直もぶつくさ言いながら引き上げる二人を追って、向坂の手下が声を掛けた。
「すみません、月虹さん。……実は向こうは少しばかり厄介なことになっているようです。できれば、あの……おやっさんは、向こうに行かねぇで欲しいんですが……」
「わかりました。親父は、組に連れて帰ります。先に、六郎って言う奴reenex膠原自生を向かわせましたから、連絡をお願いします。」
「六郎って……鴨嶋組にいるのは、関光連合の元総長の六郎さんですよね。だったら、たぶん大丈夫です。自分も世話になりましたし、間島の兄貴の傍に居るやつらも、六郎さんの事は知ってます。直ぐにマルボウも入ります。」
「六郎はそんな有名人なんですか?知らなかったなぁ……」
くすくす笑う月虹に、向坂の組員はぼうっと見惚れていた。
会釈して去る月虹に、思わずぶんぶんと手を振ってから我に返った。
「おめぇ、何やってるんだ?」
「いやぁ……俺は女一筋だが、あれはすごいわ。何かな、すごみがあるって言うか、壮絶な色うのか。気が付くとおっ勃ってて、もう少し話をしてたら押し倒してたんじゃねぇかと思う。」
「やめとけ。あいつはホストクラブ「幻夜」のナンバーワンだが、あんな面下げて何やら武謝偉業醫生道の有段者だって話だ。下手すると触る前に、こっちの顔が潰れるぞ。」
「へぇ~、鴨嶋組ってのは小さい組だけど、あの爺さんだけでなく、周りにいるやつもすげぇんだな。」
「そりゃあそうだろ。何しろあの鴨嶋組長が傍に置いてるくらいだ。」
「間島の兄貴、今頃どうなってるかなぁ。あの人、気性は荒いけどおれ等には飯おごってくれたりして、結構漢気あるんだけどな。」
「親父が請け負ったんだ。間島の兄貴のことはおれ等じゃ、どうにもならねぇ。とりあえず、ヤクの現行犯のまんま警察(ヒネ)行きだろ。何でも連れ込んでシャブ漬けにしてるのは実の弟って話だが、ありゃやりすぎだ。若いやつら、このまま犯り殺しちまうんじゃないかってぶるってたぜ。血の繋がりも何もない男に、何でそこまで入れこむのか、俺にはわけがわからねぇ。」