冬桃ブログ

横浜シネマリンでゲストトーク

 横浜の映画館シネマリンで
11月18日から「YOKOSUKA1953」
というドキュメンタリー映画が上演されます。
 戦後、進駐軍兵士と日本人女性との間に、
GIベイビーと呼ばれるハーフの子供たちが
たくさん生まれました。
 基地の街、横浜・横須賀では、そのような
事情を持った子供たちが養護施設に引き取られる
ケースが続出しました。
 施設からアメリカへ養子に出された子供も
少なくありません。
 彼らは果たして幸せに育つことができたのか。

 これは木川剛志という和歌山大学教授のFacebookに
届いた、「洋子」という見知らぬアメリカ人女性からの
メッセージで始まるドキュメンタリー映画です。
 (たまたま私と同じ名前ですが、そこはなんの
関係もありません)
 彼女は日米のハーフ。幼いころ、横須賀の養護施設から、
アメリカへ、見知らぬ夫婦の養子として渡りました。
 どうしても実の母親を捜したいと願っていた彼女は、
2018年、記憶していた母親の名字「木川」だけを
頼りに、Facebookで見つけた同じ「木川」さんに
「私の母を知りませんか?」というメッセージを送ったのです。
 
 心を打たれた木川教授はクラウドファンディングで
資金を集め、アメリカへ渡って「洋子さん」と対面しました。
 そして彼女を日本に連れてきて、母親捜しが始まります。
 この映画はそのドキュメンタリーです。

 私もGIベイビーと呼ばれた混血児のことを
「天使はブルースを歌う」「女たちのアンダーグラウンド
 戦後横浜の光と闇」(いずれも亜紀書房)という二冊の
ノンフィクションに書きました。
 ドキュメンタリーを撮るにあたって、それを参考資料の
ひとつとして読んでいただいたようです。
 で、横浜シネマリンでの上映が決まったから、ゲストトークで
出てほしいというご依頼がありました。
 他の日にもゲストトークとしていろんな方が出演
されるようですが、私は11月19日の15時10分からの回で
木川教授とトークをさせていただきます。

 横浜シネマリン公式サイト
https://cinemarine.co.jp/



 まあ、社会は変わったのですね。
 私が「天使はブルースを歌う」を毎日新聞社から
出したのは1999年。(後に亜紀書房から復刊)
 その頃、GIベイビーの存在はなぜかタブーでした。
 GIベイビーが数多く埋葬されている、という話が伝わる
根岸外国人墓地のことを横浜市役所へ取材に行った際には
「そんな話を書いては困る」という、かなりの抵抗に
直面して、ショックを受けたものです。
 でもこのドキュメンタリーでは、横須賀市長と
アメリカから来た「洋子さん」がカメラの前でにこやかに
対面し、記者会見まで開かれています。
 戦後は遠くなり、タブーも解けた、ということでしょうか。
 言い換えれば、「あの頃あったこと」にリアリティーが
なくなりつつある、ということかもしれません。

 でもこの世から戦争がなくなったわけではありません。
 日本には二度とこんなことは起きないと、誰が
確信できるでしょう。
 非平和(戦争、差別、貧困、暴力)はいつだって
身近にあります。
 それに直面すると、人間は簡単に豹変します。
 私も、あなたも、その可能性がないとは言えません。
 そのことを、この機会に知っていただけたらと思います。
 
 

 

 
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