松本歩子、中山徹：「放課後子どもプラン」実施における学童保育のあり方に関する研究

「放課後子どもプラン」実施における学童保育のあり方に関する研究

−一体化事業における保育機能の現状から−

松本歩子、中山徹

日本建築学会計画系論文集　第74巻　第635号　33-40　2009年1月

 

１．研究背景

　　「放課後子どもプラン」が実施されることとなったが、学童保育と全児童対象事業との連携がどのように取られるべきかが明確になっていないため、学童保育の機能がどのように位置づけされていくのか方針がとれない。

 

２．研究目的・方法

　　1)学童保育と全事業対象事業が一体化・連携している事業の現状を明らかにし、特に学童保育と全事業対

策事業が一体化した事業における学童保育機能の現状を明らかにする

→先駆的な事例を取り上げ自治体におけるヒアリング調査、現地観察調査、事業概要に関するアンケート

　　 2)放課後子どもプランにおける一体化の望ましい形態を保育機能の面から探る

　　　　→1)で明らかになった類型化から分析を行う

 

３．事例からみる学童保育と全児童対策事業の関係

　　　・保育が特に必要である低学年児童は学童保育を利用、高学年は全児童対象事業に参加する計画(学年

別連携)

　　・学童保育児童は平日学童保育を利用、土曜日は全児童対策事業に参加する計画(曜日別連携)

　　・平日は学童保育に参加しながら、運動場などでは全児童対策事業に参加し、土曜日は全児童対策事業に

参加(同時に２つの事業を実施し連携)

　　以上が主な例で1つの事業において学童保育児童も含めたすべての児童に対して放課後の居場所づくり対策を実施しようという「一体化」の計画が多い

 

４．まとめ・考察

　　放課後子どもプラン実施に伴い、自治体によっては、学童保育と全児童対策事業の一体化の形が検討されている。

　　一体化を行う場合は次の３点が満たされていることが望ましい。

　　a)充実した全児童対策事業が可能である

　　b)学童保育児童の一日のリズムをコントロールできる

　　c)学童保育指導員が全児童対策事業も担当する

 

５．感想

　　自分の地元では学童保育は児童館のなかにあり、おやつなどの生活の時間は学童保育児童は同じフロアの別の教室で過ごしていたが、子ども同士では特に気になることもなかった。

　　親にとって子どもがどんな場所で過ごしているのかは気がかりだと思うので、学童保育の機能を保ちながら子どもの放課後の過ごし方が充実・発展していくといいと思う。

 

(鈴木杏奈)