陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

京四郎と永遠の空 「恋蛍」 その2

2007-02-15 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女

 


拝啓、私の読者様。
今回の話はね、ひとことでいいますと「ボーイズラヴ…」(by レーコ先生)なんです。


ありていにいえば『JUNE』とか、そのテの雑誌の愛読者が喜びそうな展開です。
前回の反動でしょうか、BLサービス過剰ですね。はっきりいっていらんです。
次回の百合巻き返しが楽しみだ、ウフフ♪(←気持ち悪い)



空が飲み水を汲んで戻ってくると、ベッドで目を覚ました京四郎の姿が。
空が戻ってくるまでずっと、あの片膝立てポーズで待ち構えていたのでしょうか?
つくづく、カッコつけ野郎です。
しかし、頭の打ち所が悪かったのかふらつく京四郎(わざと?)
おかげで普段無口な彼の陶酔ブラコンダイアローグがスイッチ・オン!
喋りだしたら止まらない、かっぱえびせん~(古っ!)な彼なのでした。



私を庇ったせいで、と謝る空に京四郎の言葉は。
「いや、情けない。兄さんならこんなことに巻き込まれはしない、絶対に」
おいおい、「兄さんなら必ずこの方法を選ぶ」って確信したルート選んだせいで、
こんなことに巻き込まれたんでしょーが!
つまり何かと自分の行動を正当化するために兄さんを持ち出し、都合が悪くなると
自分を責める。
自分の頭で考え、自分の手で掴んで、自分の足で選んだ道だから失敗しても悔いは無い。そういう潔さがないんですよね。
思考が借り物、言葉も受け売りなところが、私が彼に嫌悪感を覚えてしまう最大の
理由なのです。好意的にみれば白鳥空ともども、好きな人を疑う事を知らない
純粋な人ともいえそうですけど。



兄の話題を糸口として、京四郎との親睦を深めたいと望む空は、
自分の王子様像を思わず口に出してしまいます。
せつなちゃんの前でも口にしなかった秘蔵のネタなのに、ひどいよ空!
(管理人は誰が何といおうと、くう・せつな推奨派です)
京四郎は空の夢の慕い人のイメージに、兄への憧憬を重ねて答えてくれます。


「華麗で、強くて、でも優しくて、いつでも笑顔をくれる。そして何があっても必ず
勝利する…兄さんは俺の神話だ」


実の兄を神と崇めるなんて。カズヤは京四郎にとってガラスの天井なんですね。
既にこの世にいない者なのですから、成長段階で乗り越えるべき壁として
存在しえない。通過儀礼としての大人がいなかったことは少年京四郎にとって、
不幸なことだったのかもしれない。


 


王子様と兄で繋がる想い。
空は二人だけの秘密を共にしたことにご満悦。
描かれてませんが、きっと彼女の脳内夜空ではお星様キラキラだったでしょう。
でも、偶然は密かに仕組まれた必然~♪
京四郎も空をわざと喜ばせる為に、彼女の意に沿うように語ったのかもしれません。



兄の最期と十年前の忌まわしい記憶が、京四郎の口から語られます。


「あれは誰も触れてはいけないものだ…」
空と酷似した絶対天使を収めたケースを前に、涙する兄カズヤ。
幼い京四郎はその言葉を、絶対天使は必要悪で、兄こそが自分の犠牲と引き換えに実験を阻止しようとしたと解したようです。
実験が暴走して、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した研究施設。
退避カプセルに弟を閉じ込め、惨禍の光のなかへ進むカズヤ。
ガラス越しに京四郎がみた兄の最期の背中。
死に様をみせることは、他人の記憶へ自分を刻み込む最大にして最悪な方法なんですね。


しかし、びっくりなのが、兄カズヤの性癖。

なんと幼児京四郎と裸で添い寝!!(爆)

今度の兄さんはパジャマの上を着ない人でした。
(下だけ穿いてないっつーのもたいそうイヤだが(笑))
どうやら綾小路一家は揃いも揃って露出狂のようです。
ストリーキングとか平気でやってそうな家族です。
京四郎が一縷の迷いもなく人前で空の服を脱がしたのも、こんな倫理観の
欠如した兄に誤った教育をうけてしまったからでしょう。
道路交通法無視の白馬通学やヴァイオリン弾きも兄の影響なんですかね?


兄がたった一人で世界を救った英雄だと信じて疑わない京四郎ですが、
彼が救ったのは弟一人の命だけだったのかもしれないですね。
高校生(白衣の下が学ラン)で天才児なんてきっとかなりの厭世家で、
マッドサイエンティストで。
自分が生み出した最高傑作の天使を汚されたくない、自分だけの永遠にして
おきたくてカズヤは世界の破滅のスイッチを押したとか。
しかも京四郎が、空に恋心を寄せるようになるのも、兄が愛していた天使の面影
が幼心に刷り込まれていた、だったら嫌だなぁ…。



「だから俺は止まれない、何があっても止まっちゃいけないんだ!」
過去話を熱い闘志でしめくくる暴走勇者特急、京四郎。
事故死した双子の弟のかわりに南ちゃんを甲子園に連れて行く野球漫画
の読みすぎじゃないでしょうか、綾小路京四郎。
突っ走るのは男の身勝手だが、空はともかく私のせつなちゃんまで
道連れにするのはやめてください、まじで(勝手に私物化しないように)



ところで京四郎の祖父が霊太郎で、兄弟も数字に関する命名なので、
きっと父母も、八兵衛とか、五右衛門とか、マリ(万里)リンとか、百絵とか
ミラクルふざけた名前なんでしょうね、アハハ。



ところでひとつ疑問。
前回は大崩壊のときに絶対天使が生れたと説明されたのですが、
もともと四体(空を含めれば五体)の器としてつくってあったのか、
それともカズヤはじめ科学者がつくったのが空に似ている一体だけで、
それが四つに分かれてしまったということなんでしょうか?
もし後者だとすると、カオンちゃんやせつなちゃんは突然変異で生れたってこと?
いずれにしろ誕生の秘密に世界の惨劇が関わっているという天使の存在
そのものが悲劇だし、しかも愛する兄を奪われたやり場の無い男一名の怒りの
矛先を向けられている彼女たちってすごく可哀想ですよね。



兄の形見の黒い制服を纏い、墓場のような夜の学園で死者の想い出を語る京四郎。
城塔学園って復興のシンボルで機能していないらしいですが、空のポスト同様に、
京四郎にとっては精神の逃げ場というか心の牢獄のような象徴的な場所なので
しょうかね。
彼が高校生で刻を止めてしまった兄の幻影からも英雄願望からも卒業し、別れの
ワルツ「蛍の光」を唄える日は来るのでしょうか…?


 


 


ちなみに米国の科学雑誌『New Scientist』によると、男兄弟が多いほどゲイ傾向が
高まるとのことです。ミカ姉さんは異常な兄のせいで、男嫌いなのか…?
ってゆーか、何書いてるんだ、私…。


 


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