2004年に発表された論文によると、認識論的信念(学習に対する思い込み、考え方)は長期的な学習によって洗練されたものになるとのこと。
具体的には、実験の試行と得られた情報の整理を中心とした科学科目の授業を9週間展開した結果、対象の小学生の「知識は単純明快で不動のものである」「専門家は私たちが知らない知識を独占している」などの知識に関する思い込みが解消傾向にあったとのこと。
要は、授業とかでやる科学実験は、対象の思い込みを解消するうえでも結構重要だったりする、ということ。
しかし、9週間の授業の効果は時間経過とともに薄くなっていったため、もし認識論的信念を洗練したものにしようとするならより長期間なものであるほうが好ましい。
また、認識論的信念の洗練は課題の達成度・年齢・性別・民族と相関がなく、ヒト・モノ・カネ・時間がそろっていればいくらでも改善可能ということが示唆された。まぁ、この4つがなかなかそろわないから動けないんだけれども。
そして、認識論的信念が洗練された対象は、課題成績が比較的良いものになったという。
注意としては、今回の研究では「学習は一度きりで十分であり、復讐の必要はない」などの学習に関する思い込みは解消されなかったが、それはおそらく今回の授業の構成要素に原因があるとされている。論理の組み立てや再分析などの要素が加われば、この思い込みも解消できるのかもしれない。
ーーー「学問は非常に複雑で、一度学んだぐらいじゃ身に付きません!」
と言いつつも
「3ヶ月もやったのに成績が上がらない、思うようにならない!」
と嘆く架空の人に一言。
「学問は非常に複雑で、3ヶ月程度では身に付きませんよ」
参考文献
AnneMarie M Conley,Paul R Pintrich et al. (2004) Changes in epistemological beliefs in elementary science students.