「祭事における商店街来街者の座り空間整備に関する研究」レビュー
平田圭子、浅沼則行、菅原辰幸 日本建築学会計画系論文集 第76巻 第663号 2011年5月
09FA030 小林志乃
目的
本来座るところではないが、催事の時など疲労や飲食のために座ってしまう物や空間などを通して、祭事以外の日常においても来街者の身近で役立ち、気軽に外出する助けとなる空間整備の新しい指針を得ること
研究方法
現地調査とアンケートによって実施した。対象地は広島県郊外にあるコイン通りである。
祭事の現地調査
祭事が行われている商店街などの調査
祭事の内容や祭事空間分類及び祭事空間のイベント内容と来街者との関係
座り空間の分類
座り空間での体勢
コイン通りにおける祭事の座り空間に関するアンケート調査
地域住民のアンケート対象者の属性、祭事に行く頻度、行く祭事、祭事に一緒に行く人数、祭事に行って困ること、滞在時間、滞在時間ごとの座りたくなる目的
祭事の座り空間の場所別の座る目的、理由
コイン通りにおける散歩行動の座り空間に関するアンケート調査
地域住民のアンケート対象者の属性、散歩行動の実施、時間、ベンチ以外での座り空間
散歩行動中の休憩場所の提案プランに関する利用希望とその是非、座り空間に欲しい機能
調査結果
1)広島県内で行われている13の祭事の現地調査から、座り空間の分類においては、最初から座るために用意された椅子やベンチ・テント以外に、祭事を取り囲む空間形態の中から高さや幅などのなんらかの要素を利用して、来街者が座る様子が多くみられた。
2)祭事に関してのアンケート結果から
祭事に行って困ることのひとつに「座る場所」があげられている。
座る目的として、休憩・飲食・パレードなどの見物・コミュニケーションが挙げられ、座る場所は仮設のベンチや椅子であるが、段差・縁石・駐車ブロック・階段などにも多く座られていた。
3)散歩行動に関してのアンケート結果から
ベンチ以外の座る場所は、階段・縁石・車止め・ガードパイプに腰かけたり、寄りかかっている例が多い。
また、利用したい座り空間は植木鉢・車止めポール・ガードパイプが多く、利用したくない座り空間はブロック塀・フェンスが多かった。
散歩行動中に座り空間は必要か、という質問には約半数の人が必要だと答えた。
散歩行動中の座り空間に欲しい機能は、荷物置きとしての場、衣類の汚れない、体を預けても安定感のある背もたれが求められている。
以上のことから非日常的な祭事空間だけでなく、日常的な生活空間で座り空間の整備における指針と成り得る指針のいくつかを得られた。
感想
祭事の時に本来座るためのものではないところに座ってイベントを楽しむことも、非日常なわくわく感が高まるという人もいると思うので、祭事の時を想定した座り空間をあまり重視しなくてもいいのではないかと思った。ただ、日常の中で座り空間が必要だという意見が多かったので、日常的に使われ、地域の交流場にもなり得る空間である、座り空間の整備は重要だと思った。
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