第十かいこう航海日誌

待てば海路の日和あり、愛艇との大航海の記録

小樽海上保安部の灯台見回り船「第一ずいこう」の引退

2006-04-25 20:29:29 | その他
灯台見回り船は、船と船乗りの命を人知れず守ってくれている「華やかさのない船」だからこそ、引退後はかわいがってやりたいです。 街の詩:老朽船の旅立ち 「最後まで華やかさのない船でした」。小樽海上保安部の田中利夫・主任航行援助管理官(48)は20年の務めを終えた「第一ずいこう」を見やると、左舷の文字「海上保安庁」を白いペンキで消した。 全長9・9メートル、4・9トンの小型船のささやかな引退セレモニー。小樽港の3基の灯台を点検するのが主な役目だった。老朽化と灯台の性能アップで3月31日で引退した。 尾形克弘・航行援助管理官(44)は船体に日本酒をかけ、労をねぎらった。海上訓練などがあると、「ずいこう」で警備に出動した。訓練水域に侵入しそうになった高速水上バイクを全速力で追跡したこともある。「あの時は無理をさせたな」。この船で仕事をした職員はそれぞれの感慨に浸った。 引退の日、午前に予定されていたセレモニーは悪天候でいったん中止になった。「旅立ちを祝ってやりたい」。みんなの思いが天に通じたのか、午後になると、空はうそのように晴れ上がった。 船は競売にかけられ、買い手が現れなければスクラップになる。【和田浩幸】 毎日新聞 2006年4月13日 北海道夕刊