A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

いいアルバムが生まれるのは、プレーヤーだけでなくプロデューサーの手腕によるところが大きい・・・・

2012-04-12 | MY FAVORITE ALBUM
Bill Evans At The Montreux Jazz Festival

クラークテリーのアルバムのプロデュースでヘレンキーンの名前が出てきたが、彼女といえばやはりビルエバンスとのコンビであろう。
大手レーベルの有名プロデューサー達を差し置いて、彼女はビルエバンスのマネージャー兼プロデューサーの地位に納まった。彼女とエバンスとの付き合いは1963年からエバンスが死ぬ1980年まで続く。実際に彼女がプロデューサーとなったアルバムは、このアルバムよりも少し前.からだと思うが、Verveに移籍してからのエバンスというのは、オーケストラとの共演があったり、ソロがあったり、シェリーマンとの共演があったり、リバーサイド時代のせっかくのトリオとしてのまとまりが活かせていないような気がしていた。

ジャズのいいアルバムができるというのは、レーベルのコンセプトと、それを実現するためのプロデューサーに負う所が大きい。しかし、大手レーベルの場合はどうしても売れるタレントと売れる企画になりがちだ。ジャズの場合も同様で、大手レーベルのアルバムはとかく大物ミュージシャンに流行のものをやらせればいいというものになってしまう。巨人が有名選手をトレードで集めるのと同じで、育てていくという姿勢が少なくなる。当時のVerveもそのような状況であったと思う。

ところが、彼女がプロデューサーになってからは、エバンスのトリオは纏まりをみせてきた。そして、このアルバムが生まれた。「お城のエバンス」は当時から話題になったし、ジャズ喫茶でもよくかかった。このアルバムを初めて聴いた時は、誰しも衝撃を受けたと思う。あのエバンスのトリオが進化したので。

ゴメツの加入は少し前からであったが、ジャックディジョネットの参加はこれが最初。というか、これ一枚かもしれない。ところが、この3人のコラボレーションが実に絶妙だ。
いい演奏が多いエバンスのライブだが、これはいつものクラブでのライブではない。モントルーは大きなカジノのステージだ。有名なモントルージャズフェスティバルおステージだが、このアルバムが録音された前年1967年が第一回。この年が2回目で、エバンスは特別な招待を受けたとか。エバンスのとっては晴れの舞台である。場所がスイスというのが別の印象を与えているのかもしれない。新鮮な感覚はジャケット写真の与えるイメージも大きい。
色々な要素のすべてが上手く噛み合って、新生エバンストリオをプレゼンテーションできている。久々に聴いたが、やはり自分のとってもお気に入りの名盤の一枚だ。

所属レーベルが変って、自分の持つ素質の新しい側面を出すミュージシャンも多い。しかし、多くの場合はレーベルの営業政策も微妙に影響してくる。しかし、エバンスの場合は良くも悪くもエバンスありき。レーベル事情で内容を振り回すより、エバンスを引き出す役割としてのプロデューサーが重要だ。エバンスとってマネージャーを兼ねるヘレンキーンは適役だったかも。いいアルバムが生まれる条件としては、いいマネージャーに恵まれることもひとつの条件だ。煩雑な交渉ごとや調整ごとに振り回されることなく、このような場が設定されて演奏に没頭できるので。

ヘレンキーンは、エバンスの他にも、アートファーファーマー、キャロルスローン、ケニーバレルなのプロデュースを引き受けていた。誰もが、ジャズを純粋にプレーしたいというミュージシャン達。このようなプロデューサーが多くいてくれれば、いいアルバムが後世に残せるのだが。

1. One for Helen         Evans 5:22
2. A Sleepin' Bee         Arlen, Capote 6:05
3. Mother of Earl         Zindars 5:14
4. Nardis             Davis 8:23
5. I Loves You, Porgy       Gershwin, Gershwin, Heyward 6:00
6. The Touch of Your Lips     Noble 4:45
7. Embraceable You        Gershwin, Gershwin 6:45
8. Someday My Prince Will Come  Churchill, Morey 6:08
9. Walkin' Up           Evans 3:45

Bill Evan (p)
Eddie Gomez (b)
Jack Dejohnette (ds)

Produced by Helen Keane
Enginner : Pierre Grandjean & Jean-Claude Martin

Recorded live at the Casino de Montreux on June 15,1968

<tdBILL EVANS/td>
モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス+1
ユニバーサル ミュージック クラシック
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする