父は沢山の牡丹を植えていた。
4月末頃になると「牡丹が咲くよ」と、嬉しそうに教えてくれた。
今この庭には牡丹は一本だけ。
去年は咲かなかったので、ダメになってしまったのかと心配していたので、
よけいに嬉しい。
ずっと、この家が建つまでの事を記録に留めておきたいと思っていたのだが、
なかなかその気になれずにいた。
ふと思い出すと、記憶がだんだん曖昧になっていることに気付き、焦った。
多くの人にとって2011年が特別な年であるように、でも、私には違う意味で2010年からの数年は特別な年であった。
忘れたくないけれど、思い出したくもない数年の出来事。
今なら、まだ正確に思い出すことが出来るだろう。