ばりん3g

ゲームだって無理やりやらされたらクソつまらなくなる。

ゲームが楽しい理由はいろいろあるけれど、その1つに「自由に遊べる」というのが挙げられる。

どんなゲームを遊ぶか。いつ、どこで、だれと、どのように、どれぐらい遊ぶか。そしていつ辞めるのか。

ゲームの楽しさは、プレイヤーが好き勝手にいろいろ決定できることに一因があるのだ。

この好き勝手にいろいろ決定できる権利は私たちが根源的に求めているものとされ、心理学では自律性の欲求(Deci and Ryan 2000)なんていわれてる。

 

じゃぁ、この自律性の欲求をゲームプレイで満たせなくしたら、どうなるだろう?

このゲームをやってくださいと言われる。この時間から、この場所で、指定した人と、、指定したプレイングで、この時間まで遊んでくださいと。途中の離脱は許しませんよと言われる。無理やりやらされたとき、それでもゲームは楽しいものになるのだろうか

 

動機付け理論の観点から言えば、これはNOと言える

これに関しては理屈うんぬんよりも実証があるからそれを引用しよう、Dennis Charsky, and William Ressler. (2011)だ。

この研究は世界史の授業の代替としてCivilization IIIを採用し、その運用の仕方によってテスト成績にどう差が生じるのか、また意欲がどのように変動するかを調べたものだ。

この研究の主題はゲームプレイそのものよりかはゲームを使った学習方法にあるのだが、それは置いといて。ちょっとこの実験の手続きを一部引用するので読んでほしい。

 

米国コロラド州の公立高校所属を対象。1群28名、2群25名、対照群29名で構成。群間に成績差はなく、従来の指導に対する動機付けも差はなし。

授業目的としてCivⅢのコンセプトマップ(単語間の関係を可視化することで概念学習の手助けとなるもの)の作製を掲げた。1群は研究者が事前に作成したマップを提供され、これに沿った内容をゲームから見つけるように指示された。2群はプレイとともに自分自身のコンセプトマップの構築を指示された。対照群はコンセプトマップに関するものは課されず自由にプレイした。

CivⅢを2週間ほどプレイ。生徒はプレイ後に理解度に関するテストがあることを告げられた。授業外でゲームをしないこと、ゲームのヒントや戦略を求めないこと、授業活動について他の人と話し合ってはいけないこと。

 

この手続きで実験した結果、1群と2群は意欲のスコアが下がったという。

私はこの論文を読んだとき「そりゃそうだろ」と思った。だって手続きそのものが自律性の欲求をおもいっきり阻害しているんだもの

授業という決められた枠組みの中で、CivⅢとかいうマニアックなゲームをやらせる。授業外でのゲームプレイは禁じられているし、課題とテストが目的だからプレイングも固定される。そして授業の枠組みに組み込まれているから、離脱は容易じゃない。

どんなゲームを遊ぶか。いつ、どこで、だれと、どのように、どれぐらい遊ぶか。そしていつ辞めるのか。全部自分で決められないんだもの。嫌になっちゃうわこんなの。というか従来の授業形態が意欲削っている理由の1つだからなこれ。

なおこの論文のオチは、課題もなにもなく自由にプレイしてもいいと言われた対照群がいちばん意欲高かった、というね。

 

ゲームだって無理やりやらされたらクソつまらなくなる。

ゲームを研究している専門家も、意外と見落としがちなポイントである。

 

 

参考文献

Dennis Charsky, and William Ressler. “Games are made for fun”: Lessons on the effects of concept maps in the classroom use of computer games. Computers & Education Volume 56, Issue 3, April 2011, Pages 604-615


論文を参考にいろいろ喋るブログです。

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