「ヤーマン!」
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんの最近の挨拶は「ヤーマン」だ。
また、ありがとう、ごめんなさい、さよなら、など、
あらゆる場面で「ヤーマンです」と、彼女は言う。
いつからこんな語彙の少ない人間になってしまったのだろう。僕は少々憂いている。
原因は最近彼女がやたらレゲエ音楽を聞きかじってることであるのは間違いない。
と、思っていた昨今、 . . . 本文を読む
昨日の紀勢さんは荒れていた。
約束の神田小川町の安居酒屋に現れるなり、
「まじバビロンって超ボンボクラよね」(訳:警察ってまったく腹立たしいよね)と、
クラブ遊びを始めたキッズのようなチャラい隠語を吐いた。
「まじラダマーシーって感じ」(訳:本当に救いようが無い)、とのこと。
それはそれは、本郷の某出版社で翻訳関係の仕事をしているとは思えない、教養の微塵も感じさせない物言いだった。
果たして、ジ . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
元旦、紀勢さんから届いた年賀状。
大きく立派な楷書で「凶」と書かれてある。
新年早々不謹慎な、と僕は思った。
しかして、その下に小さく「今年はメが出てめでたくありますように」と書かれてあるのであった。
室町時代、元旦の洛中、竹竿にしゃれこうべを突き刺し、「ご用心、ご用心」と叫びながら市中を練り歩き、庶民の大顰蹙を買った、とい . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
昨年12/29に我が楽団の忘年会を催した。珍しく紀勢さんが顔を出した。
宴もたけなわになったそのとき、「確か今日、あの人誕生日だったわ、でも名前が思い出せない…」と、紀勢さん。続けて、
「あの、愛知県豊橋市出身で、、
高校の時に浜松に越した、、
三人兄弟の末っ子で、、
村上龍が好きで、、
星座に詳しい、、
箸の持ち方はきれいだけど . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんに不思議な現象を感じとる力があることは周知の事実だが、こんな話がある。
実家住まいの紀勢さんだが、過去に一度だけ一人暮らしをしたことがある。学生時代、フランスはリヨンに短期留学した頃のことだ。
その彼女宅のバスルームの石鹸がきれた時期があった。
紀勢さんはふと、笑っていいとものテレフォンショッキングのゲストで福山雅治が出 . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんの住む茅場町のご近所さんに「綿貫の爺さん」と呼ばれる齢90近くにもなる古老がいる。
綿貫の爺さんは、紀勢さんが通っていた小学校の登校時の交通整理をボランティアで行っていたことから、地元の茅場町キッズの間ではかなりメジャーな存在だ。
なんでも紀勢さんの兄の時分から現在でも続けていることから、実に40年近く、地元キッズを「気を . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんには、一回り以上歳が離れた兄が1人いる。東京大学文3卒のインテリ学士だ。現在、中野在住、在野の学者として社会学を研究しつつ、大学講師や塾講師をしているそうな。
先日、兄と兄の後輩、喜連川さんと三人で飲んだ際、左派リベラルである筈の兄が、信じられない差別的な発言をしたそうな。
其のいきさつはこうだ。
品川でいい感じにできあ . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
その紀勢さんの住む茅場町の町内会のご近所さん、五百旗頭さん一家がこの度、長野に引っ越すそうな。
理由は、町内では誰彼かまわず大っぴらには言えないが、例によって放射能汚染による避難、レゲエ風にいうと「エクソダス」だそうな。
紀勢家と同じく、五百旗頭さんも古くは江戸期から茅場町に住んでいるそうで、谷崎潤一郎と遠い親戚にあたるそうな。
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僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんは妖怪にしばしば遭遇する。
特に頻繁なのが妖怪「ふんでんぼう」である。
歩行中になにか柔らかいものを踏んだ感覚がある。が、振り向いてもそこには何もいない。それは「ふんでんぼう」の仕業だ。そうな。
それは紀勢さんの亡くなった祖母、父、兄もよく遭遇するそうで、そのかわいいネーミングは紀勢家代々伝わるものであり、家中では割と . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
唐突だが、紀勢さんはバツイチだ。
僕も本日、唐突にその事実を知り、動揺している。
しかも、相手は外人だ。ドイツ人だ。
馴れ初めは聞けなかったが、離婚の原因はダンナの浮気だ。
しかも、相手はナイジェリア系ヨルバ人の黒人男性だったそうだ。
なぜ、ナイジェリア系ヨルバ人だと分かったかというと、浮気が発覚し、元ダンナを問い詰めていく際、紀 . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
そして齢70になるその父。
紀勢さんの父親も生まれも育ちも茅場町の生粋の江戸っ子だ。
その父が少年期の頃、日本橋界隈の下町キッズの中で最もホットでスリリングだったゲームが「力士狩り」だ。
「力士狩り」とは文字通り日本橋界隈を闊歩する力士を暴力によってねじ伏せること。
しかし、年端も行かない少年が果たして力士に勝てるのか、、答えは . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんは、たまに予知夢を見るそうな。
それは、
今朝の味噌汁の具材とか、
明日のいいとものゲストとか、
来週のサザエさんのタイトルとか、
来月の近所のツタヤの韓流コーナーに並ぶ新作DVDとか、
来年の「行く年来る年」の冒頭のロケ場所とか、
どうでもいいことばかりで、
それを知ってしまったから何がどうなったとかいう経験は、特 . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢家では、10年前に他界した彼女の祖母が、おはぎとか三社札とか数珠とかへそくりとか入れてた戸棚、
通称「おばあちゃんの戸棚」から、最近、無数のお守りが発見されたそうな。
古今東西、日本全国津々浦々、その数、数百におよぶ。
諏訪神社、熊野神社、猿田彦神社、稲荷神社のお守りなんかは各数十種におよび、彩り豊かなガジェットが単調に並 . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
先日、数年ぶりに紀勢さんの兄が茅場町の実家に帰ってきたそうな。
紀勢さんの兄の住まいは、中野であり結構近くなのだが、なんでも父親と不仲で、盆も正月もめったに帰ってこないそうな。
紀勢さんの兄はずいぶんかしこかったそうで、東大文3卒業だそうな。現在予備校や大学の講師をしているそうな。
紀勢さんとは、ひとまわり程年がはなれており、兄 . . . 本文を読む
僕の友人であり、我が楽団の作詞担当でもある紀勢やう子さん(33)。
紀勢さんはド文系のように見えるが、実はスポーツ万能だ。
特にバスケットボールは中学時代、関東大会優勝、東東京選抜に選ばれた程だったそうだ。
しかし、中学卒業を期にスポーツ競技とは、完全に縁を切ったそうだ。
なぜか、、
紀勢さんいわく、
バスケットが上手くなればなる程、自分が悪い人間になっていくのが嫌だった。
というのも、スポーツ . . . 本文を読む