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青空ーすべてはバランス

My News 18=原油価格暴落

2020年4月20日、原油価格の歴史上とんでもないことが起きた。
NY原油先物市場で「マイナス」価格となった。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近5月物の清算値は1バレルマイナス37.63ドルで、前日から55.9ドル下落した。朝から売られていたが、拍車がかかったのは午後に入ってからだ。正午過ぎに10ドルを割ると10分おきに1ドル下がるような展開になった。午後2時すぎに節目を迎えた。1983年の上場以来初の出来事。マイナスと言うことは、売り手と買い手が逆転するということ。買い手がお金をもらって買うという珍事になる。
原油価格のこれまでの動きを見る。2012年から2014年頃までは1バレル約100ドルほど。2016年に30ドル台になり市場はびっくり、株価が世界的に大幅下落した。その後50ドル台に回復していたが、今年1月急落し最近は20ドル前後で推移していた。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が停滞。原油需要が激減するなかで在庫が増え、保管スペースが枯渇。買い手がつかなくなった。

今年2月、ニューヨークダウが2000ドルを超える下落をしたのは、新型コロナウイルスとともに原油価格の暴落がその原因だった。昨日5月物はもう投げ売り状態だったが、6月物の清算値は前日比4.60ドル安の1バレル20.43ドルで推移した。 

参考
世界の3大原油指標
WTI原油先物。欧州産の北海ブレント原油先物。中東産のドバイ原油スポット価格。


何故ガソリン価格がもっと下がらないの?
消費者側から見れば、えっ?もっともっとガソリン価格が下がってもおかしくないんじゃないの?と思うが・・・。
そう思うのも無理はない。原油価格の下落率は60%以上だけど、小売価格は10%ちょっとしか下がっていないからね。

でも、実は小売りの辛さがある。

石油会社の負担・・・原油価格の変動に関係ない負担
ガソリン税・・・ガソリン1リットルあたり53.8円

石油石炭税(化石燃料)・・・2.8円
温暖化対策税(温室効果ガス)・・・0.76円
以上の合計金額を石油会社は常に国に納めなければならない。仕入れ価格が高かろうと安かろうと関係ない。

もう一つは石油の備蓄確保を法律で定めているため、常に一定量を確保しておかなくてはならない。価格変動が激しい時期、50ドルから100ドルで仕入れた備蓄分が大半であるのに、ここ数か月で急激に下落したからといってすぐに安くできない。会計年度で仕入れた平均価格はずっと高いのに今の市場価格に合わせろと言われてもね。これも理解できる。

春の決算期ですが、石油各社はすでに業績の下方修正を発表している。

アメリカが世界最大の産油国に!
シェールガスは頁岩(けつがん)と呼ばれる堆積岩の地層から生産される天然ガスです。以前から知られてはいたものの技術がなく放置されていた。
ところが、2000年代に入り水圧破砕法という新しい技術が開発され、比較的低コストで天然ガスの採掘を行うメドが付き、一気に開発が進んだ。あれよあれよといううちにアメリカは資源国へとまっしぐらだ。それまでの世界の産油国の地位と協調姿勢が揺らいでくる。何とこのような地層は米国内に広く分布していて、この同じ地層から原油も採取できることが分かり技術革新と共に増産に入った。天然ガスと原油の両方を得て、巨大な資源国ができた。世界のバランスが大きく崩れる。
2012年には世界トップのロシアを追い抜き、世界最大の天然ガス生産国となり、さらに2014年にはサウジアラビアを抜き世界最大の生産国ともなっている(日量ベース)。

危機が迫ると協調できなくなるのか?3月!ロシアがOPECプラスにおいて減産に合意しなかったことから協議が決裂(WTI終値41.28ドル)。その3日後すぐにサウジアラビアが「くそっ!」と増産方針をとる(WTI終値30.24ドル )。えっ?協調減産じゃないの?需要が減っているんだから供給も減らさなきゃ?・・・バランスが崩れた世界の需給関係。産油国は新たな立場に立たされている。政治的な争いもある。もはや協調できない状況もある。

危機に直面した時の冷静な理性を持った対応がいかに大切か!

世界は景気後退へと進む!世界はそう認識している。世界の経済バランスもパワーバランスも崩れている今は、誤った方向へ行かないように注意すべき重大局面です。

参考
体積の単位で「ガロン」と「バレル」がある。1バレルは42ガロン。
昔、42ガロン(約159リットル)入る樽に魚の「ニシン」を入れていた。この樽を利用してペンシルベニアの油田で採取した石油も入れ始めた。40ガロンのウイスキー樽も先に使われていたが、1866年以降42ガロン樽が標準とされ、それ以降この樽で運搬されてきた。その名残で今もバレルという単位が使われている。

参考
日本経済新聞社

写真は
satodaさんによる写真ACからの写真

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