ままならないことが次々と起きるものだ。
そういう時は現実から目を背け、華やかで心躍る世界
に浸り、遠慮なく楽しませてもらうことにしている。
毎年観ているアカデミー賞授賞式。
コロナに世界中が怯えていた年はまあほんとに地味で、
どっかの喫茶店でやってるの? という感じだった。
これでは現実離れにならない。
やっぱり世界的スター女優達が絢爛たるドレスに身をつつみ、
レッドカーペットでポーズをとってこそ。
その光景が甦った昨年は、主演男優賞のウィル・スミスが、
病気で髪が抜けてしまった妻のことを揶揄されたから、
ということでいきなり壇上へ駆けあがり、ぽかんとしている司会者に
平手打ちをくわせる、という前代未聞の事件で盛り上がった。
まあ、司会者の言葉が揶揄だったのか好意的なジョーク
だったのかは置いとくとして。
私はしっかり見ていた。
司会者は彼女の髪のことで笑いをとった。
カメラはすかさず、観客席のウィル・スミス夫妻をとらえた。
その時、奥さんは確かに暗い顔で下を向いていた。
けど隣のウィル・スミスは他の観客同様、笑っていた。
それから平手打ちに至るまでの間に何が起きたのか。
想像するに、彼は笑った後、妻の表情に気づいたのだ。
「あ、いけね、怒ってるよ!」とあわてたかも。
で、ここは「侮辱された妻のために敢然と抗議する夫」
をやらなきゃ、と思ったのではないか。
ヒーローを演じてきたトップスターなんだし。
う~ん、どうなんだろうねえ。
そりゃまあ、妻や恋人が公衆の面前で侮辱されたら
男として、相手に平手打ちの一発くらいくらわしてもらいたい。
だけどさあ、一瞬、笑ってたじゃない、あんたも。
そこからの素早い駆けあがり、平手打ちは、
「あれ、やばかったかな、いま。俺、どんな場であろうと
妻のために闘う男じゃないといけないんじゃない?」
と大慌てで算段を巡らし、あの行動に及んだとしか
思えなかったよねえ、意地の悪い私には。
このあと、主演男優賞を獲ることはもうわかってただろうから、
なんなら妻に「待っててくれ、このままにはしないよ」と囁いて
賞の発表を待つ。
で、めでたく壇上人となり、感謝の言葉を述べた後、
おもむろに「ひとつだけ言わせてほしい。病気などでやむなく
変わってしまった人の外見を、冗談のネタにするのは許せない。
誰に対してもそんなことをしてはいけない」と静かに、
しかしきっぱりとスピーチしたとしたら、観ていた世界中が
納得し、彼の人気はさらに上がっただろう。
なのに彼はオスカー像を持ったまま、大泣きで平手打ちを謝罪。
あげくアカデミーからも、今後数年間はシャットアウトを
言い渡されてしまったのだ。
というわけで、今年の司会者であるジミー・キンメルは
昨年のこの事件をいじり倒して笑いをとっていた。
アメリカだねえ、容赦ない。
これが日本だったらどっちにも、いや各方面に気を遣い、
そんなことはなかったかのように一切、触れなかっただろう。
今年の司会者。
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助演女優賞のジェイミー・リー・カーチス。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/a9/b9ee8fc3071d17797bef3b5a05493358.jpg)
美男スター、トニー・カーチスと美女スター、ジャネット・リー
の娘にしては美人じゃない、とデビューの頃は思った。
ひょろひょろのスタイルで色気もあまり感じられなかったし。
だけどたて続けにホラー映画のヒロインを演じ、映画は大ヒット。
「絶叫ヒロイン」などと呼ばれてスターになった。
歳を取るほど味の出る女優さん。
孤独な女警官を演じた「ブルースチール」なんかよかったなあ。
そしてついに、今回多くの賞に輝いた「エブエブ」で助演女優賞。
主演女優賞は「エブエブ」のヒロイン、ミシェール・ヨー。
香港映画のスターで、現在60歳とか! かっこいいねえ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/39/8f378d521ba204c4040286521b31a4b4.jpg)
アカデミー賞もしっかり楽しませていただいたが、
なんといってもWBC。ここまでは先制点を取られても
大量得点で逆転という胸のすくドラマを見せてくれたが
さあ、これから!
ひどい花粉症の私は、この人の振りまく胡椒のせいで
さらにクシャミ連発! でもかまわんよ。
いい夢見させてね、侍ジャパン!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/77/554e306c7865626aa7eeb1bc5714618a.jpg)