山之上もぐらの詩集

2024年01月15日 | 日記

セミの脱け殻

 

俺を脱ぎ捨てて、

夏の空に飛び去った魂は、

その夏の中に、亡びた。

 

白い骨の林の中で、

脱殻の俺は、まだ、地表に這い出た姿のまま、

落葉樹の幹に、爪を立て、空を見上げている。

 

陽は暖かく、まっすぐ俺に、ふりそそぐ。

とっくの昔に、魂が亡びていても、

骸の俺は、ここに居て、

今、春風に吹かれている。



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