2011年に発表された論文によると、認識論的概念(学習に関する考え方や思い込み)は年齢が高くなればなるほど、またよりよい教育を受けるほど洗練されたものになるという。
具体的には、加齢は「学習能力は生まれつきのものではなく、努力によって改善できる」という信念の保持と正の相関を持ち、また受けた教育の質・量の高さは「知識は複雑怪奇で常に変化し続けている」という信念の保持と正の相関を持っているという。
また、理科の実験のような予算の都合上頻繁にやらないような質の高い授業を実施することで、年齢や性別関係なく享受側の認識論的信念が洗練されたものになるという知見(AnneMarie M Conley 2004)もあり、このことから認識論的信念は資源と時間がある限りいくらでも研磨可能であるということが推測できる。
認識論的信念の洗練は学習における粘り強さと強く関連している。例えば「知識は単純で不変のものである」という信念を持っている人は一度見通した教材はもう開かなくてもいいと本気で思っており、そのため復習や誤認識の修正に強く抵抗する傾向にある。だが「知識は複雑怪奇で常に変化している」という洗練された信念を持つ人は誤認識を抱えていたという事実に鉢合わせてもあまり驚かず、すぐにメモ帳とペンを構えるのだ。
いくつかの文献を参考にする限り、学習における粘り強さは経験と勉強を積み重ねるだけ洗練されたものとなる。加齢に伴う能力の変化で確かに学べない分野も出てくるだろうが、あらゆる学びにおいて必須な粘り強さは、いくつになっても補えるのだ。
ーーーなんですか、この成長をとどまることを知らない本棚は。
「すごいだろ。ここに置いてある本全部俺が読んだ本なんだぜ」
英文の学術書がメートル単位で並べられているのはなかなか見ないなぁ。
「還暦越えの奴でも2.3年でこれだけいけるんだ。お前も頑張れよ!」
参考文献
P.S この文献は学習意欲が枯れちゃった人たちに無理やり押し付けるものではありません。文献の濫用はお控えください。
Marlene Schommer (2011) The influence of age and education on epistemological beliefs.
AnneMarie M Conley,Paul R Pintrich et al. (2004) Changes in epistemological beliefs in elementary science students.