住まいにおける子どもの居どころと母親の育児観(建築計画)
山本有沙、大山知以、池田知代、片山勢津子、中村孝之
日本建築学会近畿支部研究報告集,計画系(48),33-36,2008-05
1. はじめに
日本では、親子同室寝、特に母子同室寝の習慣が現在も根強く残り、子ども部屋の設置後もしばらくは親と同室寝が継続するのが一般的である。そこで、本稿は前稿の継続研究として、母親の育児観による子どもの居場所や持ち物の置き場所の違いについて明らかにすることを目的とする。また、インテリア行為との関連性についても考察を試みる。
2. 調査方法
アンケート調査結果を元に因子分析とクラスター分析を用いて育児観による母親の類型化を行う。次いで各クラスターから数件の訪問調査を行い、母親の育児に対する考え方と住まい方の特徴を捉え、アンケート結果とあわせて考察する。
3. 考察・まとめ
子どもの成長への対応に母親の思考タイプによる違いがみられた。母親の育児観・家族観の違いによって住まい方を見ると、子どもとの距離の取り方と子ども中心の思考かどうかという2点で整理できる。子どもとの距離の取り方によってA:子の状況に合わせた住まい方、B:事前に部屋の用途を決める住まい方 に二分でき、Aの場合は部屋の用途変更が多く、Bの場合は住まいと住まい方に一時的なずれが生じることがある。また、Aは子ども部屋の管理に母親も関わるのに対して、Bは子どもに委ねる。インテリア行為については性差が大きいが、クラスターによって母親の関わり方が異なり、関わり方の積極性と自由度で整理できると思われる。
4. 感想
母親の育児観が子どもの住まい方を大きく左右していることが分かった。母親のタイプによって求められる間取りが変わってくることから、基本的な平面計画を研究するのも面白そうだと思った。
(鈴木志歩)
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