鎌倉八百ヶ谷戸

鎌倉の街はそのものが環境遺跡

善財 一 写真集

十二所

2020-11-30 21:55:44 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集

鑪ヶ谷

金沢や六浦から鎌倉に通じる街道。

朝比奈の切り通しは、いわば産業道路。

荷車などが通れるように幅広く平坦にされたであろう。

地質が脆弱であるために道路が摩耗しやすく、度々改修工事がされたようだ。

それゆえ、現在の朝比奈切り通しは初期の道路よりかなり低くなっている。

道沿いのヤグラが異様に高い位置に遺されていることで、改修工事が幾度となく行われたことが想像される。

 

その朝比奈切り通しを経て鎌倉に入った辺りが十二所。

産業道路を守る上で重要な場と考えてよいだろう。

滑川沿いに旧道があったのだろう。

山際が掘削されて切り立つようなところは鎌倉の各所に遺されている地形だ。

その小高い丘、あるいは山の上は平滑に仕立てられており、眼下の街道を把握するに適した地形とされていることは度々説明している。

谷戸もカエデの葉のように幾つも入り組んでいる。

鎌倉の市街地ほどには人家も多くないため、谷戸を観察する上では都合が良いのだが、年々立ち入ることができない場所が増えている。

 

例えば鑪ヶ谷は、土地の所有者に出会って写真を撮らせてもらうことができたのだが、昨年の大雨で入口辺りが崩落し、立ち入り禁止とされている。

遠くから眺めてみても、柵が廻らされているようだ。

藪草と樹々が切られて見通しが良くなった現在の鑪ヶ谷

柵の手前から

奥の方は藪と細竹がひどい状態だ

左側は滑川を挟んで人家がある

右手は山が連なり切岸とされている

山の上には畑があり平場がある

10年ほど前の鑪ヶ谷

藪がひどいのだが、写真の右手に小高い丘が迫っているのが見える

奥から流れ出る沢水と、山際からの湧水によって湿地帯となっている

かつては排水溝が廻らされていたであろう

 

鑪が谷は、谷戸を観察する上では素敵な空域だと考えていたのだが

今後、良い状態で遺されることを望んでいる



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