A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

生涯付き合える友人は誰にでもいるものだが、・・アダムスの無二の親友は?

2012-04-10 | PEPPER ADAMS
Pepper Adams Live at The Douglas

2004年12月19日サンフランシスコの地元紙に、あるジャズミュージシャンの死亡記事が載っていた。John Marabutoというピアニスト、中央では無名といってもいいかもしれないが、地元ではそれなりに活躍していたミュージシャンだった。
この“Marabuto”、実はメルルイスのファーストアルバム"Got' Cha"で、調律のしていないピアノを弾いたピアニストだ。一緒にセッションに参加したペッパーアダムスも彼との出会いはこれが最初ではなかっただろうか?記事の中にも、シスコを訪れるミュージシャンとは良く一緒にプレーをしたとあり、その中にペッパーアダムスの名前がある。

ペッパーアダムスが、サドメルのオーケストラを辞めたのは1977年8月24日。ヨーロッパを巡業中だったアダムスは、10年以上在籍したサドメルのオーケストラを離れ、ソリストとして活動することを決め、ニューヨークに戻った。
ソリストとしての最初の仕事場所はニューヨークではなくサンフランシスコ。そこでアダムスを待ち受けていたのは、このJohn & Ron Marabuto兄弟であった。彼らにベースのボブメイズを加えたカルテットで9月中はシスコの周辺で演奏を繰り広げた。

彼らの最初の仕事は、シスコから車で30分ほど離れたHalf Moon BayのDouglas Beach Houseという音楽を愛する人が集った非営利団体の会場。ハワードラムゼイのライトハウス、コンサードバイザシーといったカリフォルニアのライブハウスの伝統を引き継ぎつつも、ジャンルはトラディショナル、スイングからハードバップやフュージョンまでジャンルを問わず演奏の機会を設けていた。
このコンサートに、アダムスは地元の名士であるMarabutoと供に出演した。聴衆は当然ジャズを愛するファンばかり。会場はアダムスを迎えて暖かい雰囲気が当然のように漂っていた。

最初の曲は、パーカーのDewey Squareから始まる。ソリストとして再出発したアダムスの迫力あるプレーでいきなり始まる。続いて、Body and Soulは一転してバラードプレー。アダムスのバリトンはバラードでも力強い。Bossa Nouveauでは、ボサノバのリスムに乗ってブローするが、若い頃と較べてより荒々しくなった感じもする。

サドメルを離れて、ソリストとしてのデビューを飾る場としては都会の華やかな場所もいいが、このような田舎の暖かいファンに囲まれての演奏はより寛げたであろう。そのような場を提供したのは、アダムスにとって生涯付き合った無二の友人Marabutoであった。
この演奏をした時アダムスはすでに47歳。百戦錬磨のベテランの少し遅すぎた独立であった。アダムスが病床に伏すのはそれから10年も経たない1986年。すでにプレーが出来なくなってベットに伏すアダムスを見舞ったのもこのMarabuto兄弟であった。

1. Dewey Square
2. Body & Soul
3. Bossa Nouveau
4. How Long Has This Been Going On
5. Blue Out

Pepper Adams (bs)
John Marabuto (p)
Bob Maize (b)
Ron Marabuto (ds)

Recoeded live at The Douglas Beach House, Half Moon Bay, CA. on September 18,1977

Produced by Pat Britt
Concert Manager : Pete Douglas
Engineer : Bob Meuse

Live in Douglas
Pepper Adams
Thats Jazz
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ラウンドの相性のいい人、悪い人・・・・

2012-04-09 | GOLF LIFE
ゴルフは基本的には自分との戦い。とはいっても試合では一緒にラウンドする同伴競技者は仲間ではなく敵になる。一緒に廻るメンバーによってプレーが影響されることは多い。自分は色々な仲間とラウンドする機会が多い。仲間内のラウンドでは和気藹々と楽しいラウンドになるはずだが、たまに一緒に廻っていて不愉快になる人間もいる。自分は許容範囲が広いのと、そのような時はマイペースのゴルフに徹することにするので大体の場合は問題ないのだが、たまに不愉快な思いをするとせっかくの楽しいラウンドの楽しみが半減してしまうのが残念だ。

反対に相性がいい仲間が数人いるが、彼らとのラウンドは実に楽しい。
その中の一人は、現役時代に良くハワイに合宿にも行った会社の先輩。その先輩の実力は自分よりは少し上、目標するには丁度良く握りはいつもスクラッチで胸を借りている。先日ホームコースで一足先にシングルになったそうだ。ジリ貧の自分とは大違い。

先輩のプレーは全体的に安定しているが、特にアプローチとパットが冴えている。そして、握っていると尚更勝負強くなる、いわゆる勝負師だ。そのようなプレースタイルに引っ張られてか、一緒に廻ると不思議と自分のスコアも良くなる。いわゆるテンポとリズムが良くなるのであろう。最後まで諦めないプレー振りも、プレッシャーに弱い自分にはいつも参考になる。

先日久々に一緒にラウンドした。コースは先輩のホームグラウンドなので最初からアドバンテージがあるが、握りはいつもの通りのスクラッチ。天気も良く、やっと春らしくなったゴルフ日和。いい勝負が期待できたのだが・・・。

前半のハーフは、いきなり先輩は2バーディーを含む37で、最初から勝負にならず。いつもは自分も負けはしてもいいスコアで廻れるのだが、この日は何をやっても駄目。ボギーペースも守れず完敗。

後半になると、天気は薄曇となり肌寒さも増す。反対にプレーの方は熱くなり内容は上向き。ホールを重ねるにしたがってタイミングがあってきた。一方の先輩は珍しく小技のミスが続いて、自分が1アップで17番のショートに。奥目のピンポジであったが、上手く突っ込めてバーディーチャンス。これが入ればと内心祈ったが、バーディー逃しのパーで変らず。相変わらず詰めが甘い。

これで負けは無くなった最後のロングホール。気が楽になったのか、ティーショットは完璧そして2打も。一方の先輩は3打をミスってグリーン右手前に。こちらはバンカー越えの難しいポジションにあったピンに向かってナイスオン。これで勝てたかと思ったのも束の間、先輩のグリーン手前からの30y近くあるアプローチが直接カップイン。

これには度肝を抜かれた感じであったが、まだこちらはバーディパットの入る可能性は残る。久々に気合の入ったパットであったが僅かに外れてパー。
結果は、勝てたと思った後半のハーフも分かれとなった。しかし、スコアは久々の30台。勝負には負けたが、またもやこの先輩と廻るといいゴルフができるというジンクスは続いた。調子が悪い時にはまたお手合わせをお願いしてみよう。
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メルルイスの初リーダーアルバムは、ケントンオーケストラの卒業記念・・・・ところが色々トラブルが

2012-04-08 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Got’ Cha / The Mel Lewis Septet

スタンケントンオーケストラの全米ツアーは、大きな都市では数日滞在することもあったが、基本的にワンナイトスタンドで各都市を次から次へと周るものであった。
1956年11月、サンフランシスコに到着したケントンオーケストラは、そこの“Macumba Club”で2日から18日までの長期出演で久々に腰を落ち着けることになった。(先日紹介したライブはこの時の演奏)
ペッパーアダムスは、デトロイトから自分の車を持ってきたこともあり、その間シスコのダウンタウンから金門橋を渡った港町ソウサリートの小さな湾の見えるホテルで過ごして長期のツアーの疲れをとった。

一方で、ドラムのメルルイスはこの期間を利用してアルバム作りをすることになり、忙しい毎日を送ることになる。メルルイスも自分の名前を冠したアルバムを作るのはこれが初めて。ファーストアルバムの制作は、ツアー途中のサンフランシスコであったこともあり、さぞかし期待と不安が入り混じった心境だったと思う。メンバーはケントンオーケストラの仲間を中心に、ベースとピアノを地元のミュージシャンを使う予定でスタートしたが・・。

ところがこのレコーディングは最初からつまずいた。
まず始めに10日の土曜日に最初のリハーサルを予定した。ところがこの日は肝心なアレンジが間に合わずに流れる、そして翌月曜日にリスケしたら今度はリッチーカムカが急用ができてこの日も駄目、結局14日になってやっとケントンオーケストラでの演奏の合間をぬって初めて全員でのリハーサルが行われる。

すべて用意万端整って、翌15日木曜日のオーケストラの演奏が終わった後で録音予定をしたら、使用するホールの予約の手違いでこの日に録音できず。唯でさえシスコに滞在中という限られたスケジュールの中での段取りが大幅に狂うことになる。単に日程とホールを借りる段取りと思ったのも束の間、今度はアレンジを一部担当し演奏の要でもあったビルパーキンスがアフターアワーズでトラブルに巻き込まれ病院に担ぎ込まれる事態に。一週間は演奏できない状態で万事休す。この穴を埋めるべくケントンのオーケストラに起用されたジェリーコッカーに代役を務めて貰う事でご破算になることは何とか回避できたが。
レコーディングは、ピンポイントで19日と20日の2日間しか残されていなかった。

19日月曜日の午後からレコーディングを開始し、最初のテイクのプレーバックを聴いて今度はピアノがおかしいのに気がつく。何とピアノの調律が狂っていたのが発覚。時間が無いのでそのままレコーディングが継続することに。さらにその日はケントンオーケストラがクラブ出演を終えて、次の大学でのコンサートが予定されていたのでケントンオーケストラのメンバーは中抜けしてケントンの移動バスに駆けつけることに。残されたベースのディーンライリーは、病院にいくビルパーキンスの元に彼のアレンジの変更を受取りに、ピアノのマラブトは調律の道具を取りにというバタバタの状態に。
再開されたセッションは夜を徹して行われ、翌日の夕方には何とかメンバー全員で録音を聞き返す時間がとれて、何とか滑り込みセーフということだったそうだ。

メルルイスにとっての初リーダーアルバムであったが、ドラムは終始裏方に徹して引き立て役に徹しているのもメルルイスらしい。メルルイスだけでなく、ペッパーアダムスにとっても西海岸に来てこれが初めての録音になった。
演奏自体はライナーノーツにもあるように、当時の西海岸の「ストレートアヘッド」な演奏。単にジャムセッションというのではなく、適度なアレンジが施されているが各人のソロもたっぷりと楽しめる。特に、ペッパーアダムスの豪快なソロが際立っている。1曲目の"In A Mellowtone"で最初からアダムスが軽快にアダムス節で飛ばすのがアルバム全体のカラーを決めている。2曲目以降は各メンバーの持ち寄りとアレンジで・・。
メルルイスのファーストアルバムは、ケントンの仲間を誘って地元のメンバーを迎えて行った和気藹々とした「ご当地」セッションとなった。

1. In A Mellowtone            Ellington 8:30
2. Leave Your Worries Behind       Neihaus 4:15
3. Winter Tale              Adams  8:40
4. Sie Richard Face            Perkins 3:00
5. One For Pat              Niehaus 3:35
6. ‘Enry ‘igging              Coker  8:30
7. El Ceretito               Marabuto 6:12

Mel Lewis (ds)
Richard Kamuca (ts)
Jerry Coker (ts)
Pepper Adams (bs)
Ed Leddy (tp)
Johnny Marabuto (p)
Dean Reilly (b)

Recorded at Sands Ballroom in Orkland on November 19,20, 1956




GOT'CHA
Mel Lewis
FRESH SOUND
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せっかくの素晴らしい「エリントン特集」のコンサートが、ファンに知られることもなく・・・・

2012-04-07 | MY FAVORITE ALBUM
Masterpieces by Ellington / Duke Ellington Orchestra

先日、マイク・プライスのオーケストラのライブがあった。いつものライブでもエリントンの曲が何曲かはプログラムに入ることがあるが、今回はエリントン特集、それも「ハーレム組曲」をやるという。さらにアメリカワシントンDCにあるスミソニアン協会によって催される広く世に知れた「スミソニアンジャズ感謝・鑑賞月間イベント」の協賛コンサートということで期待して出かけてみた。
結果は予想以上の素晴らしい演奏。さすがマイクプライスだ、メンバーを含めて気合の入った演奏を楽しめた。普段のエリントン関連のコンサートでは、お馴染みのナンバーを並べてエリントンの雰囲気を楽しむだけのものが多い中で、エリントンの組曲をじっくり聴かせてくれるコンサートはあまりない。あのエリントンサウンドを生で聴けるとは思わなかった。プライスを始めとしたメンバーの面々に感謝したい。



ところが、せっかくのコンサートでありながら駆けつけた聴衆は僅か数組。
ビッグバンドのファンは確かに多くはないが、いつものライブでももう少し多い。毎年行われるビッグバンドジャズフェスティバルはいつも満員の聴衆が大ホールを一杯にする。その中にはエリントンファンの多いはずだ。自分はけっしてエリントンの熱狂的なファンではないが、エリントンのめったに生では聴けない曲を聴けるというので馳せ参じたのであったが。

アメリカでは文化遺産としてのジャズを伝承する試みを多く行っている。それと比較するとこのような日本の状況にはお寒いものを感じる。ひょっとして日本のジャズファンとは自分を省みても、特定のミュージシャン、それも彼らの過去の遺産であるレコードに関しては血眼になって追い求めるものの、曲(アレンジ)や演奏そのものは二の次なのではないかと。辰己哲也さんが言っているように、「ジャズの名アレンジを一時のものとして葬り去ってしまうのはもったいない」というのが良くわかる。

また、せっかく企画されたイベントやコンサートがファンに知られることなく、集客に苦労しているのも困ったものだ。
インターネットが普及して以前に較べて情報の拡散・収集が楽になったとはいえ、このようなニッチな情報を広め、反対に捜し求める人を結び付けるのは確かに難しいとは思う。潜在的なファンは多いはずなので、もっとこのようなライブ情報が広く知れ渡るといいと思うし、それを知ったファンはこのような機会には是非で出かけてみるといい。家にこもってレコードやCDを聴いているのもいいが、生の演奏に接するとレコードを聴く時も一段と世界が広がる。せっかくのミュージシャン達のこの様な試みを是非絶やさないためにも、一ファンとしては今後も出来る限りライブ会場に出かけてみることにしようと思う。

デュークエリントンとビリーストレイホーンのコンビによる組曲はLP時代の前から多く作られた。LPレコードが出る前はコンサート用の長い演奏をレコードに収める事ができなかったが、LPの時代になってコンサート用のフルバージョンのレコーディングも行われるようになって、エリントンの曲の全貌がレコードでも楽しめるようになった。その中でも、組曲シリーズはこのような形でライブ演奏と合わせてじっくり聴き直してみたいものだ。

というような事を考えながら、当日演奏された、The tattooed Brideや、Diminuendo And Crescendo In Blueを聴き返しながら・・・。



1. Mood Indigo          Bigard, Ellington, Mills 15:28
2. Sophisticated Lady       Ellington, Mills, Parish 11:30
3. The Tattooed Bride       Ellington 11:44
4. Solitude            DeLange, Ellington, Mills 8:23

Duke Ellington & His Orchestra
Cat Anderson (tp)
Harold "shorty" Baker (tp)
Nelson Williams (tp)
Andrew Merenghito "Fats" Ford (tp)
Ray Nance (tp)
Lawrence Brown (tb)
Quentin Jackson (tb)
Tyree Glenn (tb)
Mercer Ellington (French Horn)
Johnny Hodges (as)
Jimmy Hamilton (ts,cl)
Russell Procope (as,cl)
Paul Gonsalves (ts)
Harry Carney (bs)
Duke Ellington (p)
Billy Strayhorn (p)
Wendell Marshall (b)
Sonny Greer (ds)
Yvonne Lanauze (vol)

Recorded at Columbia's 30th Street Studio on December 19,1950

Masterpieces By Ellington
Duke ellington
Sony Jazz
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ライブの残された録音にはまだまだ宝物が・・・・・

2012-04-05 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Live at Peacock Lane Hollywood 1956-1957 / Maynard Ferguson and Swingin’ Dream Band Orchestra


モダンビッグバンドの歴史を遡る時、メイナードファーガソンのビッグバンドを忘れることはできない。ファーガソンが初めてビッグバンドを組んだのは1956年8月。13人編成の小振りの編成であったが、ファーガソンのハーイノートに引っ張られた元気なパンチの効いたオーケストラであった。
まだファーガソンが28歳の時であったが、アレンジ、メンバーは当時の新進気鋭の若手を集めたもので”Dream Band”と呼ばれたものだ。8月30日から9月25日まで間、ニューヨークの有名クラブ"Birdland”で旗揚げされた。初演奏で好感触を得たファーガソンは、早速その年のクリスマスにかけての公演を、今度は西海岸で行うことを決め、ハリウッドの”Peacock Lane”というクラブに出ることになった。

ニューヨークでの旗揚げ時にはレコーディングもされたが、この西海岸での2回目の公演に関しては普通であれば話だけで終わってしまう。ところが、50年近く経ってから、この演奏の音源が発掘された。
録音していたのはレコーディングエンジニアのWally Heider。ジャズでは有名なエンジニアといえばルディーバンゲルダー、西海岸ではロイデュナンが有名だが、このHeiderも「西海岸でいい音のする録音というとHeider」ということで通の間では有名だ。シェリーズマンホールでのミシェルルグランやビルエバンス、ウェスのフルハウスなど名盤がゾロゾロ。それもライブ録音を得意としているようで、ディープなファンの方はその辺りをしっかりと調べていらっしゃるので参考まで。
この録音は1956年なので、有名なアルバムよりも10年以上前だが時代を感じさせない実にクリアで良い音で録られている。それもステレオで。特に1月の録音が良い。大体後から出てくるライブ物というのは、演奏はいいが録音が今一つというのもが多いがこれは内容も音も素晴らしい。

さて、このライブにはもうひとつ大きな意味がある。西海岸での公演ということで、ファーガソンは8月のニューヨークでのライブとはメンバーを一新した。当時ファーガソンは西海岸でのスタジオワークをメインとしていたので、ロスでのメンバー集めは土地勘があったのかもしれない。リッチーカムカやハーブゲラーなどがサックスセクションに加わる。そして、ドラムの席には、11月にスタンケントンのオーケストラのツアーを終えて、ロスで仕事を始めたばかりのメルルイスが加わった。ファーガソンもケントンオーケストラの卒業生、メルルイスとは丁度すれ違いかもしれないが、ケントンでの先輩が後輩に声をかけた形だ。

ルイスと行動を供にしていたペッパーアダムスも、この2週間の公演の間には何回かオーケストラに加わったそうだ。残念ながら、このアルバムに収められている日の演奏に参加していない。アダムスはスタンケントンのオーケストラに続いて、このファーガソンのオーケストラでの演奏も気に入ったのか、年明けの'57年、ファーガソンが再び東海岸で演奏を行った時はこのファーガソンのバンドに加わるためロスを離れたのだった。

さて、演奏はニューヨークで演奏された曲&アレンジも多いが、シーズンにちなんでクリスマスソングのメドレーもあり、これがご愛嬌で実にいい。

1. Goodbye Mr Chops - Bill Holman
2. Lady Bug - Al Cohn
3. Velvet - Marty Palch
4. Maynard The Fox - Al Cohn
5. Free Love - Marty Paich
6. Great Guns - Ernie Wilkins
7. Dancing Nitely - Bill Holman
8. Groover Wallin - Johnny Madel
9. Ain't Life Grand - Bill Holman
10. Early Hours - Marty Patrick
11. The Wailing Boat - Al Cohn
12. Blue Birdland - Jimmy Glufre
 (Recorded in December 1956)

13. Great Guns - Ernie Wilkins
14. Lady Bug - Al Cohn
15. My Funny Valentine - Rogers Hart
16. Dancing Nitely - Bill Holman
17. Gellers Celler - Ernie Wilkins
18. More West - Marty Paich
19. Stand Up And Preach - Willie Maiden
20. Maynard The Fox - Al Cohn
21. Early Hours - Marty Paich
22. Little Girl Kimbi - Johnny Mandel
23. Rosebud - Neal Heft
24. Christmas For Moderns
   The First Noel (Traditional)
   Whit Echristmas - Irving Berlin
   O Come All Ye Faithful (Traditional)
   The Christmas Song - Torne Wells
   Silent Night (Traditional)
   Jingle Bells (Traditional)
 (Recorded on January 6, 1957)

Maynard Ferguson (tp,vtb)
Ed Leddy (tp)
Joe Burnett (tp)
Tom Slaney (tp)
Bob Fitzpatrick (tb)
Bob Burgess (tb)
Herb Geller (as)
Richie Kamuca (ts)
Nino Tempo (ts)
Willie Maiden (bs)
Paul Moer (p)
Red Kelly (b)
Mel Lewis (ds)

Recorded at Peacock Lane, Hollywood, California
Engineer ; Wally Heider


Live at Peacock Lane 1956
Maynard Ferguson
Fresh Sounds Spain
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商業主義に毒されたレコード業界で、メインストリームなアルバムを作るのは今も昔も大変・・・

2012-04-04 | MY FAVORITE ALBUM
Clark Terry’s Big Bad Band in Concert-Live

クインシージョーンズのオーケストラのヨーロッパ遠征に加わったメンバーは皆実力者揃い。そして皆ビッグバンドを愛する者であったと。特に、クラークテリー、フィルウッズ、ジェロームリチャードソンは、色々と苦労はあったと思うが帰国後のクインシーのオーケストラの演奏にもいつも馳せ参じていた。
クインシーのオーケストラが解散した後は、スタジオワークをベースにそれぞれの道を歩むが、リチャードソンはサドメルのオーケストラに、ウッズはソリストとしてヨーロッパでヨーロピアンリズムマシーンを立ち上げる。

そしてクラークテリーはNBCの音楽監督に納まり、ニューヨーク時代の”Tonight Show”のバンドメンバーに加わる。一方で、ボブブルックマイヤーとの双頭でグループ活動も続け、ジャズへの情熱は消えることはなかった。そのクラークテリーもエリントンオーケストラの出身であり、ビッグバンド好きであることは皆と変らず、時に自分のビッグバンドを編成することに。
そのような中、「いつも演奏している狭いクラブではなく大きなスペースでのコンサートを」と常連のファンから提案された。話はとんとん拍子に進み、プロモートも集客も大変だったが、熱心なファンが集ってまずは無事にコンサートを終えた。1970年2月15日のことであった。

その模様は、予定通り収録されたのだが、それをレコードにしようという段階で問題が生じた。コンサートの結果の評判はまずまずであったが、いざそれをレコードで出すとすると、プロデューサーやA&Rマン達は皆揃ったように「今時ジャズなんかやっているのは誰もいないんだよ。ボーカルもソウルも無いアルバムなんて誰が買うの?」と。皆、2枚舌を使って、本心でこのビッグバンドの演奏をレコードにしようという業界人は誰もいなかった。70年代に入ったばかりのメインストリームジャズの置かれた状況はそのような状況だったということだ。

テリーが諦めかけた時、相談に行ったのはビルエバンスのプロデューサーであった、あのヘレンキーン女史であった。彼女も色々動いてくれたが、「結論は自分で出すこと」が最善との結果となる。当時はスタンケントン、アニタオデイ、ジョージシアリング、ライオネルハンプトンなど、往年の大スターが皆同じような境遇であったようだ。

細々と通販で、といっても今のようなインターネットも無い時代に、やっと陽の目を見たのがこのアルバム。後にビッグバンドに多少日が当たるようになってこのクラークテリーの”Big bad Band”は何枚かのライブアルバムが作られたが、これがお披露目であった。

アレンジは、クラークテリーのビッグバンドでは片腕の存在のアーニーウィルキンスに加えて、フランクウェスとフィルウッズ。昔の仲間のウッズはその時ヨーロッパなので参加できなかったが、ウッズの名曲Hymn for Kimを加えている。
テリーのプレーも自分のビッグバンドをバックに溌剌としているが、他のメンバーのソロもたっぷりと聴ける。ウッズの曲はアルトではなく、その後BSTに加わったトローンボーンのDave Bargeronが聴ける。

8ビートやフュージョン系のビッグバンドが登場した頃、エリントン、ベイシー、クインシーに続くメインストリームのビッグバンドもそこで活躍したテリーによってちゃんと生き残っていた証左だ。これから何年かして、ビッグバンドがまた桧舞台に上るようになるが、何の世界でも不遇な時に頑張ればこそ明日があり、頑張るにはよき友が必要だ。何事でも駄目な時に踏ん張っていられるのが本物だが、ヘレンキーンもエバンスだけでけでなく、良いジャズを残すために頑張っていた本物かも。

1. Shell Game             
2. Here’s That Rainy Day       
3. Rock Skipping at Blue Note
4. Big Bad Band
5. Dirty Old Man
6. On The Trail
7. Fading Fleur
8. Hymn For Kim
9. Take The “A” Train

Vigil Jones (tp)
Lou Soloff (tp)
Lloyd Michaels (tp)
Ray Copeland (tp)
Sonny Costanza (tb)
Jack Jeffers (tb)
Dave Bargeron (tb)
John Gardon (tb)
Frank Wess (as)
Chris Woods (as)
Ernie Wilkins (ts)
George Coleman (ts)
Joe Temparley (bs)
Don Friedman (p)
Victor Sproles (b)
Mousey Alexander (ds)

Arr.
 : Phil Woods : 2,8
 : Frank Wess : 1,5,7
 ; Ernie Wilkins : 4,6,9
 : Billy Strayhorn : 3

Produced by Helen Keane
Engineer : Bob Schwartz

Recorded live at Big Barn on 57st St. next to the Russian Team Room, New York on Feb.15, 1970

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ギタリストではなく、ギターコレクション・・・

2012-04-03 | CONCORD
The Concord Jazz Guitar Collection

自分はあまりオムニバス、コンピレーションアルバムというものは購入しないが、このようなベスト物というものはさわりを聴くには都合が良い。
Concordレーベルも、このアルバムが出るまで確かコンピレーション物は一枚だけ。"A Taste of JAZZ"というタイトルでConcord風ジャズのお試しだったがこれもギターの入った曲が多かった。ギターに拘るジェファーソンらしい。
今回のアルバムは2枚組み。登場するギタリストは全部で14人。収められている16曲はすべてこれまでのアルバムに収録されているもので、未発表物はない。

昔、ラジオのジャズ番組でブラインドフォールドクイズなるものがあった。要は名前を伏せて曲を聞かせてプレーヤーを当てる嗜好だ。極端に特徴あるプレーヤーならまだしも、予備知識無しに当てるのはなかなか難しい。中には「そっくりさん」などもいるし。
曲を聴いて、このアルバムに納められている14人のギタリストを当てられたら、なかなかのギター通であろう。



このアルバムのタイトルをよくよく見ると、”Guitarist Collection”ではなく”Gutar Collection”となっている。そして、クレジットにはギタリストの名前と一緒に、彼らが使っている愛用の楽器の機種も記載されている。確かに、演奏者による音色の違いは大きいが、各名人が操る名器の違いもプロの耳で聴けば分かるのかもしれない。
プロモーション効果も考えて、なかなか考えられた、コンピレーションアルバムだ。

1. La Petite Manbo “Tin Tin Deo” (CJ-45)
  Kenny Burrel < Gibson Super 400 >

2. Isn’t It A Lovely Day “Bluebyrd” (CJ-82)
  Charlie Byrd < 1967 Ramirez >

3. Dolfhin Dance “The Real Howard Roberts” (CJ-53)
  Howard Roberts < Gibson Howard Roberts Model >

4. Zigeuner “Ginza” (CJ-94)
  Eddie Duran < 1938 Gibson ES-100 >

5. Prelude To a Kiss “Seven Come Eleven” (CJ-2)
  Joe Pass  < Costom Electoric built by D’Aquisto >

6. I’m On My Way “Barney Plays Kessel” (CJ-9)
  Barney Kessel < Gibson ES-350 >

7. I Can’t Get Started “Venuti-Barnes Live at the Concord Summer Jazz Festival” (CJ-30)
  George Barnes  < 1962 Custom Guild Acousti-Lectic >

8. Side Track “Remo Palmier” (CJ-76)
  Remo Palmier  < Gibson ES-355 >

9. Geogia On My Mind “Herb Ellis at Montreux” (CJ-116)
  Herb Ellis  < Aria Pro-2 >

10. Blues On My Mind “Blues On My Mind” (CJ-95)
  Cal Collins < Customized 1957 Gibson Super 300 >

11. You Don’t Know What Love Is  “A Sign of the Times” (CJ-26)
  Tal Farlow < Gibson “Tal Farlow” Model >

12. Claire De Lune Samba “Chamber Jazz” (CJ-84)
  Laurindo Almeida  < his own design >

13. Seven Come Eleven “Seven Come Eleven” (CJ-2)
  Joe Pass  < Custom Electric built by James D’Aquisto

14.  Blues Going Up <a href="http://blog.goo.ne.jp/yan111949/e/3f2cbc17128a1171c1701e899cf68e1a">"Blues Going Up" (CJ-43)
  George Barnes  < Guile X-175 >

15. Orange, Brown And Green “Rhythm Willie"(CJ-10)
  Herb Ellis <Aria Pro-2 > & Freddie Green < Gretsch Eldorado >

16. Don’t Cry For Me Argentina “Brazilian Soul” (CJ-150)
  Charlie Byrd < Kohno-30 > & Laurindo Almeida < the Julius Gido instrument >



Produced by Carl Jefferson
Originally Released on Conord CJ-160

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大きな編成ではサックスアンサンブルが一番好きだ・・・・

2012-04-02 | MY FAVORITE ALBUM
Star Dust / Keiji Hori & Mellow Saxophone Ensemble

ビッグバンドの楽しみはアンサンブルとソロ。同じ編成でもオーケストラによって全く違う音がする。バンドカラーもあるが、それを生かすアレンジの妙を聴くのも楽しみの一つ。
小さな編成でもそれなりのアレンジはあるが、アンサンブルを楽しむにはそれなりの大きな編成が必要だ。オクテットやテンテット位になると、先日のデイブペルではないがかなり個性的なアンサンブルが楽しめる。このくらいの編成だと、違う楽器を組み合わせるのとは別に、よくサックスだけ、あるいはトロンボーンだけといったように同じ楽器のアンサンブルを極めるグループも多い。同じ楽器といってもよくあるバトル(対決)物と違って、ソロを競うというよりは、緻密にアレンジされたアンサンブルが売りになる。自分は、サックスのアンサンブルが好きであるが、サックスアンサンブルといえば何と言ってもスーパーサックス。その企画性と合わせてパーカーの切り開いたジャズのサックスの究極を求めたものかもしれない。他にもサックスアンサンブルを売りにするグループは多いが・・・・。

京王線の柴崎の駅前に「さくらんぼ」という小さなジャズ喫茶&ライブハウスがある。月に何回かのライブだが、オーナーの好みもあるとは思うが、拘りを感じるグループが良く出演している。そこに年に何回が出演しているサックスアンサンブルのグループがある。掘恵ニ&Mellow Saxophone Ensembleだ。昔は前田憲男のグループがあったが、今ではこのグループが一番だろう。

マーシャルロイヤル張りの輝くアルトの堀恵二を中心にサックスの達人が集っているグループだ。メンバーも固定していてグループとして活動も20年近くになるという知る人ぞ知るグループだ。ビッグバンドで経験豊富なメンバー達のこなれたアンサンブルはいつ聴いても素晴らしい。このグループの活動のひとつのマイルストーンとして録音したのがこのアルバム。何年か経って昔話をする時に、記念となるアルバムが残っているということは当事者にとってもファンにとっても有難いことだ。

曲によってサックスだけでなく他の木管の持ち替えもあり、リズム無しのサックスアカペラが2曲など、アンサンブルとしての表現も多彩だ。1曲目のストレートノーチャイサーではアップテンポでメンバー紹介を兼ねたソロの受渡しの後、サックスのソリでまずは軽くバンドの自己紹介。後もスタンダード曲ばかりなので、お馴染みのメロディーの美しさがアレンジに映える。スローなハウマイハードシングスのフルートとクラリネットのアレンジも演奏も秀逸。クリフォードもいつもはトランペットが多いのでサックスが新鮮。最後はエリントンメドレーで締める。エリントンナンバーというのは変化と特徴があってメドレーには最適だ。

録音した場所は、信州は佐久の山の中のスタジオだそうだ。周りが都会の喧騒を離れた空気の済んだ場所のせいか、サウンド自体も実に輝かしくに清清しい。収録にあたっての逸話はCD購入者だけの内緒話とのことなのでここでは伏せておくが、いつもの仲間同士の和気藹々とした収録風景が伝わってくる。

次回のライブは4月28日。場所も都心から離れているが、お近くの方は是非一度は生で聴いてみるといいグループだと思う。

1. Straight, No Chaser          Thelonious Monk
2. Invitation                Bronislaw Kaper
3. The Star Crossed Lovers       Duke Ellington & Billy Strayhorn
4. Memories Of You           Eubie Blake
5. Someone To Watch Over Me     George Gershwin
6. How My Heart Sings         Earl Zindars
7. I Remember Clifford         Benny Golson
8. Milestones              Miles Davis
9. Star Dust              Hoagy Carmichael
10. Ellington Medley
  ・Things Ain't What They Used To Be   Mercer Ellington
  ・Prelude To A Kiss           Duke Ellington
  ・It Don't Mean A Thing         Duke Ellington
  ・Sophisticated Lady          Duke Ellington
  ・Take The“A”Train          Billy Strayhorn

<編曲>

高橋 達也 TAKAHASHI Tatsuya ...3
川村 裕司 KAWAMURA Yuji .......9
香取 良彦 KATORI Yoshihiko ....1,6,7
福澤 知成 FUKUZAWA Tomonari....2,4,5,8,10


堀 恵二 HORI Keiji
  Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Clarinet, Flute
今尾 敏道 IMAO Toshimichi
  Alto Saxophone, Alto Flute
川村 裕司 KAWAMURA Yuji
  Tenor Saxophone, Flute
白石 幸司 SHIRAISHI Koji(7曲目を除く)
  Tenor Saxophone, Clarinet
吉田 治 YOSHIDA Osamu
  Baritone Saxophone, Bass Clarinet
板垣 光弘 ITAGAKI Mitsuhiro(2,5,7曲目を除く)
  Piano
ジャンボ 小野 Jumbo ONO(2,5,7曲目を除く)
  Bass
八木 秀樹 YAGI Hideki(2,5,7曲目を除く)
  Drums

プロデューサー,ディレクター............堀 恵二
アシスタント ディレクター...............福澤 知成(ぼんとも・ミュージック)
レコーディング,ミキシング エンジニア...篠崎 秀樹(SFO香坂スタジオ)
録音場所.....SFO香坂スタジオ
録音日.......2008年3月26~27日
マスタリング エンジニア...鳥光 浩樹



スター・ダスト
堀恵二&Mellow Saxophone Ensemble
MSE
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サドメル出身の若手で一番の出世頭はひょっとして彼女では・・・?

2012-04-01 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
‘74年のサドメルオーケストラは、新年早々から忙しかった。毎週月曜日のヴィレッジバンガードへの出演に加えて、2月には新しいアルバム”Potpourri”の録音を行った。この録音を終えてすぐに、オーケストラはサンフランシスコの”Basin Street West”に出演し、その足で日本公演に向かう。
メンバーは初来日時の創設時のメンバーとはからりと替わり、残ってるたのは、両リーダーに、アルトのジェリーダジオン、バリトンのペッパーアダムス、トローンボーンのジミーネッパーとクリフヒーサー、ピアノのローランドハナだけで、他は若手中心で編成されていた。

その中に、歌手のディーディーブリッジウォーターが加わっていた。サドメルのオーケストラはジョーウィリアムルースブラウンなど歌手とのジョイントのアルバムは作っていたが、常に歌手を帯同はしていなかった。このブリッジウォーターは、その時のメンバーでトランペットを吹いていたセシルブリッジウォーターと結婚していたので一緒に行動していたのであろう。まだ大学の途中で結婚したばかりの、プロとしては駆け出しの歌手だった。日本のステージでも何曲か歌ったと思うが、あまり記憶には残っていない。

このサドメルの1974年の来日時には、滞在中に何枚かのアルバムが作られた。

まずは、オーケストラ自体のライブアルバム。
“Live in Tokyo”

ローランドハナとジョージムラツのDuoアルバム
“1×1”

先日紹介した、ジョンファディスとビリーハーパーのアルバム
“Jon & Billy”

そして、この新人歌手ディーディーブリッジウォーターのこのアルバム”Afro Blue”も。

メンバーは、夫君のセシルブリッジウォーターに弟のロンに、リズムはジョンファディスのアルバム同様、ハナのピアノにジョージムラツのベースに加えドラムには日野元彦が加わっている。

このアルバムが企画されたのがどのタイミングであったかは定かではないが、いずれにしての来日中の限られた時間の中での制作。普通であれば顔見世セッション、ボーカルであればスタンダード曲中心にお茶を濁す程度が関の山だがこのアルバムは違う。
彼女はこの時、まだ24歳。それほど経験も無かったと思われるが、彼女のやりたい曲がきちんと選ばれ、それに夫君のセシルがアレンジを施し、最終的にはアルバム曲順までを彼女自身の手できちんと考えられている。

出だしのアフリカンリズムの出だしから少し違った雰囲気だ。ホレスシルバーの曲と詩にも共感していたそうだ。ブルースメドレーは圧巻、得意のスキャットも。バカラックの名曲もこのスローなテンポで歌いきるのは並みの歌手ではない。
その後の彼女はアメリカではしばらく陽の目をみることなく、実力を認められたのはフランスで。アメリカで本格的に活動するのは90年代になってからだ。今で押しも押させぬ第一人者だが、その実力の片鱗はこのデビューアルバムでも感じることができる。その初アルバムが日本で作られたことを彼女は感謝しているそうだが、当時の日本にはレコード会社にもそれを聴くファンにもそれができる土壌があったということであろう。

クレジットをみる限りにおいては、3月13日はサドメルオーケストラの都市センターホールでの最終公演。そして、その日に他の3枚のアルバムの録音も行われているが、すべてに参加しているローランドハナは一体どんはスケジュールだったのだろうか?

1. Afro Blue             Brown 8:27
2. Love Vibrations          Silver 5:55
3. Everyday I Have the Blues/Stormy Monday Blues   Chatman 8:09
4. Little B's Poem          Hutcherson 3:08
5. Raindrops Keep Falling on MyHead  Bacharach, David 4:38
6. Love from the Sun          Clay 5:34
7. People Make the World Go Around   Clay, Clay 4:48


Dee Dee Bridgewater (vol)
Cecil Bridgewater (tp,Kalimba)
Ron Bridgewater (ts,Percussion)
Roland Hanna (p,ep)
George Mraz (b)
Motohiko Hino (ds,Percussion)

Supervised by Bridgewater Jazz Family
Takao Ishizuka Producer
Recirding engineer : Y.kannari & M.Ohkawa
Recorded at Aoi Studios, Tokyo on 10,12,13,14 March, 1974

アフロ・ブルー(紙ジャケット仕様)
ジョージ・ムラーツ,ローランド・ハナ,セシル・ブリッジウォーター,ロン・ブリッジウォーター,日野元彦
アブソードミュージックジャパン
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