東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会が
最終報告書を決定し、衆参両院議長に提出しました。
「原発事故は人災」と結論付けたが、これは誰もが承知している
ことで特質すべきことでもありませんが、東電の「天災犯人説」を
改めて完全に否定したことは評価されます。
報告によると、東電は収益を重視するあまり、想定された事故に
対する予防のための必要措置を行わず、規制当局を懐柔し、原発に
対する規制強化を拒み続けた、と指摘しています。通常の健全な
ごく当たり前の経営者でもこのような経営方針を策定し実施する
ことは到底考えられません。収益を重視するなら、将来、事故を
起こして賠償金の発生を避けるための経営を行うことなど企業
経営では常識です。
企業経営者は事業運営に関わる様々なリスクは可能な限り低減して
将来起こりそうな損失を最小化させることなど当然のことです。今後
東電が支払う賠償金は4兆5千億円以上になると推定されています。
歴代の東電の経営陣が適切なる経営を行わず、これによってこの
莫大な損失が発生した訳で、当然この事故を起こすに至った関係
する経営陣は東電に対して賠償する義務があります。現在、株主
代表訴訟が提起されておりますが、司法当局は厳正に判断すべきと
思います。
東電がこのような企業経営のイロハも知らない無能な経営者を
持ったことは大変不幸なことです。しかしそれ以上に糾弾される
べき相手は政府と規制当局です。競争を排除した電力事業の
承認と原子力発電の能力を持たない企業をこれまで放置した
政府の責任は万死に値します。
野田首相は「消費税増税の実現に政治生命をかける」と云って
おりましたが、法案が通らなければただ辞任するだけの話で、
一国会議員がかける政治生命など、国民にとって何の役にも
たちません。自民党政権時代から続く無能な政治家が行う政治が
不幸な国民を益々増加させています。これらを打開する賢者の
出現が待たれます。