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董永(中国故事)

2014-03-08 | 中国の物語

 漢の時代、千乗という町に董永という人がいた。

 董永は小さい時に、母を亡くし、父といっしょに生活をしていた。彼はせっせと田を耕し、小さな車を 引いて道具を運び、全力で父を養っていた。その後、父が亡くなったが、埋葬するお金がなかったので、奴隷として身売りをし、その売ったお金で葬式を行った。

 董永を奴隷として買った主人は、彼が好青年であることを知り、彼に一万のお金を授け、家に戻って喪に服するように言った。董永は三年の服喪を終えると、奴隷となるために、再び主人の家へ向かった。その途中、一人の美しい女性と出会った。 

 女性は彼に、「わたしはあなたの妻になりたい」と言った。
 董永が今の自分の事情を説明したが、その女性が執拗に董永に嫁ぎたいというので、やむを得ず承諾した。それから、その女性は董永といっしょに買い主の家に行った。

 主人は董永に言った。「あの金は君にあげたつもりだったのだ。」
 董永、「わたくしはあなたに大きな恩義を受け、どうにか父の葬儀を終えることができました。わたく しは取るに足りない男ですが、必ず、あなたのために力を尽くし、恩義に報いたいと思います。」

 主人、「こちらの女性は何ができますか。」

 董永、「機織りができるそうです。」

 主人、「では、君がどうしても恩を返したいというのなら、奥さんに百匹の上質な絹を織っていただきましょう。」

 それから、董永の妻は主人のために、十日で絹を織り上げてしまった。

 その後、何もかもが無事に済んで、董永と妻が主人の家を出た時、妻は董永に向かって言った。

 「わたしは元来天上の織女でしたが、あなたがとても親孝行なので、天帝が、あなたの借金を返す手伝いをさせるため、下界に遣わされたのです。」

 そう言い終えると、彼女は空に舞い上がって行った。その後、彼女がどこへ行ったかは誰も知らない。

《中国故事「董永」》



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