青空ーすべてはバランス

麹菌の事を知ろう!

 前回、人間の体と共生する細菌の中で、人間の体の中には、100兆個を超える数の微生物(主に細菌)が存在すると書きましたが、体の中のどこにでも存在するわけではありません。常在菌は、皮膚や消化管などの器官に存在するけど、心臓や脳、腎臓のような臓器には入れないようになっています。見事な住み分けをして体は守られているのです。

 赤ちゃんは、子宮にいる時までは微生物とは無縁ですが、子宮を離れ産道に出る瞬間から細菌と出会い始めます。しかし、赤ちゃんを守るための細菌がしっかりとガードします。膣分泌液の中にはラクトバチスル菌がたくさん含まれていて、感染症から守ってくれます。また、母乳の成分に「オリゴ糖」がある。これは赤ちゃんには消化できない。オリゴ糖はビフィズス菌の一種である「ビフィドバクテリウムインファンティス」という細菌の栄養源になる。赤ちゃんの腸を外敵から守り、母乳の消化を助け、免疫を高めてくれます。赤ちゃんは多くの細菌の洗礼を受けますが、赤ちゃんをガードする細菌が赤ちゃんの一生の最初から活躍してくれているのです。免疫機能が高まり安定していく中で、定着した微生物が常在菌として共生していくことになります。

参考:腸は第二の脳 腸内細菌と免疫細胞が全身を守る

 私たちは、大人になっても細菌にお世話になっている。今回は、麹菌のことをもっと知りたいと思いました。

・漢字の違い
糀・・・明治時代に日本で作られた国字(和製漢字)。米にコウジカビが「花が咲くように生える様子」から生まれた漢字。
麹・・・中国から来た漢字。穀物を蒸して麹菌(コウジカビ)を繁殖させたもの。麦や大豆などの穀類で作られるすべてのもの。

・国菌・・・2006年、日本醸造学会は麹菌を「われわれの先達が古来大切に育み、使ってきた貴重な財産」であるとして、「国菌」に認定しました。

・酵素・・・麹には多くの酵素が含まれ、食物の栄養を分解して消化・吸収を助ける役割があります。主な酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼなどで、その数は30種類以上とも言われています。ビタミン類を生成する働きや消化を助ける働きもあり、美容健康面でも注目されています。

・麹の酵素の働き
・栄養素を消化・吸収しやすく分解する。旨味を感じるアミノ酸を生み出したり、食物をやわらかくする力がある。(肉を塩麹に漬けるとやわらかくなる。)
麹のアミラーゼがデンプンをブドウ糖に、プロテアーゼがタンパク質をアミノ酸に分解。
麹の酵素によってオリゴ糖が生み出される。腸内細菌“善玉菌”の大好物だから善玉菌が繁殖する。
菌は自身の代謝の過程でビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、イノシトールなどのビタミン類を生成します。だから肌に良い。

・麹菌の生育可能温度・・・0℃~40℃生育・繁殖に最適な温度は25℃~28℃
水分が液体として存在しないといけない。40℃を超えるとタンパク質が破壊される。菌そのものは0℃~40℃の温度域でしか生きられないが、胞子は水中で65℃(50分)まで、乾燥状態でなら120℃(60~120分)まで耐えられる。それが限界だけど、その前に生育条件が再び整えば、菌が死滅した後でも再び菌が増殖できるそうだ。発酵食品を作る際は、この基本を覚えておくといいでしょう。

私は甘酒を作っていますが、保温器の説明書に50℃~60℃の間で5時間から10時間発酵させるよう書いてあります。ちょっと高温すぎるように感じましたが、やはり、この温度帯では麹菌は死滅しているそうです。甘酒作りの発酵に関与しているのは麹菌ではなく、麹菌が生産してくれた酵素(アミラーゼ)であって、アミラーゼがデンプンを糖分に分解する上で最も活発に働く温度が50℃~60℃なのだそうです。ちなみにこれ以上温度が上がると酵素も破壊されてしまうので、甘酒を作る場合は60℃を超えないように注意して発酵させます。このように自分で作れば酵素は生きています。だから、できた甘酒を毎日飲んでいくうちに甘みが増していきます。

・発酵食品を作るのは微妙な作業が必要。
醤油を作る作業は温度や光の加減などの微妙な生育環境が必要となります。こういう素晴らしい日本の発酵食品に添加物を入れること自体、私には考えられません。細菌の事を知り尽くした職人さんが作る醤油や味噌に、そして麹菌に拍手を送りたいと思います。これからも頑張っていただきたいと思います。

 


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