A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

あまり話題になることは無いが、いつも時代の中心にいるスタンレータレンタイン・・・

2014-10-31 | PEPPER ADAMS

The Spoiler / Stanley Turrentine


ブルーノートレコードの創設者アルフレッドライオンが手掛けたレコーディングの最後は1967年7月のスタンレータレンタインのレコーディングといわれている。その作品もアルバムとしては発売される事なく数曲が世に出ただけである。長年自ら手塩にかけて育てたブルーノートレーベルを去るにあたっては寂しい花道であった。

ブルーノートレーベルを足掛かりにしてスターに育っていったミュージシャンは数多くいるが、このラストレコーディングの主役スタンレータレンタインもその一人であろう。
ところが、そのタレンタインはジャズの歴史の中で多くを語られることは無い反面、その後ブルーノートを離れてもタレンタインは多くのアルバムを出し続ける。
ソウルフルなテナーでデビューしたが、フュージョンブームになるとその第一線でも活躍する。CTIでの洗練されたバックでのテナーも魅力的だった。

いつも時流に乗れたという言い方もできるが、周りがどのように変っていっても通用するテナーの魅力を持っていたと言ってもいいだろう。このアルバムでも、得意なソウルフルなテナーに加え、バラードプレーではこれぞテナーという音色で迫る。結果的にはいつの時代においても人気を続けられた実力者であったということになる。

このタレンタインは丁度ブルーノートのリバティーへの売却話が進んでいた1966年7月に前作”Rough’n Tumble”を録音した。続けて7月8日には”Easy Walker"、そして9月にはこのアルバムを録音し量産体制に入っていた。リバティーへの傘下に入っても、その時はまだアルバム作りはライオンが主導的に行っていた。ライオンにとってもその時自ら置かれた難局を乗り切る切り札であったのかもしれない。

リバティーの傘下に入る前からブルーノートのアルバム作りは制作方針を変えざるを得なかった。というのも、64年にリーモーガンのサイドワインダーが大ヒットして以来、市場から同じようなアルバムを求める声が大きくなり、マイナーレーベル故に可能であった自分の好みと拘りに合わせたアルバムばかりを作ってはいられない状況になっていた。その一つの現象が、その後の2年間は多くのアルバムで一曲目にノリの良い長めのブルースの曲が収められたという。

このアルバムが作られたのもその時期に当たる。そのようなアルバム作りになっている。
一曲目のThe Magillaは軽快なジャズロックのリズムに乗ったシンプルな曲。「サイドワインダー」ファンをまずは満足させるための規定課題曲のようなもの。どころが、2曲目からは雰囲気ががらりと変わる。

このアルバムにも前作に続いてペッパーアダムスが参加している。この年はブルーノートの録音へサイドメンとして参加が続くが、その一環としての一枚になる。前作が7月1日の録音で、翌日はサドメルのオーケストラでニューポートジャズフェスティバルへの出演という強行スケジュールであったが、7月19日にはハービーハンコックのレコーディングにも参加する。このセッションは記録によると26回以上のtakeが重ねられたが、多くは曲名もつかずにお蔵入りとなった。数曲が世には出てハンコックのコンプリートアルバムには収められているようだが、果たしてペッパーアダムスのソロがあるかどうかは・・・?

さらに夏にはジョーヘンダーソンが新たに編成したビッグバンドのリハーサルに参加する。サドメルのオーケストラに刺激されたのか、その頃ビッグバンドの新設ラッシュが続いていた。
そして、ミルトジャクションのビッグバンドをバックにしたタウンホールのコンサートにも参加。ミルトジャクションのビッグバンドなどはレコーディングだけかと思ったらコンサートも行われていたとは。

そして9月22日にこのアルバムの録音に臨む。アダムスはラフィエスタで一曲だけソロをとっている。チックコリアの有名なラフィエスタとは同名異曲であるが、この曲もパーカッションを効かせたラテンアンサンブルで、タレンタインに続いてアダムスが続く。アダムスのラテン系の曲でのソロは珍しいかも。



オクテット編成、パーカッションを加えると9人編成の大所帯。アダムス以外にもバックに加わっているメンバーも錚々たるメンバーだが基本はアンサンブルワーク中心で、ソロの出番は数えるほど。何故かマッコイタイナーのピアノだけが随所で耳に残る。デュークピアソンのアレンジもあまり凝ったことはせず単調だが、タレンタインのテナーのバックにはこの感じが良いのかもしれない。

1. The Magilla                Duke Pearson 6:02
2. When the Sun Comes Out    Harold Arlen / Ted Koehler 5:58
3. La Fiesta                 Armando Bozo 5:01
4. Sunny                    Bobby Hebb 7:20
5. Maybe September  Ray Evans / Percy Faith / Jay Livingston 4:43
6. You're Gonna Hear from Me   André Previn / Dory Previn 5:18
7. Lonesome Lover        Abbey Lincoln / Max Roach 4:36

Stanley Turrentine (ts)
Blue Mitchell (tp)
Jullian Priester (tb)
James Spaulding (as,fl)
Pepper Adams (bs)
McCoy Tyner (p)
Bob Cranshaw (b)
Mickey Roker (ds)
Joseph Rivera (shakers, tambourine)

Produced by Alfred Lion
Arranged by Duke Pearson
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood on September 22, 1966


Spoiler
Stanley Turrentine
Blue Note Records
コメント (2)
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