皆さんこんにちは。
4月に施設長に就任いたしました、堀内です。
かつて読んだ、京都大学名誉教授で著名な心理学者の河合隼雄さんが書いた本の一説に
「ふたつよいことさてないものよ」という法則があって、ひとつよいことがあると、
一つ悪いことがあるとも考えられる。
世の中なかなかうまく出来ていて、よいことずくめにならないように仕組まれている。
それでも人間は良いことずくめを望んでいるので、何か嫌なことがあると文句の一つも
言いたくなってくるが、そんな時に、「ふたつよいことさてないものよ」とつぶやいて、
全体の状況をよく見ると、なるほどうまく出来ている、と微笑するところまでいかなくても、
苦笑ぐらいして、無用の腹立ちをしなくて済むことが多い。
この法則はまた、二つ悪いこともさてないものよと言っているとも考えられる。
何か悪いこと嫌なことがあるとき、よく目を凝らしてみると、それに見合う「良いこと」
が存在していることが多い。
このことがわかってくると、何か良いことがあると、それとバランスする悪い事の存在が
前もって見えてくることが多い。
それが前もって見えてくると、少なくともそれを受ける覚悟が出来る。
人間は同じ苦痛でも覚悟したり、訳が分かっていたりすると相当しのぎやすいものだ。
或いは、前もって積極的に悪いことを引き受けることによって、難を軽くすることも出来るだろう。
時々、この本を読み返すと、何となくホッとして、肩の力が抜けてくると感じるのは
私だけでしょうか。