建築・環境計画研究室 (山田あすか)

東京電機大学未来科学部建築学科

なんでもいろいろ集めて比べてみると面白い。〜トイレの男女サイン

2019-08-11 18:36:27 | 雑記

こんにちは、突然ですがトイレの男女のサインについてどう思われますか?
どうも思わないですか、そうですか、だいたいそんな反応です。
しかし、数を揃えてみるとそれなりに面白いです。というわけで細々と,目についたら事例収集しています。

なんでもそうだと思いますが,いろいろ集めて比べてみると,面白いです。

こちらは講義でも研究でもなく思ったことをメモしておくブログ記事ですので、その程度でお気楽にどうぞ。

今日はここ1ヶ月くらいの収集事例を並べてみようかと思います。

 

基本情報として、トイレの男女の別を、赤=女性、青または黒=男性、の固定された色分けでこれほど しつこく 、公式に示すのは管見では日本だけです。
(観察件数は計30カ国くらいかな?)
アジア各国でも色分けはありませんので、日本だけなんだろうなあと思っています。
なお、ODAなど日本の会社が作った空港ターミナルや高速PA、日本企業に買われたデパートなどではしつこく色分けしているのを目にすることがあります。
その国の文化には(その時点では)合わないものですが、設計者さんは良いものと信じておられるのでしょう。そしてそのまま施工されているところを見ると,「ここの色が違ったところで,何かの思想を強制されているわけではない」ので「特に気にされない」のではないかと思われます。

あれ? になるのは,それが「複数の公共施設を含むどこの施設でも」「常に同じ色で」わけられている時なんだと思います。


なお、男女の別が色分けじゃないってどういうこと? というと、

こんな感じで、というか(これは5月のNYC大学)、「特に色でわけない」。
最近は日本の公共建築でも、両方黒で、かたちだけで区別を示す例は増えているように感じます。
(が、意識が向いているからそう見えるだけかも? 統計を取ったわけではありません。)

 

最近注目して拾っているのは,ポーズ。

「男性と女性の色分け」についてはもう飽和してきた感があるので=先述のように,意識のあるところでは色分けに頼らないようになっているので,今度は「ポーズ」が気になっています。

 

ポーズってなんじゃらほい,というと,


これ…わかりますか,公共交通機関の駅のトイレサインは,だいたいこのポーズです。こちらは関東の地下鉄。

 

某ペンギンの最大手鉄道会社。こちらは構内図から持ってきました。

 

新東名PA。ちなみにこの床サインは「ここなんの事件現場?」な風情をまとっていますが,それはまた別の話。

関東の某私鉄。

 

これらのサインの「ポーズ」,共通しているのは「男性は足を開いて立っている。女性は足を閉じて立っている」ということです。



別のPA。mankindとしての基本のポーズは「脚を開いている」であることが,この「性別を問わない子供」のピクトグラムから理解できます。そして一定年齢以上の女性は「脚を閉じる」。このデザインの思想がわかってきましたね。

 

鉄道駅や車内では乗客に対して,足を開いて座らないでください,周りの人のことも考えましょうというポスターが掲示されることもありますし,車内放送が入ることもある。電車内のマナーといえば,の話題でもしばしば取り上げられます。

一方で,公共交通機関では男性は足を開いているもの,女性は足を閉じているものという無意識へのメッセージをピクトグラムが送ってしまっている。どうなんでしょうこの現象。

 

でもこれは公共交通各社さんが悪いのではなくて,JIS規格の通りのサインを使っているからですね。そちらには色の指定はありませんが。

このように。

ここです。そもそも女性=スカート,男性=パンツ,の「服装の固定観念の強化」についてはまた別の話として,ポーズのことだけ話題を進めます。話題がとっ散らかるとよくわからなくなりますから。

 

ではJISがそう言っているのだから,しょうがないじゃないかというと,こういうピクトグラムを採用している例もあります。


某デパート。関東圏に強いですが多くの店舗を持つ大手です。男性と女性の両足の間隔は,同じです(男性の方の足が太く,パンツルックの表現だと思います)。

同様事例。都内某役所。同じものを使っているかも。



さらに,関東圏某役所。女性の方が脚を開いているピクトグラムはちょっと珍しい。そんなことを見る人はいないと思っているのかもしれない,好感が持てます。

 

ちなみに脚を閉じるピクトグラムの類例ではこちら,


男性はこれは短パンってことでしょうか。伊豆に向かう電車なので…海パンってことなんでしょうか。


私にはHUNTER×HUNTERのギドにしか見えないんですけど,誰も気になりませんか,そうですか。

こんな感じで,例えばトイレのサイン一つに着目して見比べるのも面白いです。サインだけでもいろいろな思想の現れだったりしますよね,「ちょっとしたこと観察」の仲間が増えると楽しいなあ。

面白違和感観察仲間も。

 

これは踏めないでしょ入っていいのこれ? とか



実験なんだと思うんですけどねえ,このサインは。床に描かれたサインは,高齢者や子供への情報提示としては有効だと言われているので(視線が低い),この後各地に増えたら,自信作だったってことなんでしょうね。

ただ別の話,病院のサイン計画で高齢者対応のためにサインの定時位置を思い切って下げたんですよという説明を受けながら見学をした3年後に再訪したら,サインが上の方に付け替えられていて「まあ遠くから見えにくかったってことだろうな」って事象もあったので,どんなものでしょう。要経過観察。

  

 

 

あとサインの話とは全く関係ないのですが,先日訪れたとある駅のトイレは静かな怒りに満ちていて,いろいろとお困りのご様子が伝わってきました。

みんな平和に暮らせるように,お互いに気遣いやマナーができるといいですね。








あまりにも注意書きが多くて,大変なんだなあって思うと同時に,知らない人の分も怒りを向けられているようでちょっと居心地が悪かったです。この駅の方は本当に大変なんだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 





 


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