WILD THINK

ラテン楽団「Orquesta de WILD THINK」のバンマスが、日々思うことをダブワイズ

お城

2006年04月25日 | 時事考
岐阜県中津川市の女子中学生が殺されたニュースはなかなか僕をどよんとさせてくれた。
その報道の中でも特に僕をどよんとさせた事柄は、事件のあった彼女らの遊び場であったパチンコ店のたたずまいが、かなりイルでアッパーだったこと。バイパス沿いにそびえ立つ、はき違えた純和風のお城のパチンコ屋の廃墟の遊び場の殺害現場。んで、彼女がその城に行く前には、ダイエーやジャスコを縮小再生産した無機質なショッピングセンターで遊んでたこと。
すげー異常な日常だ。
でも、それが田舎の郊外に住むフツーの少年少女のフツーの日常なんだろう。

僕が生まれ育った四国松山もあれよあれよという間に郊外化が進み、小学生の頃ザリガニやフナやカメを捕って遊んでた山は、「フライブルク城」と銘打たれたラブホテルみたいなモニュメントがそびえ立つ市営公園となり、池や小川は潰された。石けりしたり、ケンカしたり、エロ本見つけたりしながら帰ったくねくねした小道の通学路はバイパスになり、うどん屋のあっちゃん家はあっけなく潰され、前述の山には穴が開けられトンネルが開通し、その通り沿いに薬局や大型スーパーができた。夏にサザエやアワビを捕ったりしてた海岸は埋め立てられた。冬にサッカーしたり、凧上げしたりしてた田んぼは、マンションと建て売り住宅になった。
絶滅寸前だった子どもの遊び場は、もはや完全に息の根を止められた。

んで、子どもは大人が欲に任せてつくったモノの残骸で遊ぶハメになる。

多分、あの事件を反省に子どもが安全で楽しく遊べる場所をとか言って、大人は「○○ふれあいセンター」とかいったレクリエーション施設をつくったりするんだろうけど、それはものすごく無駄な行為だ。

子どもは、自然と人工物の隙間に勝手に面白さを見つけて、勝手に楽しんで、場所をつくって、遊ぶ。
もう田舎の郊外にそんな隙間はない。
「○○ふれあいセンター」なんかは余計その隙間を埋めるだけだ。

子どもの遊び場は大人の支配の及ばないアジールだ。そのアジールがパチンコ屋の廃墟だったら当然子どもの心はすさむ。


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