陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本ならではの観光資源で盛り上がりませんか

2018-10-28 | 政治・経済・産業・社会・法務

毎年10月末日はハロウィン。
私が子どもの頃はさほどではなかったのに、いつのまにか定着してしまいましたね。お子様がお菓子をくれなきゃいたずらするぞ、と脅迫して家々廻るというこの行事。正直、あまり好きではありませんが…、近所のお子たちが仮装していて可愛いさに負けてしまう…。東京の渋谷では暴動が起きているとか、小池百合子都知事が調子に乗ってメーテルのコスプレしてひんしゅく買っているとか。

ハロウィンはもともと古代ケルト人が秋の収穫を祝し、悪魔祓いをするという宗教的行事が起源。これが米国での民間イベントになって世界中にひろまっている感がありますが、もともとキリスト教由来ではないので、カトリック信者の多い南米、東方正教のロシアなど東欧では興味を示されていないのだとか。逆に米国の文化的植民地といえる、東南アジア諸国や日本では熱心に。しかし、かつて米国留学した日本人学生がハロウィンの仮装して射殺される事件がありましたよね…。イベントとわかっていても、正体わからない仮装の他人が自宅訪れるって怖いでしょう。

ひるがえって日本でも、仮装文化はあります。
秋田県のナマハゲなどをふくむ、「来訪神:仮面・仮装の神々」の伝統行事が、先日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録される見込みであることが発表されました。国立民族学博物館にもアフリカやオセアニアなどとともに、日本の仮面文化も紹介されていますが。地域のお祭りであるせいか、人口減少で担い手不足。このたびのユネスコ登録で観光客呼び込みが期待できるとの声もあります。日本古来のこうした行事があまり顧みられないのは、ハロウィンみたいに商業化して流行しにくいのもあるのかもしれませんね。ナマハゲのお面、やっぱり可愛くないですし…。

2016年の日本への観光客数は2404万人。世界16位、アジアでも5位。
しかし、歴史文化の蓄積がある京都や、食道楽の中心は大阪。関西はかなり人気がある──2018年10月27日の読売新聞朝刊の土曜特集「広論」では、日本の観光資源の今後の可能性を提言しています。

現在の訪日客は、かつてのようにモノづくり大国ならではの日本産家電を爆買いしない。
食や伝統文化の体験など、現地ならではの体験消費を求めて訪日する。そこで必要なのは、日本全域で眠っている観光資源を掘り起こし、足を伸ばしてもらう仕掛けを官民挙げてつくることである。

北海道のあるホテルは、タイの旅行会社に売り込んで、縁日を再現。浴衣を着て金魚すくいや射的を楽しめ、冬はかまくらづくりやワカサギ釣りを提供。佐賀県のとある神社はタイ映画界にロケ誘致を図ったことで、PRに成功した。

日本で「古い」「不便」と思われているものが、海外では新鮮に映る。
海外の視点もとりいれて、自治体・経済界が一丸となってアピールしていけばいい。

大阪にカジノふくむ統合型リゾート施設(IR)の誘致構想があるが、カジノは日本でしかできない体験ではない。周辺の飲食店の顧客を奪う弊害も懸念される。むしろ、通天閣や大阪城、あべのハルカスの展望台を24時間営業にして夜に集客できれば経済効果もてきめん。吉本興業のお笑いを夜間公演にするなど、既存の資産を有効活用すべきではないのか。

この提言をしているのは、海外出身の立教大学総長なのですが、全面賛成です。
なぜ、やみくもに海外の成功事例を日本へ取り入れたがるのか不思議でなりません。お役所が海外視察するのが好きだからなのか。たとえば、日本人からしたらおばあちゃんのお土産でうんざりする、こけし人形も外国人には大人気なのだとか。

交通渋滞や、ゴミの散乱、騒音や光害などの観光公害が指摘されている現状。
災害時の緊急避難指示なども、外国人に分かりづらく、整備が必要です。しかし、田舎の観光については、よその土地の人間が入るのをあまり好まない雰囲気もありますからね。地方活性化としては観光に頼るのもよいのですが、地元の産業の振興や、都会との経済格差や金融・労働力の流出という、そこに暮らす人の意見ともすり合わせをする必要はあるように感じますね。







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