アンコウ物語

徒然なるままに

国民の資質

2012-12-04 16:45:10 | 政治

先日、近くの渓谷に紅葉の写真を撮りに行ってきました。暫く写真を撮影しながら
渓谷に沿って歩いていると、紅葉が特に綺麗な所で、高齢の男性が長い棒を使って
モミジの木の枯れ枝を取り除いていました。この辺りの営林署か役場の係員が仕事を
していると思い、「ご苦労様ですね、仕事は大変でしょう」と声をかけました。その男性から、
「仕事ではありません、写真を綺麗に撮るために枯れ枝を取り除いています。」と
言われました。見ると長い棒は釣竿で、その先端に金具をつけて枯れ枝を引っ掛けて
取っていました。

 かなり話し好きの御仁で色々なことを話してくれました。生まれも育ちも日本橋人形町だが、
大手ゼネコン勤務を退職してから、妻がこの渓谷の近くの出身なのでこちらで生活している
ことが多い、紅葉などの写真を撮りに行くときは必ずこの竿を持って行き、これまで京都、
箱根、日光、会津などいろいろな場所で枯れ枝取りをしている、と話しをして呉れました。

 写真についてかなり詳しいようなので、いくつか撮影のポイントを尋ね、教えて貰いました。
カメラの説明を聞くため、この紳士の車に行って見ると、大きなスーツケースのような
カメラケースの中に、ニコンの高級カメラが4台、交換レンズが6個、三脚が4本入って
おりました。もう30年以上写真を撮っているとのことです。年齢を聞いたら74歳でした。

 ボランテアで枯れ枝取りをしながら写真撮影をしているが、最近のアマチュア写真家は
撮影マナーがかなり悪く情けないと嘆いておりました。紅葉の綺麗な場所で枯れ枝取りを
していると、カメラを持ったアマチュア写真家が近くに来て、かなり無礼な言葉で「そこは
邪魔だから早くどいてくれ」と何人もの人に何度も言われたそうです。蒸気機関車の撮影でも、
ベストショットを撮ろうと必死になって他の撮影者を邪魔者扱いをする写真家がかなりいる
そうです。相手に配慮しない、無礼な写真家が増えている、最近は日本人の質が落ちて
いると嘆いておりました。

 「政治とは、国民の考えや行動の反映に過ぎない。どんなに高い理想を掲げても国民が
それについていけなければ、政治は国民のレベルにまで引き下げられる。逆に、国民が
優秀であれば、いくらひどい政治でもいつしか国民のレベルまで引き上げられる。つまり、
国民全体の質がその国の質を決定するのだ。」

 当たり前の事を言っているようですが、これは英国の作家サミュエル・スマイルズ
(Samuel Smiles, 1812年ー1904年)の「自助論」に出てくる言葉です。政治がこんなに
駄目になったのも、国民の資質が劣化したためかもしれません。アマチュア写真家の態度で
国民の資質を判断するのはどうかと思いますが、他にもこのような事象がよく見られます。
もっとましな
世の中にならないかと考えるこの頃です。