TaizanのWhite Mountain

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火燈山(803㍍)と小倉谷山(911㍍)

2020-04-26 | 越前の山々

過去の写真とレポートで綴る「越前の山々」シリーズ第3弾


坂井市からあわら市を通って、三国港付近で九頭竜川と合流する竹田川の源流部には、連なる県境の山々があります。中でもこの二つの山は、歴史的にも古くから拓かれていました。麓の丸岡町吉谷(竹田の奥)には吉谷寺跡が残り、不動滝と観音堂を中心に、白山信仰の修験場「吉谷一千坊」として栄えていました。また竹田から西方に榎峠を越えた丸岡町豊原には「豊原寺三千坊」があり、この一帯は勝山市の「平泉寺六千坊」に並んで白山信仰の大宗教都市だったと考えられています。

豊原寺や吉谷寺は、常に平泉寺の対抗勢力として鎬をけずって対立していたとも伝えられています。その証拠には、平泉寺から白山への越前禅定道は道中に十二宿ありますが、豊原禅定道では、これよりもはるかに長い道のりを僅か八宿で刻んでいます。

その第1宿が吉谷寺で、豊原には、より厳しい修行を極めようとする修験者が溢れていたのでしょう。竹田川の流れと広い農耕地があるこの一帯は平野部と隔絶された特別な地域だったのでしょう。さて、このような背景をもつ火燈山には、たいまつを掲げて登ったとか、豊原の修験者が山頂で護摩を焚いたなど、由来は諸説色々ありますが白山信仰に深く関わっていることには変わりないようです。

現在火燈山への登山口はこの吉谷寺の近くを通る林道を行きます。杉林に差し掛かるところに数台分のスペースがありここから歩く事にします。杉林の中を進むと登山口の標識が出てきます。九十九折れの山道を行くと、所々に往時を偲ぶ古道の雰囲気が漂っています。杉林の薄暗い中を程なくすると視界が開け、ヤマツツジの群生する通称「一本松」という見晴らしの良い場所に出ます。ここからもう一登りで日本海側の眺望の良い山頂に到着です。ここから更に奥の小倉谷山を目指します。一旦下って登り返しますが、この辺りは野鳥が近くへ寄って来てはさえずる、活気に満ちたブナの森が広がっています。

竹田ではこの小倉谷山のことを「伏拝」と呼んでいて、火燈山よりもはるかに眺望が開けています。豊原の修験者は、ここまで来て白山を遥拝したに違いありません。火燈山と小倉谷山の関係は、ちょうど越前禅定道の法恩寺山とその奥にある伏拝の関係とそっくりで面白いと感じました。

◆データ
駐車場(10分)登山口(50分)一本松(30分)火燈山(30分)小倉谷山
小倉谷山(25分)火燈山(15分)一本松(30分)登山口(10分)駐車場


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