陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

ファンサイトの寿命を考えてみた

2018-01-13 | 二次創作論・オタクの位相

もともと好きな作品のファン表明のつもりではじめたこの拙ブログも、2018年今年で13年になります。
その原作品が2004年ですので、かれこれ、15年追いかけていることになりますね。なかには、20年いや30年の年季の入ったベテランという方からすれば、ひよっこなんですが。自分としては、まさか、こんなに長く続けるつもりなかったです、ほんとに。

アニメや漫画だけでなくともいいのですが、ファンサイトというのは続けるのが難しいのではないでしょうか。すでに、ファンサイトという体裁を脱した、というか、もともとそうでなかったブログ主が言うと説得力ありませんが。ファンサイトを続けるために必要なことは

・その対象への愛情が持続していること
・ファンを続けるための、時間、体力、気力があること

主にこの二点ですね。
一番目については、好きなモノが嫌になってしまう理由はいろいろあります。長期連載で中だるみしてしまった、続編が気に入らない、アニメ化で原作イメージ台無し、などなど原作物のせいにできるものもあれば、ファン自身が他の作品に「浮気」してしまって、愛情が離れてしまったということも。現代は、いろんな作品が生まれては消えていく時代、消費のサイクルも短い。ファンだって、友だちとの話題に乗り遅れないように新しいものに飛びつきたいんでしょう。

二番目の理由は切実ですよね。
まず時間。仕事や学業とのバランスは大事です。イベントに参加したくとも体力がないといけない。最近の作品はメディアミックスが激しいですから、資金力も必要です。時間もパワーもある、愛情も欠けてはいない。けれど、生活の事情などで楽しむ余裕がないという人もいます。結婚したら、お子様生まれたら、ヲタク趣味は控えてという方もいるでしょうね。最近は介護問題もあります。時間とお金、この余裕が大事です。

以上を満たしてはいて、ファンを辞めてはいないが、なんらかのしがらみがあって、展開の場を移したり、名義を変えて再活動したり、というケースもありますよね。いま、個人運営のファンサイトの話をしていますが、SNSが発達していますから、ツイッターやフェイスブック、ピクシブなどでも発表できます。個人のカラーを出す人には向いていませんが、検索しやすいですし、その作品の好きな絵とか、こだわりのシチュエーションだけチョイスして楽しみたい場合、とても便利です。

このブログの主体となっている作品のファンとなってからは、15年ですが。
その作品以外のファンサイトなるものは、それ以前から、ネットで覗いていました。2000年代ごろ、平成仮面ライダーが人気だったあの当時、毎週の感想が馬鹿笑いするほど面白いサイト様とか。正直、ネットの使い方覚えたのもヲタク趣味からですね…。自分が二次創作なんか手掛けるようになったのも先行作品を見たからですし、いまでも、懐かしくて読み返させていただくことあります。自分の好きな作品や作家の新作が出たのを全く知らなくて、忠実に追いかけされているファンサイトのレヴューが購入のきっかけになったこともあります。私は身近にサブカルチャーに詳しい友人や身内がいないので、ネットでの情報源はほんとうに有難いですよね。一時的に飽きるんですけれど、疲れた時にやっぱり戻ってきたくなるんです。

ファンサイトさんもいろいろあって。
資料的価値があるくらいに掘り下げて分析していたり、伝承とか民話とかの研究につなげていて読み応えがあったり。最近のファン活動も、二次創作の絵や小説だけでなくて、編集された動画やコスプレもあったりします。ずいぶんと多彩になりました。

ファンサイトとしてのブログも、やめます、やめたい、と嘆きながら、ずるずる続けています。
残してあったレヴューとか、いつまでも完成できない二次創作物の残骸とか、いっそ消去してしまおうと思うけれどできないんですよね。これにかまけていた時間があれば別のことが…という後悔はあるのですが。下手したら、自分の好きなモノにすら悪態をつきながら続けるのはよくないのですが、私の場合は、もう辞め時を逃してしまっているだけなんでしょう。逆に言うと、他人に全く気兼ねしなくて済むので、長続きさせてしまったともいえます。記事が大量すぎて、移転するにも不可能。

私にとっての、ファンサイトというのは、栄養ドリンクのようなものなのかもしれません。
もしくはお守りですね。ふだんは必要じゃないけれど、ふらっと倒れそうなときに、頼りたくなるものなんです。現実から逃げたいときに、妄想するの、楽しいですよね? 私のファン活動はオンラインだけですから、費用はほとんど発生していません。実にコストのかからない、無責任な、気まぐれの趣味でした。だから続いたんですね。

二次創作したぐらい好きだったのに、新作が出ても買わない、実写映画が公開されても見に行かない…いつのまにか、そんな不義理なファンになりながら。ただ惰性でニュースがあったから、記事にしていて。ネットでいくらでも購入できるんだけど、なにかもうさらに付け足された物語を理解するのが億劫になっている。めんどうなヲタクになっていました。

そんな私は、あれほどしばらくほったらかしにしていた『魔法少女リリカルなのはViVid』の最終巻が入手できずに、とても、もやもやした新年を迎えていたのでした。発売日に最新の、待ちかねたお話が読める!というあのワクワク感、年をとっても変わらなかったんですね。いつも締切りを守って原稿書いて下さる作家陣の方に感謝です(ものすごく現金な…)

新作が出たら出たで文句を言い、出なかったら出ないことでさらにクレームを言う。
ファンとはなんというわがままな存在でしょうか。私も、そんなわがままなファンの一人です。「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」なんて、言えません。

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