A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

たまには少し趣を変えて少しソウルっぽく・・・・

2012-04-26 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Potpourri / Thad Jones & Mel Lewis Jazz Orchestra

サドジョーンズは、デトロイト出身。デトロイト出身のミュージシャンは多く、出身者が集ってアルバムも出来ている。その後、モータータウンと言われるデトロイトは音楽が盛んなのか、その後有名なモータウンレーベルを生んでいる。

ニューヨークの南約100マイル、ワシントンDCに行く途中にフィラデルフィアという街がある。ここ出身のミュージシャンによるアルバムもあった。この街ももしかしたら昔から音楽が盛んだったのかもしれない。この街にも、フィラデルフィアインターナショナルという、ソウルミュージックではメジャーなレーベルが生まれた。オージェイスやスリーディグリースを生んでいる。

サドメルのオーケストラのアルバムは大体紹介し終わったかと思っていたがまだ何枚か残っていた。このフィラデルフィアインターナショナルから出たアルバムだ。カタログを見返しても、ソウルのスターが並んでいる中で、このアルバムともう一枚モンクモンゴメリーのアルバムだけが浮いている。

サドメルのオーケストラは、不動のサックスセクションに較べてトランペットセクションは最初からメンバーの交代(あるいは複数のメンバーが交代に務めていたのかも)が多かったが、70年代に入るとオーケストラ全体でメンバーの入れ代わりが多くなっていた。
70年に録音されたアルバムの「コンサメーション」が初期のメンバーの最後のアルバムといってもいいだろう。

その後、所属するレコード会社もSolid State(Blue Note)から、A&Mに替わってアルバム制作を行うことになる。ところが、’72年に録音された物もしばらくお蔵入りの状態だった。その間、ライブの方はレギュラーの仕事場所であった毎週月曜日のVillage Vanguardだけでなく、オーケストラはロードにも出るようになっていた。これはアメリカ国内だけでなく、遠くヨーロッパにも。このようにツアーに出るようになると、メンバーの若返りは一層拍車がかかった。サックスセクションの重鎮であったジェロームリチャードソンも、バンドを離れてスタジオワーク中心の活動に戻っていた。

この時期に日本への2度目の来日が実現されたが、その時のアルバムが“Live in Tokyo"で残されている。この時、A&Mでの録音はすでに始まっていたが、契約的にはまだ拘束を受けていなかったのだろう、日本のレーベルでのアルバムが誕生した。
翌’’75年の来日時も日本でアルバムを作ろうとしたが、今度はサドメルオーケストラの名前での録音は契約上できずに、フランクフォスターのオーケストラと名前を変えて実現できたのは以前説明したとおりだ。

このアルバムは、このような契約関係が流動的であった’74年に作られたアルバムだ。
メンバーは’74年の来日メンバーと全く同じなので当然この来日前後の録音になる。
資料を見ると74年6月にフィラデルフィアでの録音という記録もあるが、この録音にも参加しているペッパーアダムスの記録によると、2月18日、20日にフィラデルフィアでということになっている。
アダムスの記録では、オーケストラはその足でマイアミ、サンフランシスコでのコンサートを経て、25日にシスコから日本ツアーに旅立っている。多分こちらの方が正しいのではないだろうか。
とすると、このアルバムは’74年の来日の直前に録音されたアルバムということになる。来日時のコンサートのプログラムは覚えていないが、“Live in Tokyo”にあるように、当然初期の作品からが多く、この新作からの曲は無かったと思う。

このように、このアルバムは何故か突然フィラデルフィアで生まれたアルバムだ。
録音もニューヨークから近いとはいえ地元の本拠地シグマサウンドスタジオにわざわざメンバー全員がニューヨークから出向いて録音されている。
レーベルカラーが強いのが影響してか、サドメルのオーケストラにとってもそれまでの路線とはいささか趣が異なっている演奏だ。

まずは、ローランドハナがエレキピアノを多用していること、ハーモニカのBuddy Lucasを加えてソウル色を打ち出していること、そしてスティービーワンダーの曲を取り上げていること。もちろん従来の延長上でサドジョーンズの曲が大半でジェリーダジオンのアレンジも収められているが、全体は8ビート基調になっていることなど、など・・・。

このアルバムがどのような経緯で突然生まれたのか良く分からないが、レーベル事情でいえば話題のサドメルのオーケストラでソウルをやったらどうなるか?というチャレンジだし、サドメル事情で言えば、丁度A&Mで新しいアルバム作りを模索している最中にちょっと浮気をということにもなるのだが・・。

それまでも、スタジオワークが多いメンバー達だったので、オーケストラ全体でアレンジ付で別のミュージシャンのアルバム作りのバックを務めるということはあったのだが、自らの看板を掲げてのアルバムとなると、きっと何か意図があったとは思うのだが・・・果たして真相は???
結果は75年のグラミー賞にノミネートされているのだが、あまり話題にはならないアルバムだ。

1. Blues In A Minute    Jones 8:24
2. All My Yesterdays    Jones 4:31
3, Quiet Lady        Jones 7:31
4. Don't You Worry 'Bout a Thing   Wonder 3:58
5. For the Love of Money       Gamble, Huff, Jackson 4:12
6. Yours and Mine      Jones 3:46
7. Ambiance         McPartland, Arr: Dodgion 7:22
8. Living for the City    Wonder 4:24


Thad Jones – flugelhorn

Jon Faddis : trumpet
Jim Bossy : trumpet
Steve Furtado : trumpet
Cecil Bridgewater : trumpet
Jimmy Knepper : trombone
Quentin Jackson : trombone
Billy Campbell : trombone
Cliff Heather : trombone
Jerry Dodgion : alto saxophone, flute
Eddie Xiques : alto saxophone, flute, clarinet
Billy Harper : tenor saxophone, clarinet
Ron Bridgewater : tenor saxophone, clarinet
Pepper Adams : baritone saxophone
Roland Hanna : piano
George Mraz ; bass
Mel Lewis : drums
Buddy Lucas : harmonica, jaw harp

Recorded 1974 June, at Sigma Sound Studios, Philladelphia

コメント
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