怪談
理不尽が行われれば 人の心に鬼が生まれる
理不尽がはびこれば 妖怪が街の闇に住みつく
理不尽が正されなければ 怪談が夜の巷でささやかれる
理不尽がまかり通れば 幽霊が怨みの形相で顕われる
理不尽を許さぬ心が 鬼の姿となって
理不尽を犯す者を とり殺す
理不尽に踏みにじられた悲しみが 妖怪となって
理不尽を犯す者のそばで 跳梁跋扈する
理不尽にほうむられた惨めさが 怪談を増幅させ
理不尽を犯した者を 怪談の中に引きずり込む
理不尽に犯された惨めさが 幽霊となって
理不尽を犯した者に 怨みの復讐を果たす
鬼が 人に取り憑き始めている
人が 妖怪に化け始めている
現実が 怪談になり始めている
幽霊が 人の怨みを晴らそうとし始めている
人は 怪談の中に住み始めている
理不尽を 精算するために
理不尽を犯す者に 落とし前をつけるために
彼らは 決して往生しない