北極圏では温暖化による影響が深刻化していますが、ラップランドでは何千年も続いて来たトナカイ遊牧に影響を与えて居ます。
今や遊牧ではなく、飼育化しているようです。
下記、記事と翻訳です。
キルナ郊外にあるラエバスサーメ村のニーラインガ氏がもはやトナカイらは餌を見つけることができないと話しました。我々の年寄りにこのことについて相談することもできない。なぜならこのような状況に誰がしも遭遇したことがないから。
2月の終わりに彼と会った際、彼のトナカイらは北はケブネカイセから夏の避暑地であるピリヤルビ(キルナより南西100㎞)までとサーメ村の全域に広がって生息していました。
トナカイらを管理することはとても困難です。トナカイらが車道、鉄道や建物内に留まったりすることで、人々は通常存在しない場所に餌を探し求めるトナカイが出現することにいらいらしています。と彼は言います。
ラエバスサーメ村の会長であるニーラインガ氏は毎日、山岳地域での気候変更を体験しています。天候により積雪量が変化していますのでトナカイらは餌を見つけることができず、飢餓の恐れがあると彼は言います。
マイナス37度からプラス8度まで
トナカイ所有者を脅かす冬の間の寒さと温暖の急激な変化。時に雪が凍り、また時には雪が解けたりして、氷の層ができるため、積雪の間、トナカイら自身が餌を見つけるのが困難である。国のサーメ村調査によると大半のトナカイ所有者は天候によるトナカイ自身で餌を見つけられないことに問題があるとのことです。
–この冬は完全におかしい。ある日はマイナス37度あり、翌日は急激にプラス8度まで気温が上昇した。とニーラインガは言います。
相談に乗ってもらえる人がいない
通常、ニーラインガ氏はトナカイの問題が生じた際、父親またはサーメ村の年寄りに相談しますが、この場合はアドバイスをしてもらえる人がいない。
–私は家に電話をかけて「今、ここにトナカイらが来たけど、良いことなのかそれとも悪いことなのか?」と聞くことができない。なぜなら父は知らないから。そのような経験を一度もしたことがないから。17年間トナカイ飼育してきましたが、「通常」の冬を経験したことがないと彼は言います。
サーメのトナカイ飼育は口伝えで知識と伝統を引き継がれてきたので、伝統を受け継ぐ世代にとってこの新しい条件はとても難しいことです。
ニーラインガ氏のトナカイらは今のところ、木から垂れ下がるコケを食べて凌ぐことができるでしょう。しかし他のトナカイ所有者は冬の一部の期間、餌付けするようになっています。
ピリヤルビから数マイル離れたところにある Parrakkaのトールエリックフーヴァ氏は4月までメス・雄トナカイにエサを与えます。春に無事、出産できるようにと。柵の中に入り、通常、野生の地で生活する動物がビニール袋からの餌を乞う動物を見るのは少し奇妙な体験です。– 一匹だけでなくたくさんのトナカイらがこのように餌を与えられます。とトールエリック氏は言います。
トールエリック氏の話は続きます。できる限りトナカイへ餌を与えるのを避けると。長期的にみてトナカイに餌を与えることによってどのような影響を及ぼすか誰もわからないからです。彼自身トナカイらの行動に影響が出ないか(雪下にある餌を自分で探すことが出来なくなるのではないか)と心配しています。
農民の生活
エサを与えることはトナカイ所有者にとって大きな変化を意味します。
朝、晩にエサを与えるようになり、まさに農民の生活。今までのような伝統的なトナカイ所有者ではなくなります。とトールエリック氏は言います。
しかし、トナカイ飼育はトナカイ所有者が他の選択・生き方を選ぶこともできるという大きな変化に直面しているのでは。
いいえ、そんなことは私の世界ではありえない。トナカイ飼育は私の遺伝子の一部、それは私であり、私のアイデンティティ、私の人生であります。とニーラインガ氏は言います。