ねじ花の思い出

ねじ花。

小さなピンク色の花が、くるくるとらせん状に咲くちいさな野草。

ふと見たら、クリスマスローズの鉢に種が飛んできたのか、
ひとつだけ咲いていました。

そうしたら、前にも同じようなことがあったなぁって、
思い出したことがありました。

本当にささやかな出来事なのですが・・・。

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数年前まで、私はひとり暮しをしていて、
20年以上フルタイムで働いて、当直やら休日出勤やらの、
ドタバタな毎日を送っていたのですが・・・。

ある時、仕事を辞める決意をして辞表を提出しました。

後先のことは、あまり考えていなかったのですが、
それは同時に、暮らしていた宿舎を引き払うことでもありました。

その宿舎には、南側にベランダがあったので、
少しばかりの花を育てていたのですが、
次の住まいには持っていけないことが、分かっていました。

少なからず、その花たちに癒されていたので、
お別れは寂しくて、なかなか決心がつかなかった時、
山椒の鉢にねじ花が咲いたのです。

本当に同じような光景でした。

当時の写真です。
　　　　

仕事を辞める安堵感と寂寥感。
いろんなモノとのお別れ。

少しだけ寂しかった記憶。

そうしたら、
時を経て、同じような光景がまた目の前に現れました。

山椒の木ではないけれど、やっぱり鉢の脇にちょこんとねじ花。

　　　　

懐かしくて、不思議な気持ち。

こんな風に時を重ねて、巡り巡ってまた出会える光景があること。

ちょっと嬉しく、どこかで知っていたような感覚。

ちいさな出来事だけど、
時の流れがまた連れてきてくれる、懐かしいことがあるのだと。

そんな気持ちになれて、
当時の寂しかった自分の心を、ねじ花に撫でてもらったような気がしました。


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