陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

個人事業はお金が公私混同しやすい

2024-08-28 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

私の実家はちょっとした小商いをしていました。
子どもの頃、売り物のお菓子の陳列作業を手伝うと、好きなお菓子をひとつだけもらってもいい、というルールがありました。帳簿上は家事消費になるのでしょうが、亡父がどうしていたのかはわかりません。中小企業上の会計処理では、破損や紛失、あるいは万引きなどによって売られなかった商品も、売上にカウントされてしまいます。そんな事情も知らずに、無邪気に、売り物であるはずのものを持ちだしてしまう、私はビジネスの基本も知らない、ただ教科書でのお勉強ができるだけの子どもだったのです。

会社員勤務をしながら、週末のみの個人事業主ライフをはじめて数年。
今の就業先では、決算書作成業務まで行うので、経理会計の基本が身につきます。

今年の夏に、昨年分の収支の総決算を出しました。
もちろん、昨年末に確定申告用に、貸借対照表と損益計算書は作成しています。

けれども。
個人事業主は、事業上の経費にも資産にもならない、お金の出入りがあります。
例えば、個人の趣味のために購入した物品だとか、交際費にはならない食費だとか。事業用口座に入るお金でも、兼業会社員の給与ならば「事業主借」扱いだし、その社会保険料控除や、さらには住民税や所得税などの事業経費にならぬ租税公課は「事業主貸」扱いの勘定科目になります。

今回は、私人用口座などを含めた、昨年一年間の、公私ふくめたお金の出入りを把握するためのもの。
何故、これを行ったのかといいましたら。

各勘定科目ごとの事業経費に按分できない部分の把握と、どの経費が突出しているか、昨年からの差引残高の確認が必要なためです。

企業会計上では、五種類の利益がありますよね。
売上高から売上原価をひいた「売上総利益」。そこから販管費をひいた「営業利益」。本業以外の損益を加味したあとの「経常利益」。その年特有の固定資産売却損や災害被害による特別損益をさしひいた「税引前当期純利益」。そこから法人税などを控除したあとの「当期純利益」。

個人事業主は業態によっては棚卸しをしない場合もありますし、販売費用や広告費がないこともあります。
もちろん法人成りしていませんから、「税引前当期純利益」にあたるのが、確定申告書の課税所得金額なのでしょう。

けれども、個人事業主がやっかいなのは、プライベートのお金の出入りがあいまいになりやすいことです。
事業用のお金が足りなければ、私人口座から移さねばならないし。逆に生活費として事業用口座から引き出すこともあります。あまりにプライベートに使いこむと事業用資金が底をついてしまいます。

なので、確定申告用の課税所得金額計算のための収支把握ではなくて。
自分が一年間に暮らすために、本当に必要なお金を正確に調べておかなくてはならないのです。これは、企業経営者でも同じですが。

今回、昨年分の公私ふくめた決算を出したところ。
昨年はやはり大きく収入が減ったいっぽうで、書籍代などの趣味費用もかなり減らしていることがわかりました。コロナ禍ですので、資格取得を控え、学資金研修費の枠は全くのゼロ。自宅にいる機会が増えたので、水道光熱費は増加。なかなか厳しい数字です。

兼業会社員としての副収入があれば、毎年の収入の予測がたてやすくなります。
もちろん、社会保険料や所得税、住民税などの控除分も、ふだんの総務業務でおこなっていますので、あらかじめ計算できるわけです。ふるさと納税も計画的に行いやすくなりますね。

個人事業主は、とにかく収入が不安定なのがネックです。
会社員と違い、債権が保証されておらず、取引先からの未収金でたちまち行き詰まります。家を修繕したくとも、収入が少なくなるのが怖くて、なかなか踏み出せないもの。いわゆる企業会計上の平常時の利益である「経常利益」が安定しないのが、個人事業主やフリーランスという働き方です。

もし、個人事業上の収入が全くのゼロになったら。源
会社員としての収入源を増やさないといけません。さすがにこの年では昇給の見込める転職は無理なので、副業として、職種をいとわずに働き口を増やさないといけないのでしょう。そのあたりも今後含めて検討中です。老後になったら年金だけ暮らしていけるとはとうてい思えませんので。リスクの高い金融投資はあまり手を出したくはないですね。

突出して負担が重いのが、やはり空き家にかかる維持費ですね。
そのために、年来計画していた、私個人の自家用車の所有はあきらめました。家族と共有の自動車は、ガソリン代も保険料も私が負担していますが、もう一台となると、かなり出費がかさむので。幸いなことに、勤め先は自転車で通えるのでとても助かっています。勤め先からしたら、交通費も駐車場代負担もしなくていいので、ウィンウィンなのですが。

コロナ禍以前から、おおきく目減りした事業主収入を補うために、兼業を続けていますが。
会社での経理作業はいろいろ本業にも役立つことが多くて、とてもありがたいです。業界は全く違うのですが、やはり会社の中枢部にいて、数字を管理する仕事は私の性に合っています。


(2022/08/27)




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スポーツ観戦をすると幸福度... | TOP | 夏の避暑地に 2024 »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 仕事・雇用・会社・労働衛生