陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「テイキング・ライブス」

2015-07-30 | 映画───サスペンス・ホラー
2004年のアメリカ映画「テイキング・ライブス」(原題:Taking Lives )は、被害者になりすます連続殺人犯とそれを追う女性捜査官をえがいたクライム・サスペンス。ややネタバレ気味なので要注意。

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カナダ東部で20年の間に連続殺人が多発。
モントリオールのさる建設現場から両腕のない白骨死体が発見される。
その身元は19年前に家出したカナダ人少年マーティン・アッシャーだと思われていた。
地元警察が応援を要請したのはFBIの特別捜査官イリアナ・スコット。プロファイリングの才能を生かし、現場と死体への観察力から犯人像を絞り込むさなか、第二の殺人が発生し…。

第二の猟奇的な殺人事件の目撃者ジェームズ・コスタが警察に事情聴取され、似顔絵も書かれ、犯人像が浮き彫りになります。画家のコスタは優男風ですが、イリアナになにかと反発する地元刑事から救うなど気づかいも見せます。イリアナはコスタに信頼を寄せはじめ、捜査にすら立ち会わせています。

その頃、少年マーティン・アッシャーの母を名乗る老婦人が事故死したはずの息子を見かけたと警察に押しかけてきます。白骨死体をあらためて検分した結果、マーティンでなかった事が判明。イリアナはマーティンが独り暮らしの男を狙って殺害し、その被害者になりまして生きていると憶測。他人の人生を次々に乗り換えている犯人の次のターゲットがコスタではないかと推測したイリアナは、彼の身辺を警護しようとします。
やがてコスタの個展に怪しい男が現れて追跡を開始しますが見失ってしまい…。

真犯人は冒頭から観客に見えているように思えて、ヒロインの心情に添っていくにつれて,その判断を鈍らせていくようなもどかしさを感じます。

主演のアンジェリーナ・ジョリーは「トゥームレイダー」など闊達なアクションで知られる肉体派女優ですが、近年は「チェンジリング」の悩める母親のように、知性を感じさせる繊細な演技もこなせるのがすばらしい。冷徹で頭の切れる捜査官であるはずが、目撃者に寄せてはならない好意を芽生えさせはじめ、女性らしさを全面に押し出していくのですね。そこがなんともたまらない。うまいですよねぇ。あの瞳のうるうる感で恋する女を演じきれてますもの。最初は仏頂面なのに、しまいにはものすごくにこやかな笑顔になるんですよね。しかし、ラスト三十分を切るや、凍りついた表情になります。愛してはいけない男を愛してしまった女の苦悩に悩む姿も色っぽいですね。

捜査官の職を追われたのかと思いきや、最終的には彼女なりの心理分析を発揮して真犯人をおびき寄せ引導を下すくだりには驚かされます。

監督は「イーグル・アイ」のD・J・カルーソー。
出演はイーサン・ホーク、そして「24」シリーズで知られるキーファー・サザーランド。
原作はマイケル・パイの小説『人生を盗む男』。

(2011年7月10日)

テイキング・ライブス - goo 映画

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