S村ではすでにストーブ、湯たんぽ、ヒートテック下着
が必須だったが、横浜の暖かいこと!
シャワーを浴びた後、パジャマでベランダに出て
ぽかんと夜空を眺めていても寒くない。
冬布団をセッティングしたのに、また秋用の薄い
掛け布団に戻したりと、数日はばたばたした。
帰るなり、「天使はブルースを歌う」
「女たちのアンダーグラウンド」という二冊の拙著
関連仕事が相次いだ。
19日に横浜シネマリンで上映されたドキュメンタリー映画
「Yokosuka1953」のゲストトークに出演。
1953年、横須賀の養護施設から一人の混血女児が
アメリカ人の養子になり、海を渡った。
彼女は当時、おびただしい数にのぼったGIベイビー
(占領軍軍属と日本人女性との間に生まれたハーフ)の
一人だった。
奇跡のように彼女とネットで繋がった和歌山大学の木川剛志教授は
アメリカへ渡り、彼女を日本に招いて、一緒に母親捜しの旅を始める。
その過程を撮った貴重なドキュメンタリー映画だ。
GIベイビーのことは長らくタブー扱いだった。
この出来事をテーマにノンフィクションを書いた私も、
取材当時のあれこれをを思い出して感無量。
まだ上映中なので、ぜひ多くの方に観ていただきたい。
公式サイト https://yokosuka1953.com/
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/c0/86b4a2195b6fe263bb4635546c6828c7.jpg)
21日は横浜国大に招いていただき、やはり
この二冊の本をテーマに、学生十数人とワークショップ。
以前も鳥取大学の先生と学生がわざわざ横浜に
いらしてくださり、私を囲んでのワークショップがあった。
同じテーマだったが、よく勉強してきてくださったので、
質疑応答も充実していた。
が、このたびはちょっと様子が違った。
私を招いてくださった先生はさすがにいろんなことを
ご存じだったが、参加した十数人の学生たちは、
う~ん、何が知りたかったのかなあ。
「本を読んでくださいましたか?」
一人もなし。
「横浜の歴史は大雑把にでもご存じですか?」
一人もなし。
これでは戦後の占領軍がらみの話だけしても理解して
もらえないと判断し、開港以来の歴史を急ぎ足で話す。
で、肝心のテーマも一方的に話すしかなかったので、
質疑応答の時間がほとんどなくなってしまった。
「予習」ということはしないのだろうか。
ほんのちょっとでも、これをきっかけに、
「戦争とは」という漠然としたテーマでいいから
興味を持ってくれたらありがたいのだが。
このほか、外国人の研究者から「この本を読んだ
ので、ぜひ会って話を聴きたい」というメールが相次いだ。
日本滞在に限りがある方と、二拠点生活で
横浜にいないことも多い私。
双方のスケジュールが合わず、またの機会に、と
いうしかなく、どなたにも申し訳ないことをしてしまった。
また、今月末には、ある朗読グループが横浜の
近代文学館で「天使はブルースを歌う・朗読版」
を発表して下さる。
自分の書いたものがこうして後々まで、なんらかの
形で引き継がれるのは、物書き冥利に尽きる。
ありがたいことであった。
さてS村では、名物「市田柿」の製造が佳境に入っている。
たわわに実った小さめの渋柿を獲り、皮を剥いて干す。
いくつかの手順を経て、この柿は白く粉をふいた
甘い干し柿になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/02/c23d4af2d39fc31a807e62b4cc8f19e5.jpg)
それを加工して、家庭ではこんなお菓子も作られる。
クルミが巻き込んであって、とても美味しい!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/ea/1cbcb19a21b34f7d2544dc61131cc988.jpg)
リンゴの実り。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/d3/c68b800585f37f2b5bdbabce53096fc2.jpg)
秋もそろそろ終わり。
いよいよ厳寒の時期となるが、この次は
私にとってS村で過ごす二度目の真冬。
炬燵に潜り込んで、この地方の郷土史などに読みふけるのもいいな。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/97/1542240535a45fab10430a3acc80b895.jpg)