子供の頃の居住環境の違いが子供の遊びと心象風景に及ぼす影響に関する研究
水崎祥子 大影佳史
学術講演梗概集 F-1,都市計画,建築経済・住宅問題2010,417-418,2010-07-20
1、 研究の背景と目的
これまで、子供を取り巻く環境は急激に変化してきた。都市開発により、子供の遊び場は質的・量的に悪化し、体験で培われる五感や感性が鈍くなってきたといわれている。本研究は大学生を対象に、子供の頃の居住環境の違いが屋内外遊びや、昔と今の心象風景に及ぶ影響について明らかにし、心象風景と居住環境との関連性を把握し、豊かな街を創造していくための基礎的資料を得ることを目的とする。
2、 まとめ
2−1、居住環境と遊びの関係性
屋内遊びにおいては、都心から離れている居住環境ではゲーム系(TVゲーム、カードゲーム)の割合が少なく、おもちゃ系(人形、積み木)の割合が多く、その他では大きな違いはなかった。つまり、都会と農村という居住環境の違いによる流行の敏感さがゲーム系とおもちゃ系に多少影響が見られた。
屋外遊びにおいては、都心部の居住環境に関して、水遊びや自然遊びなど自然に触れる遊びの割合が少なかった。つまり、居住環境の周りの山や川の存在が、外での遊びに大きく影響していることがわかる。
2−2、居住環境と心象風景との関係性
昔よく遊んだ風景に関しては、都心部では空地系(公園、グラウンド)の割合が多く、それは子供が安全に遊べる場所が限られていたためだと考えられる。逆に、農村地域では空地系の割合は少なく、それは交通量が少ないため、子供が安全に遊べる環境が整っていたからだと考えられる。つまり、居住環境の安全面の問題が、遊ぶ場所に影響していると考えられる
今現在のお気に入りの風景に関しては、都心部ではまちなみ系(並木道、夜景)、農村地域では自然系(木、芝生)の割合が多かった。つまり、自分の愛着のある場所を好む傾向があることがわかった。
3、 感想など
育つ環境が遊び方や遊ぶ場所に大きな影響を与えてしまうということがわかった。この結果から、子供にとって安全で、いろんなものに触れられ、学ぶことが可能な街づくりが豊かさを創造できるのではないかと思う。
そして、このような影響は居住空間でも起こるのか研究してみたい。
(秋山慶斗)
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