンティングをするのでした。
また既に、イヅモは国譲りでヤマトに飲み込まれていました。イヅモの国で作った勾玉を、中国に送ってみたところ、とても喜ばれました。勾玉の原石が中国では出土しなかったからです。
太陽神の巫女が247年に亡くなりました。その時、太陽が隠れました。あたりは昼間でも暗くなり、人々は戸惑いました。翌年、すぐに男性が”日の祝”となって引き継ぎましたが、再び太陽が隠れたので民衆が不信感を持ち、女性にしろと要求してきたので、娘の6歳半の女子を日の巫女としてたてました。
やがて、彼女が姿を消しても太陽が隠れなくなったたことと、国がどんどん大きくなっていったため、日の巫女の役目は注目されなくなってゆきました。
さて、話は最初の0章の続きになります。
馬小屋で生まれた皇子が亡くなると、仏教に反対した右大臣が仏教賛成派の左大臣に殺されました。それを皮切りに大革命がおこりました。
大革命が終わって間もなく、馬小屋で生まれた皇子の子孫もなぜか丸ごと居なくなってしまいました。
死後一度、皇子の寺が炎に包まれてなくなりましたが、祟りが怖くなったある男(”ヒト”ではありません)が再建しました。そしてその男が、古文書の監修をしました。
また、『ヤマト初期』は、百済の人が書いたと言われていて、その時の女帝の気に入ってもらえるような内容にしたようです。正しい歴史を保存するより理想を大切にする習慣は、半島の人には当時から既にあったのでしょうか?この『ヤマト初期』の中では、日の巫女のことは一切書かれていません。そして、初代のオオキミ(ミカド・ミコト)たちは皆、”神様”にされました。そして、馬小屋で生まれた皇子は、優秀すぎるくらい優秀な人物として描かれました。
神々の母であるはずの女性はなぜか醜い姿に変えられ、悪く描かれました。(この女性は、『ホツマツタエ』には東北出身者だと書いてあるそうです。)統一される前の美しい国、『イヅモ』は陰の存在のように描かれ、過去の栄光を雲に隠されました。いつの世も、歴史は良くも悪くも、勝者によって都合よく書かれるものなのです。そして私達も、いつかどこかの時代で勝ってきたから、ここに存在しているのです。
あるとき、日本人がいました。彼らは、どうして太陽が毎日生まれるのかを知りたくて、星の地図を頼りにどんどん真っ直ぐ東へ進みました。そして暖かい山を発見しました。やがて氷が溶けると、沢山の民族が入ってきました。
おわり
※この物語はあくまで物語であり、フィクションです。一般市民である私の勝手な想像です!そして私は右でも左でもありません。ただただ本当のことを知りたいだけの人間です。
調査員A「おい、これって鉄だよな?」
調査員B「どう見てもそうだな。」
調査員C「しかしこんな物を、どうやって手にいれたんだ?あの民族は。」
調査員A「我々は長らく半島とやりとりをしているが、鉄製のものと言ったら、農機具か剣だ。こんなものを見たことがないぞ。」
調査員B「半島にあるのだろうか?」
調査員C「いやいや。もしかしたらあの富士の麓の民族は自分で作っているんじゃないか?」
「まさか・・・!」と調査員3人は同時に思いました。
調査員A「ちょっと投げてみようか。」
調査員B「やめろよ。」
調査員C「いいよ、投げてみろ!」
調査員Aが横にして投げたら、返ってきたので3人は慌てて逃げました。次に縦にして木に向かって投げると、下の土に刺さりました。3人は、なかなかコントロールが利かない道具だと感じました。
早速オオキミに鉄製の黒い星を見せ、調査報告しました。
すると、オオキミは自ら早速、富士の麓へ行くことになりました。
富士麓まで来てあたりを見回しても道はあるものの建物は見当たりません。オオキミ御一行はそこでひとまず休んでいると、向こうの方から山の細道を降りてくる人々がいました。彼らは頭に黒くて小さすぎる帽子をかぶり、人が入るくらいの大きな籠から棒が2本出ているものを担いで「エッサ、エッサ」と意味不明な掛け声を発していました。
オオキミの左大臣が彼らに声をかけてみました。
左大臣「すみません」
山伏「はい、なんでしょうか?」
左大臣「この先には何があるのですか?建物はあるのですか?」
二人の山伏は顔を見合わせると、「建物はないですよ。何をお探しで?」と言いました。
左大臣「これがなんだか知ってますか?」と言って手のひらに乗せた鉄製の黒い星を見せました。
二人の山伏は、顔色を変えました。そして、籠の中の人と何やらひそひそ話ました。
すると、中から大きな男が出てきました。背は八咫ほどで顔は赤く、鼻が高く、まゆは太く、目が大きくてくっきり二重でした。(以下、この大男を”天狗”と呼びます。)
右大臣が、オオキミを守ろうと剣に手をかけました。「こちらにあられる方は、ワのヤマトの国のオオキミなるぞ!」
天狗「存じております。」と言って礼をしました。
当時の普通の民は、オオキミの顔を知らない人が多かったので、オオキミの顔を知っているこの天狗がただ者ではないことがわかりました。
天狗「ワはあなた方の味方です。そしてワは誰とも戦いません。」と言いました。
右大臣「よく言うな。この前調査員に怪我を負わせただろう?」
天狗「それは、まだ未熟な修行者が投げたのでしょう。申し訳ありませんでした。」深々とお辞儀をしました。
左大臣「味方というなら質問しよう。これをどこで手に入れた?」
天狗「それをお教えするには、話が長くなります。どうぞワについてきてください。」
と言うと、天狗は籠の中にどうぞと言って手を平にして籠の中を見せました。そしてオオキミを乗せると、自分は歩いて山を登りました。
山の奥の彼らの隠れ家に着くと、話がはじまりました。
鉄の”もののへ(武器)”はスワで作ってもらったこと、それと、味方である証拠に今後オオキミをバックで助けてゆくという約束をしたのでした。ただし普段から付き添って守るのは右大臣の仕事なので、本当に困ったときや有事、また情報を伝達するときや道案内をするときにだけお助けするという内容でした。
その後、約束が達成されるたびに朝貢された米の分け前が増えてゆき、彼らの生活も豊になってゆきました。彼らはオオキミのいる都に移り住みました。
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月日が経ち、イセの都ではスサがもたらした『剣』、太陽神1世が創られた『カガミ』、太陽神2世が見出した『勾玉』を”3種の神器”とし、それを持っている者を『大王(オオキミ)』と呼ばれる神のような存在としました。
剣を国防や警察、カガミを民の秩序や農業を支えるもの、そして勾玉がヤマトの魂であるオオキミという風に例える歌もでき、どれを欠いても国は滅びるという詩が歌われました。
やがて、太陽神がいなくなっても、太陽神の考え付いた哲学は引き継がれ、民衆の中にも”偉い人”として浸透していました。都は大きな湖畔に移しましたが、イセは永遠に太陽神のいる場所として残しました。
そのころ、自分を「太陽神の巫女である」と称する女性が現れました。彼女はシャーマンのような役割をして、太陽神のお言葉を代弁する役目をしました。ヤマトたちの不安を占い、これからの進路を決める役目をしました。その頃、ヤマトの国は海の民の船を使って中国と盛んに交流し、毎年中国にお歳暮を贈りました。そして、小さな国ヤマト国を可哀相に思った中国の王は、とてもいいモノを沢山お返しにくれました。
中国では、この巫女がヤマト国の女王ということになっていました。
中国からはとてもいいモノをお返ししているのに、いつも品祖なモノしか送ってこないことで、日の巫女女王に対して、”卑しい”という文字を当てました。周辺国を少しでも見下したい中国では、よくない漢字をわざと当てはめるという、お得意のマウンティングをするのでした。
また既に、イヅモは国譲りでヤマトに飲み込まれていました。イヅモの国で作った勾玉を、中国に送ってみたところ、とても喜ばれました。勾玉の原石が中国では出土しなかったからです。
太陽神の巫女が247年に亡くなりました。その時、太陽が隠れました。あたりは昼間でも暗くなり、人々は戸惑いました。翌年、すぐに男性が”日の祝”となって引き継ぎましたが、再び太陽が隠れたので民衆が不信感を持ち、女性にしろと要求してきたので、娘の6歳半の女子を日の巫女としてたてました。
やがて、彼女が姿を消しても太陽が隠れなくなったたことと、国がどんどん大きくなっていったため、日の巫女の役目は注目されなくなってゆきました。
♢
さて、話は最初の0章の続きになります。
馬小屋で生まれた皇子が亡くなると、仏教に反対した右大臣が仏教賛成派の左大臣に殺されました。それを皮切りに大革命がおこりました。
大革命が終わって間もなく、馬小屋で生まれた皇子の子孫もなぜか丸ごと居なくなってしまいました。
死後一度、皇子の寺が炎に包まれてなくなりましたが、祟りが怖くなったある男(”ヒト”ではありません)が再建しました。そしてその男が、古文書の監修をしました。
また、『ヤマト初期』は、百済の人が書いたと言われていて、その時の女帝の気に入ってもらえるような内容にしたようです。正しい歴史を保存するより理想を大切にする習慣は、半島の人には当時から既にあったのでしょうか?この『ヤマト初期』の中では、日の巫女のことは一切書かれていません。そして、初代のオオキミ(ミカド・ミコト)たちは皆、”神様”にされました。そして、馬小屋で生まれた皇子は、優秀すぎるくらい優秀な人物として描かれました。
神々の母であるはずの女性はなぜか醜い姿に変えられ、悪く描かれました。(この女性は、『ホツマツタエ』には東北出身者だと書いてあるそうです。)統一される前の美しい国、『イヅモ』は陰の存在のように描かれ、過去の栄光を雲に隠されました。いつの世も、歴史は良くも悪くも、勝者によって都合よく書かれるものなのです。そして私達も、いつかどこかの時代で勝ってきたから、ここに存在しているのです。
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あるとき、日本人がいました。彼らは、どうして太陽が毎日生まれるのかを知りたくて、星の地図を頼りにどんどん真っ直ぐ東へ進みました。そして暖かい山を発見しました。やがて氷が溶けると、沢山の民族が入ってきました。
おわり
※この物語はあくまで物語であり、フィクションです。一般市民である私の勝手な想像です!そして私は右でも左でもありません。ただただ本当のことを知りたいだけの人間です。