
【画像20250309】【姫子をシュミる千歌音ちゃんの構図】
NHKの人気アニメ「チ。―地球の運動について」(原作:魚豊、講談社、全八巻)が佳境を迎えています。
聖闘士星矢といい、美少女戦士セーラームーンといい、神無月の巫女といい。やはり天体を扱ったお話はすこぶるロマンがありますね。神無月は太陽と月だけだけども。空は神と結びついた、手の届かない世界。だからこそ、人類はそこに憧れる。見えなかった図形をそこに描く、創造力の源泉。
画像は、原作漫画第二巻に収録された一場面。
月の社にて待つ姫宮千歌音が、最愛の人をむかえる、実に印象的なワンカット。「シュミる」というのは、「チ。」の第三章から登場する異端解放戦線シュミット隊長の習慣から。腕を精いっぱいひろげて、朝日を浴びるのが日課。で、このポーズが面白かったのか、X(旧ツイッター)上で俳優の松山ケンイチさんが真似して、毎日このポーズのポストが話題に。「シュミる」の言い出しっぺは彼なのでしょうか?
第三章の主人公格・移動民族の少女ドゥラカは、あるトラウマがあって朝の陽光が苦手になっています。
地動説を信奉した者たちの秘めたる歴史をつづったこの作品、しめやかな月光、満天の星空、そして朝焼けと、各章の主要キャラが天体とのかかわりを強調する場面があります。その時、彼らにもたらされた美しい光りが運命を変えた、救われた、報われた、そんな啓蒙の瞬間。そういう一瞬のきらめきって、誰にもありますよね。涙こぼれるような自然のやさしさ。誰にもある感動だから、わけへだてなく許された特別だから、明日になればくりかえされる希望だから、奪われたすえに許されたささやかな福音だから、それは――死の直前の救いが光なんです。どんな時代の人でもそうだったはずだったけども、夜のわずかな灯火をたよりに文字を追った、人倫みだれた暗黒の中世と呼ばれる闇の時代ならば、なおさらその光はまぶしかったはず。
ずっと朝日を嫌っていたドゥラカにしつこく、でも最後に本気でその素晴らしさを伝えたシュミット☀️悲しいけど、ドゥラカも最後にシュミれましたね、松山さん😭#チ球の運動について 🌍 #松山ケンイチ https://t.co/OZiqNVxZkp pic.twitter.com/mIoGRjcyCR
— サカナ🐟@mediamixbiz (@sakana_mmbiz) March 6, 2025
神無月の巫女アニメにも「夜闇を越えて」という回があるけれども、夜に事件がおこり、絶望の闇があけて死がふたりを分かつまでのせつなに愛に結ばれる、印象的な空を背景にした美しい物語なのですね。
神無月の巫女世界では、現世の千歌音ちゃんがやたらと姫子を賛美し、わが太陽とあがめる。
恋は盲目と申しますが、なぜ一見平凡な姫子がそんなにまぶしいのか? 宮様のほうが学園の華で、スターなのに? 原作漫画では、回想のカットで「前世から私を照らしてくれた光」とあります。資料集からの断片的な記述から妄想してみたら、前世では病気がちで夜ごもりだった臆病な千歌音にとっては、明るく光りさす場所へ、命がけで連れ出してくれたのが姫子だったのかも。日光を浴びるのはメンタル改善にいいですよね、たしかに。 原作者の介錯先生のつぶやきでも、明るい昼間に前世姫子が強引に千歌音の手を引いて走り抜けている絵があったので、現世とは主客逆転の関係だったのでしょう。この大正編のお話、公式で読んでみたいものですが、まあ30周年までに気長に待つとしよう(笑)。
ただこの原作漫画神無月の巫女は、令和のいまでもカルト的人気を誇るアニメとちがって、作者さんのフェティシズムというか、なかなか濃厚な世界(!)がくりひろげられていて、健全な一般市民の皆さまにはとっつきにくいところがあります。令和の倫理観からすれば、百合初心者には勧めがたい部分が満載で、たいそう困ります(笑)。
この両腕をひろげて祈るような気持ちで神々しい存在を迎える姿勢。
宗教画によくあるオーラーントというポーズ。原作絵のなかでも、お気に入りシーンのひとつです。「チ。」の原作も15世紀のポーランドを舞台にしているようですが、人物の造形がルネサンス期の歴史画などを思わせて、美術マニアにとっても、歴史好き、あるいは天文学熱のある人にとっても、ぞんぶんに楽しめる、じつに知的に洗練された構成の物語なのです。科学博物館ともコラボした企画展もあったりとなかなかの話題作。NHK総合で土曜夜放映中のアニメはこの3月で最終回をむかえてしまうのですが、4月からしっかり再放送もあるので、すごく楽しみにしています。原作漫画もそろえて、ひさびさに熱を入れて観られる、すばらしい想い出の作品になりそうです。
それにしても、「チ。」でも妄想力を発揮させたカップル絵なんかもお見かけしますが。
そろそろ恒例の神無月の巫女EDパロ絵がつくられる頃合いでしょうか? 私は個人的に、あの父と娘で見たかったりね。
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— 『チ。ー地球の運動についてー』【公式】 (@chikyu_chi) March 8, 2025
3月8日最終回直前話に知った衝撃の事実。
なんと、アニメ神無月の巫女の大神ソウマ役で知られるイケメンボイス間島淳司さんが出演!! 告解室にいるレフ司祭(なんかグイグイくる、あの人)、アニメ1話でもナレーションがあった模様(X調べ)。彼は最終話のキーパーソン。すごいいい役を演じられていますね! まさに彼にぴったりの役どころ!! どうりで耳に心地いいいお声だと!(笑) 間島さんはイロイロありましたけども、神無月の巫女や京四郎と永遠の空のオーディオコメンタリでは鋭い指摘を示すなど、すぐれた役者さんだと思っています。川澄綾子さん、下屋則子さんともども、ご活躍をお祈り申し上げます。
神無月の巫女の好男子・大神ソウマを演じた、間島淳司さんのお声をふたたび聴ける日が来ようとは!! あの司祭の声、どっか聞き覚えがあると思った!! 原作漫画の司祭さんと印象違うけど、これはかなり嬉しい驚きです!!#チ球の運動について pic.twitter.com/2b1rvsIz7n
— 万葉樹(よろずは・いつき) (@yorozuhaki_goo) March 9, 2025
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漫画『神無月の巫女』 其の伍(2011.10.10)
ひさびさに神無月語りを。大好きなあのシーン。原作からのワンカットより。漫画版で、姫宮千歌音が起こした五つの誤算とは。
【Image】画像で語る、すこぶるアガる、神無月の巫女
神無月の巫女20周年、その前に、そしてこれからも。二次創作小説の更新時お知らせ記事につけていた画像。たまにコメントをつけていましたが、いい機会なので、ちょこっと遊んで企画化してみることにしました。
★神無月の巫女&京四郎と永遠の空&姫神の巫女ほかレビュー記事一覧★
「神無月の巫女」と「京四郎と永遠の空」「姫神の巫女」ほか関連作に関するレビュー記事の入口です。媒体ごとにジャンル分けしています。妄言多し。