25/2/13木19;55退職金1,800万円・預貯金8,200万円「合計1億円」の潤沢資産と共に憧れの早期退職をした55歳会社員。自由を手に入れたはずだったが…わずか1年で「出戻り再就職」懇願の末路
退職金1,800万円・預貯金8,200万円「合計1億円」の潤沢資産と共に憧れの早期退職をした55歳会社員。自由を手に入れたはずだったが…わずか1年で「出戻り再就職」懇願の末路【FPの助言】25/配信
様記事抜粋<
年収680万円の営業職を早期退職し、1億円の資産を手に「投資で食っていける」と確信したAさん(55歳)。しかし退職からわずか1年で資産は半減、さらに想定外の事態が重なります。また仕事をしなければならなくなったAさんでしたが……。今回は、55歳からの再就職の厳しい現実と、早期退職前に考えるべきことを、FPの三原由紀氏が解説します。 ▼【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
1億円の資産を手に会社を飛び出したが…「想定外」の連続
Aさん(55歳)は、都内の専門商社で30年間営業職を続けてきました。決して部署のトップセールスではありませんでしたが、コツコツと安定した成績を残してきました。 しかし、50代に差し掛かったころから営業力に陰りが。四半期ごとの売上ノルマ未達を理由に、上司から「このままでは役職定年後の処遇に影響が出る」と毎週のように言われ続け、心が折れていきました。 そんなAさんの転機は3年前。「これからの時代は投資が必須」というメディアの情報に感化され、YouTubeで投資関連の動画を見まくり、自分でも株式投資とFXを始めます。 株式市場の活況期に、いくつかの銘柄で利益を上げ、FXでも為替変動を捉えて利益を確保。一時的に資産が急増したことから「投資の才能があるかもしれない」という思いが芽生えました。 そして、退職金1,800万円と30年かけて貯めた預貯金(投資の利益を含む)8,200万円を合わせた1億円の資産を手に、「これだけあれば月50万円の利益は簡単に出せる」と確信、意気揚々と会社を去りました。 「ざまあみろ!」と心の中でパワハラ上司に呟きながら、肩で風を切って退職したのです。 しかし、退職からわずか1年後、Aさんの資産は激減します。投資の勉強は自己流で、経験も浅かったため、次第に資産は減少。FXではレバレッジ取引で大きな損失を被り、気づけば資産は4,200万円ほどまで減り、生活費に不安を覚えるように。自由を満喫するはずが、急激な資産減少により生活が一変したのです。 さらに追い打ちとなったのが83歳の父親の介護施設入所でした。自営業だった父の年金額は月7万円ほど。介護費用の月額17万円との差額10万円を、一人息子のAさんが負担することになったのです。 年間120万円の予期せぬ支出に、投資資金の取り崩しは避けられません。投資で減った分を取り戻せる自信もすっかり失ったAさんは、眠れぬ夜を過ごすことになりました
50代後半からの再就職の現実…「元の会社に戻りたい」
資産が減り続ける中、Aさんは再就職活動を開始するしかありませんでした。しかし、55歳以上の転職市場の厳しさを痛感することになります。 厚生労働省の調査(2024年)によれば、55〜59歳の男性の転職入職率はわずか5.7%。転職できても年収は大幅ダウンが一般的で、同年代の転職者で年収が増加したのは20.5%。つまり、5人に4人は年収ダウン、良くて維持というデータもあります。 Aさんも例外ではなく、営業職の経験があるとはいえ、応募しても書類選考すら通りません。応募する企業のほとんどが「経験豊富な若手」を求めていたからです。結局、数カ月間の求職活動の末、ようやく見つけたのは年収300万円程度の契約社員の仕事でした。 「元の会社に戻りたい」と後悔しても、すでに後の祭り。恥を忍んで人事担当に相談するも「一度辞めた人を再雇用する枠はない」と冷たく断られてしまいました。
早期退職を後悔しないために
Aさんのケースは決して珍しいことではありません。自由を夢見て退職したものの、現実は厳しく、経済的に困窮するケースは少なくありません。では、同じ失敗をしないためにはどうすればよいのか、重要なポイントを3つお伝えします。 ・投資だけに頼らない資産形成を 投資は資産形成の一つの手段ではありますが、それだけに頼るのはリスクが大きすぎます。Aさんのように株やFXで一時的に資産を増やしても、それが長く続く保証はありません。リスク管理を徹底し、安易な退職願望は捨てた方が賢明です。 ・セカンドキャリアの準備 退職前に副業を始めて収入力の検証をしておくこと、転職エージェントに相談して自分の市場価値を確認しておくこと、など退職後から年金受け取りまでの期間の収入の道を確保しておくことも重要です。 ・家族の介護リスクへの備え 親の介護費用は親の資産で賄うことが原則ですが、Aさんのように負担する可能性も少なくありません。親の年金額を含めた資産を把握できれば、経済的サポートが必要かの目安になります。また、兄弟姉妹がいる場合は、必要であれば費用分担を話し合っておきたいところです。
Aさんのように「投資で稼げる」という期待だけで早期退職を決断するのは危険です。まずは在職中に副業で収入力を試し、スキルアップと人脈作りを進めることも、後悔しない退職への近道と言えるでしょう。 三原 由紀氏
【関連記事】
- 年金月21万円・退職金3,000万円の元会社員、長年付き合いのある銀行員が笑顔で勧めてきた商品で投資を始めたが…半年後、とんでもない事態に愕然「信じた俺が悪いのか?」【FPの助言】
- 通帳を見た妻、絶叫。夫婦で平穏に暮らす年金月21万円・貯蓄2,500万円の67歳元会社員がすべてを失い「暗黒の老後」へ転落したワケ【FPの助言】
- こんな家買わなければよかった…。7,000万円で二世帯住宅を購入した68歳元会社員、幸せを噛みしめた3年後に娘夫婦と怒鳴り合いの大喧嘩→「地獄の同居生活」へ【CFPの助言】
- 年金月16万円・実家の母を頼りに〈世界を放浪する51歳の長男〉…1年ぶりの帰国も「もう実家はないわ」と告げられ窮地「俺はどこに住めばいい?」
- 働いたら負けだろ…年金「年間160万円」の両親を頼り続ける〈57歳・無職のひとり息子〉、遊び暮らした「35年の代償」
-
なぜ「セブンの一人負け」が起きているのか…客数減でも好調なファミマとローソンとの明暗を分けた本当の原因
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます