副交感神経が優位になる就寝の質を高める
part8では、就寝前にコップ一杯の水を飲むことで、副交感神経の働きを高め、質の良い睡眠につなげることを書きましたが、それは深部体温を下げるためでした。深部体温は日中は高くなり夜は下がっていくというリズムを持っている体の内部の体温でした。
今回は、就寝前に自分ができる深部体温を下げる方法を見ていきます。
1 お風呂
お風呂は就寝1~2時間前に入る。熱いお湯が好きだという人も多いけど、38度〜40度のぬるま湯に約15分ほどつかるのがよい。
半身浴がいいという話は確かなようです。5分くらいは全身お湯につかっても、あと10分くらいは半身浴がいい。その方が体の末端までの血流がよくなるし、深部体温が下がりやすくなる。逆に熱いお湯は交感神経が強まり深部体温が下がりにくくなり、深い眠りにつながらなくなる。
2 運動と食事
運動や夕食も熱いお湯の理論と同じ。運動や夕食は就寝の直前を避ける。ジョギングならば就寝3時間前までには終わらせる。軽い運動なら約1〜2時間前でも大丈夫のようです。19時に夕食が終われば22時以降に就寝という間隔がよい。いずれも就寝後に深部体温が順調に下がるようにするためです。
3 冬場の寝具の温め
寒い冬場は暖かい布団で眠りたいもの。就寝前に事前に布団を温めておくといいですね。私は布団乾燥機を使っています。
湯たんぽや電気毛布などもありますが、気をつけることは、寝た後もずっと温め続けるのはよくないということです。一晩中体をあたため続けると深部体温が下がる妨げとなり、副交感神経の働きが不調になり、体調が悪くなる原因となる可能性があります。
4 深呼吸
寝付けない時、布団(ベッド)に入ってから少し深呼吸するといい。寝たまま膝を立ててお腹に手をあてて、鼻から息を吸ってお腹をふくらませます。次に倍の時間をかけて口から息を吐きます。副交感神経を呼び出します。数回繰り返します。
深部体温のメカニズムを理解する
皮膚表面の体温ではなく、体の内部の体温は日中は高くなり夜は下がっていくというリズムを持っていることは分かった。
でもなぜ深部体温が下がる必要があるのか?
体温が少し下がることで脳と体がしっかり休息することができるようです。
皮膚の表面から熱を放出する(熱放散のシステムが働く)と、深部体温が下がり、体は休息状態になるようになっている。
皮膚の表面から熱を放出する(熱放散のシステムが働く)と、深部体温が下がり、体は休息状態になるようになっている。
part5 ホルモンとの関係(体温の調節)で作った図を再び見てみた。体温を一定に保つために各種ホルモンの働きとともに複雑な動きをすることを知りました。低体温や熱中症は命に直結することです。だから、視床下部から直接各種放出ホルモンを動かすシステムもちゃんと設けている。自律神経系の役割と協働して体温を保つことに必死になっている。
寒冷刺激を受けた時、交感神経が立毛筋を収縮させたり皮膚の血管を収縮させて熱放散量を減少させる。一方、暑熱刺激を受けた時は視床下部と副交感神経が働き、体温を下げるシステムになるけど、汗腺に発汗の促進を促し熱放散量を増加させる働きは交感神経が行う。つまり温度変化にいち早く反応し対応できるようにしているのでしょうね。
ということは、夜寝ている時、副交感神経が支配している時も、発汗作用については交感神経が働いていることになる。
だから、より深い睡眠を得たい時は、交感神経と副交感神経による体温を下げる働きを適度にバランスよく確保しなければいけないのだと思います。体の内部を少し低い温度で休息させながら、皮膚や体の末梢部分の血管を拡張させ、日中に後回しにしていた酸素や栄養分を供給するのです。
熱を放散する重要な働きをしているのは手足、特に甲の部分らしい。
冷え症の人が不眠になりやすいのは、手足から熱が放出されにくく、深部体温が下がらないからです。良質な睡眠がとれないと、自律神経の働きが乱れて血流が悪くなり、ますます体が冷えるという悪循環に陥りやすくなる。
冷え症の人が不眠になりやすいのは、手足から熱が放出されにくく、深部体温が下がらないからです。良質な睡眠がとれないと、自律神経の働きが乱れて血流が悪くなり、ますます体が冷えるという悪循環に陥りやすくなる。
電気毛布を一晩中使用すれば暖かくてよく眠れるように思ってしまうけど、深部体温が下がらないから深い眠りにつながらない。それだけでなく、交感神経と副交感神経のバランスが崩れる。寝不足がお肌にも良くないということになるわけです。就寝前にコップ1杯の水を飲む理由もここにある。
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