山之上もぐらの詩集

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犯罪する老人

2025年01月15日 | 日記

犯罪する老人

犯罪する老人が街の中に増殖する
私はそのうちの一人
今は町内に住む変わり者ではあるが普通の老人
ふと見上げたまだ青い夕空の白い満月に
理由も理屈も無い涙を流すように
理由も理屈もない憤懣に
いつだってキレる恐れは充分にある

自制心 我慢 理性 それは同義語
決心 行動 犯罪 それは同義語
現実 理不尽 法律 それは同義語
罰則 テロ 正義 それは同義語
自殺 他殺 死 それは同義語

生きがいの無い人生に
老人は死にがいを探している

老人は 若者が大嫌いだ
若い奴らを見ると
未熟で傲慢で卑怯者だった自分を想起して 背筋に鳥肌が立つ
若者たちに未来などはない
未来を夢見た若者のまま死ぬか
自分を裏切って老いぼれるかだ
若者のまま死んだ奴の生きがいも死にがいも 若い分だけ傷ましく虚しい
かって若者だった俺たちが言うことだ

若い愛人に 毒殺される老人も
コンビニでおにぎりを盗んで 逮捕される老人も
何十億もの金をくすねて 不出来な息子に残そうとする老人も
八十過ぎた夫の浮気に嫉妬して 包丁で刺し殺そうとする老人も
深夜の道で 帰宅途中の女性の胸を触ろうとする老人も
負えなくなった介護に 親や伴侶や子供に手を掛ける老人も
それが生きがい それが死にがい 

生きがいと死にがいを求めて
私もやがて 犯罪する老人



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