困っている人を放っておくと事件が起きる
内閣府孤独・孤立対策推進室
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★「精神障害者に対する効果的福祉サービスのあり方に関する研究」
ケアマネジメントはどの障害でも共通に使える生活支援の技法ですが、その実施にあたっては、相手がどのような人なのか、どのような困難を抱え、どのような希望を持っているのかということを把握することが何より大切です。ところが精神障害をもつ人に関わったことがない人々は、ケアマネジメントの従事者といえども「障害のためにどのような困難があるのかよくわからない」と戸惑っていることをしばしば耳にします。
本節は精神障害をもつ人のケアマネジメントを実施するにあたって、彼らが生活のうえで抱えている困難について知っていただくための章です。「百聞は一見にしかず」で実際に体験することで多くのものが学ばれると思いますが、ある種の先入観から大きな勘違いが生じてしまうこともあります。この節は、関わりを始める際の「ものの見方」の一つとして活用していただけたらと思います。なお、精神障害をもつ人の特徴については、主として慢性の統合失調症の状態を中心に述べましたが、慢性のうつ病やアルコール依存症など他の精神障害をもつ人であっても、ケアマネジメントによるサービスを必要とする状態にあっては共通する点が多々あると考えてよいでしょう。
国立精神・神経センター 精神保健研究所 20061228_guidebook_2.pdf
Minoura
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「壮絶死」の哀しい理由
計画的な焼身心中だった
停めてあった車の所有者は、同市に住む80歳の男性であった。どうやら火葬炉のなかで見つかったふたりは、この男性とその82歳の奥さんらしい。彼らには子どもはいなかった。
この壮絶な焼身心中を図った老夫婦だが、いったいどんな理由があったのだろうか。
苦しかった「老々介護」
ふたりが暮らしていたのは市内にある木造2階建ての住宅だった。自宅の周囲には広い田んぼを持ち、これらでつくった米と年金がおもな収入源であり、貧乏暮らしというわけではなかった。報道によると、広い庭があり池には何匹もの錦鯉が泳いでいて、庭木もきちんと手入れがされていたといい、丁寧な暮らしぶりが窺える。
夫婦仲もとても良く、近所では一緒に買い物に出かける姿をよく見られていた。ずっとこの暮らしが続けば不幸な選択をしなくて済んだかもしれない。
彼らの暮らしに徐々に暗雲が立ちこめるようになったのは数年前からだった。
もともと奥さんのほうが糖尿病であったのだが、数年ほど前から症状が悪化して自力で歩くのが徐々に難しくなってきていたのだ。さらに糖尿病の進行と重なるようにして、認知症の症状も出はじめていた。
最初は軽い物忘れ程度であったが、徐々に奇行が目立つようになっていた。とうの昔になくなった母親を呼んだり、杖をつきながら集落のなかを徘徊したりなど症状が進行していった。
やがて旦那さんが奥さんにずっと付きっきりで生活しなければならなくなった。もともと農作業をしながら足の悪い奥さんに代わって掃除、洗濯、炊事などの家事を引き受けていたのに、そこへ奥さんの介護も加わるのだから、負担も激増だ。
そんな生活をしていたら今後は旦那さんのほうも過労で倒れてしまうのではないか、近所の人も心配していたのだという。そこで手伝いを申しでたり、行政サービスなどを教えてあげたりしていたというが、旦那さんは「妻の面倒は自分で見る。これ以上は必要ない」と、他人の世話になることを頑なに拒んだ。
もともとそういう性格だったのだろう。近所付き合いも薄く、近所に住む親戚にもあまり頼ることはなかった。周囲の人いわく、もともと無口でとても気難しい人だったようで、奥さんしか信用していないようなかんじだったそうだ。非常に優しく、真面目な方だったのかもしれない。
しかし、やはりそのままでは生活が辛くなる一方。そこで親戚の再三の説得のおかげで、週1回の頻度でデイサービスに奥さんを預けるようになった。
ふたりでずっと一緒にいたい
大変だった介護生活にもわずかだが余裕ができ、好転するかに思えた。しかし、運命の歯車は残酷だ。ここでさらに悪い出来事が重なってくる。
今度は旦那さんの身体にも不調があらわれたのだ。もともと患っていた痛風が悪化し、頻繁に痛みの発作が起こるようになった。やがて庭木の剪定をしているときに倒れ、自分も入院することになってしまった。
このときの入院が、不幸な選択をするきっかけになったのかもしれない。どこへ行くにもいつも一緒だった奥さんだが、入院生活のあいだは自分のそばにいない。妻はどんどん認知症が進んでいく。もう夫である自分のこともあまり記憶していないみたいだ。そんなときに自分ももし病状が悪化してずっと入院生活になってしまったら、夫婦は引き裂かれてしまう……。
そんな考えに陥ってしまう気持ちもわからなくはない。唯一心を許していた奥さんである。
離れ離れになってしまうくらいなら……。
記憶にも残らなくなって、心も離れてしまうくらいなら……。
ふたり一緒に、虹の橋を渡ろうか。
そんな悲壮な決意に突き動かされてしまったのかもしれない。旦那さんは持っていた土地などを市に寄付すると、遺言書に書いた。それらの固定資産は、評価額で680万円にものぼる。しかし、市は「いずれも市として有効な活用策が見出せない」として、寄付を受ける権利を放棄し、旦那さんの親族に相続されることになった。
この事件は火葬場云々よりも社会問題として非常に関心が寄せられた出来事である。このようなことが繰り返されないことを願うばかりだ。
M.Akira
#NHK #現代ビジネス #朝日新聞 #内閣府